注目のFA選手の一人だったクリス・ブライアントが、ロッキーズとの7年契約に合意しました。
クリス・ブライアントの契約内容
7年1億8200万ドル
ブライアントの経歴を考えれば、当然ともいえる巨額契約です。
2013年ドラフト全体2位でカブス入りし、2015年には新人王、2016年にはMVPとワールドチャンピオンに輝きました。
スター選手でありながらユーティリティ性も兼ね備えており、本職であるサードに加え、外野とファーストも守ります。
しかし、一方で近年の成績と年齢からすると、この大型契約は大きなリスクもはらんでいます。
現在30歳の彼は短縮シーズンの2020年は怪我もあって活躍できず、シーズン途中でトレードされた昨季は移籍後のOPSが.800を切るなど思うような数字を残すことができませんでした。
もはや全盛期は過ぎた選手と考えると、不良債権化の恐れもあります。
ロッキーズは何を考えている?
ブライアントには、つい先日パドレスも興味を示していました。
故障したフェルナンド・タティスJr.が復帰するまでの間、ブライアントをサード、そしてサードを守っていたマニー・マチャドを昔のようにショートに戻すというプランも出ていました。
ブライアント獲得にパドレスがどれほどのオファーを用意していたかはわかりませんが、彼には他のチームからも巨額オファーが出ていたはずです。
しかし、その争奪戦に勝つほどのオファーを出したロッキーズにはどういった考えがあるのでしょうか?
実は昨季から、ロッキーズの意図が不明な点がありました。
昨季開幕前に、年俸負担してまでノーラン・アレナドをトレードで放出。
アレナド自身の希望もあったとはいえ、チーム最高のスターを手放したことで、ロッキーズは再建期に舵を切るものと思われました。
それにより、2021年オフにFAとなるトレバー・ストーリーはトレードの最有力候補として度々名前を挙げられていました。
しかし、当初の予想通り下位に沈んでいた昨季、トレードデッドラインで結局ストーリーをトレードに出さずに終わりました。
再建期のはずなのに、FA前の主力をトレードに出さないことは当時も疑問視されていました。
結局トレードしないまま2021年シーズンを終え、ロッキーズはストーリーにクオリファイングオファーを出し、ストーリーは拒否してFAとなりました。
ロッキーズからは同じく主力投手のジョン・グレイがFAとなりましたが、こちらにはクオリファイングオファーを出さずにレンジャーズが獲得しました。
つまり、グレイに関してはタダで出ていかれたわけです。
ストーリーが他のチームと契約すれば、少なくとも指名権は手に入るわけですが、今回のブライアント獲得により、やはり再建を目指すのかどうかがわからなくなりました。
報道によると、ロッキーズは全体3位指名権を持っていた2013年ドラフトでブライアントを指名する予定だったものの、全体2位でカブスが指名したため上述のグレイへの指名へと切り替えた経緯があるようです。
また、そういった経緯からアレナドがロッキーズの方向性へ不信感を抱いた際に、ブライアント獲得を画策していたとのこと。
特にロッキーズのオーナーであるディック・モンフォートが熱望しており、ブライアント獲得は待望の出来事だったようです。
これが事実だとすると、チームの方向性としては再建ではなく勝負をするつもりがあるということでしょうか。
アレナド放出が不本意なもので、ブライアントを軸に据えてやり直したい意向であれば、今後のストーリーの動向も気になります。
未だに移籍先の決まらないストーリーが残留、あるいは今後トレードなども駆使して即戦力を補強するようであれば、その方向性はようやく定まりそうです。