NBAでミルウォーキー・ブルワーズがフェニックス・サンズを下して50年ぶりのファイナル制覇を果たしました。
ファイナルMVPに輝いたのはNBA屈指のスター選手ヤニス・アデトクンボ。
彼はシリーズ通しての活躍はもちろん、優勝を決めた第6戦ではファイナル史上6人目となる50得点をも記録し、文字通り優勝の立役者となりました。
そんなアデトクンボですが、実は今シーズンの開幕前には移籍の可能性も取沙汰されていました。
そんな中、彼は「ミルウォーキーで優勝したい」と5年の契約延長をし、その言葉通りにチームを優勝に導きました。
バックスが黄金期を迎える中で、ドラフトからずっとミルウォーキーでプレーしている彼は、今後もフランチャイズスターとして活躍しつづけるはずです。
さて、前置きが長くなりました。
今回紹介したいのは、NBAでのアデトクンボのように、デビューしたチームでプレーし続けているMLBのフランチャイズプレイヤー達です。
MLBではFA移籍はもちろん主力のトレードも盛んなので、一つのチームでキャリアを終える選手は非常に稀です。
アデトクンボはバックス在籍8年なので、それに因んで今回は”8年以上デビューから同じチームでプレーし続けているオールスター選手”を選出し、紹介していきたいと思います。
彼らも、デレク・ジーターやマリナ・リベラのように現在のチームでキャリアを終えることができるのでしょうか。
8年だと結構数が多いので、今回はその中でも特に好成績を残している10選手になります。
クレイトン・カーショウ(LAD)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|
375 | 184 | 83 | 2.48 | 2653 | 1.00 |
在籍年数14年で現在33歳。
2008年にデビューして以来、サイ・ヤング賞3回、MVP1回と2010年代最高の投手として活躍してきました。
強豪ドジャースにあってワールドシリーズ優勝だけは長年成し遂げられずにいましたが、ついに2020年に優勝を経験。
現在の契約は今季いっぱいで切れるため、その去就が注目されていますが、カーショウには最後までドジャースの一員であって欲しいと願うファンは多いでしょう。
アダム・ウェインライト(STL)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|
411 | 174 | 104 | 3.40 | 1936 | 1.22 |
在籍年数17年の39歳。
8月には40歳を迎える大ベテランですが、2005年に23歳でデビューして以来カーディナルス一筋でやってきました。
サイ・ヤング賞の獲得経験こそないものの、最多勝を2度獲得するなど強いカーディナルスを支え続けてきました。
2006年にリリーフとしてワールドシリーズ制覇に貢献したものの、2011年に再びチームがワールドシリーズ制覇した際にはトミー・ジョン手術のためプレーしていませんでした。
驚くことに今季もバリバリのローテーション投手として活躍中で、まだまだ十分やれそうです。
ヤディアー・モリーナ(STL)
試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
2098 | 2068 | 168 | 972 | .280 | .735 | 68 |
在籍年数18年の39歳。
デビューは上述のウェインライトより早い2004年で、MLB屈指の野球兄弟であるモリーナ3兄弟の三男として、兄らを上回る活躍を見せてきました。
守備力はMLB最高峰で、元々は守備の人でしたがキャリア中盤から打撃力も向上し、20本塁打も2度記録しています。
8年連続を含む9度のゴールドグラブ賞受賞経験があり、その高い守備力と捕手として平均以上の打力でチームを2度のワールドシリーズ制覇に導いています。
間違いなくカーディナルスで引退するでしょう。
ジョーイ・ボットー(CIN)
試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
1837 | 1970 | 307 | 1008 | .303 | .933 | 80 |
在籍年数15年の37歳。
残念ながらワールドシリーズ優勝経験はありませんが、2010年に一塁手ながらシーズンMVPを獲得するなどその打撃力は一時代を築きました。
3割を超える高打率に加え、特にこのセイバーメトリクスの時代にフィットした高い出塁率は、常にリーグトップクラスでした。
2023年までの10年契約にサインしており、2024年はチームオプションとなっています。
最低でも2023年まではプレーすることになりますが、ここ数年は流石にその打撃力に陰りが出てきており、不良債権化しつつあります。
マイク・トラウト(LAA)
試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
1288 | 1419 | 310 | 816 | .305 | 1.002 | 203 |
在籍年数11年の29歳。
2011年に19歳でメジャーデビューを果たし、2012年には3割30本に加えて盗塁王を獲得する活躍で新人王に輝きました。
それ以来誰もが知るスーパースターとして3度のシーズンMVPに輝いている正真正銘のスーパースターですが、ワールドシリーズ優勝どころか地区優勝すら2014年の1度しか経験していません。
彼はエンジェルスと2030年までの長期契約を結んでいますが、エンジェルスは大谷、トラウトの全盛期を無駄にしていると揶揄されています。
このままチームが勝てないままだと、将来的にはトラウトが愛想をつかしてトレードを求めるということもあり得るかもしれません。
彼についての詳細は「MLBスタープロファイル vol.1〈マイク・トラウト〉」でも紹介しているので是非ご覧ください。
ライアン・ジマーマン(WSH)
試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
1753 | 1823 | 280 | 1043 | .278 | .816 | 43 |
在籍年数17年の36歳。
タイトルをとったことはありませんが、全盛期はリーグ有数の三塁手としてその名をはせました。
弱い時代からずっとナショナルズを支えてきた選手で、2019年には控えではありましたが念願のワールドシリーズ優勝も経験しました。
2020年シーズンは新型コロナの危険性を考慮してシーズンを辞退したため、実質的な実働年数は16年になります。
まだチームに貢献する活躍はできていますが、今オフに引退する可能性も高くなっています。
バスター・ポージー(SF)
試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
1318 | 1449 | 153 | 703 | .303 | .833 | 23 |
在籍年数12年の34歳。
2009年にメジャーデビューを果たし、翌2010年には捕手としてリーグトップクラスの打撃成績を残し新人王を獲得しました。
一気にスター選手になったポージーですが、2011年に本塁打でのクロスプレーで骨折やじん帯断裂などの重傷を負いシーズン絶望となりました。
この若きスター選手の痛ましい負傷がきっかけで今では当たり前となったコリジョンルールが制定されることになりました。
復帰した2012年には首位打者の大活躍でシーズンMVPに輝き、そこからもリーグ屈指の捕手として活躍を続けています。
しかし近年その打撃力も低下傾向にあり、2020年には家族のことを考えシーズンを辞退し、少しずつ全盛期の輝きが失われていました。
ところが今季は34歳にして全盛期並みの打撃力を取り戻し、チームが地区首位に君臨する立役者となっています。
今季は9年契約の最終年で、2022年はチームオプションになっていますが、このままいけばジャイアンツは間違いなくオプションを行使して契約延長するでしょう。
ホセ・アルトゥーベ(HOU)
試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
1374 | 1703 | 155 | 613 | .309 | .822 | 260 |
在籍年数11年の31歳。
小さな体格ながら、首位打者3度、盗塁王2度、シーズンMVP1度を記録しているスーパースターとして知られており、2017年にはワールドシリーズ優勝も経験。
しかし、2017年と2018年にチームぐるみでサイン盗みを行っていたことが暴露され、2020年には謝罪会見を行うなどサイン盗みの代表格として今なお批判され続けています。
しかしその実力は本物で、(おそらく)サイン盗みを行っていないであろう今季も既に22本塁打を放つなどリーグトップクラスの活躍を見せています。
2024年まで契約が残っていますが、非常にダーティなイメージがついてしまっているため2025年以降どうするのかが気になります。
フレディ・フリーマン(ATL)
試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
1498 | 1622 | 262 | 913 | .294 | .893 | 50 |
在籍年数12年の31歳。
2010年にデビューし、当初は中距離打者として評価されていましたが、2016年には3割30本の活躍で強打者の仲間入り。
高いレベルで数字が安定しており、2020年には短縮シーズンながらMVPを受賞しました。
8年契約が今オフに満了しますが、優秀な若手打者が育っているブレーブスはおそらく長期契約で延長するはずです。
スティーブン・ストラスバーグ(WSH)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|
246 | 113 | 61 | 3.21 | 1718 | 1.09 |
在籍年数12年の33歳。
投手として史上最高の逸材として2009年のドラフトでナショナルズから全体1位指名。
2010年のデビュー戦では7回14奪三振という衝撃の投球でナショナルズファンのみならず全野球ファンを唸らせました。
しかし懸念されていた投球フォームのせいかガラスのエースであり、デビューイヤーに早速トミー・ジョン手術を受けて長期離脱。
復帰後も投げれば高いパフォーマンスを発揮するものの、完全に万全だったシーズンは奪三振王になった2014年のみという状態でした。
ファンにとっては物足りないシーズンを何年も過ごしていたストラスバーグですが、2019年に最多勝を獲得すると、ポストシーズンでは6試合に登板して5勝0敗 防御率1.98という神がかった活躍でチームを初のワールドシリーズ制覇に導きました。
そのオフにFAとなった彼は7年契約を結んだため、2026年までナショナルズに在籍することになります。
非常に高額なこの契約ですが、相変わらずのガラスのエースであるため既に不良債権化しています。
しかし、チームを初の優勝に導いた立役者ですから、不良債権化もご祝儀といった感じですね。