今回は現時点での2021年サイ・ヤング賞候補をア・リーグ5人、ナ・リーグは7人紹介します。
サイ・ヤング賞は、各リーグでそれぞれその年最高の成績をあげた投手に授与されます。
日本の沢村賞のように成績の基準が決められているわけではなく、投票で最も票を集めた投手が受賞します。
そのため、ごく稀にリリーフ投手が受賞することもありますが、基本的には先発投手が圧倒的有利です。
ここ10年くらいで投票者の価値観も様変わりし、勝敗よりも防御率や奪三振といった内容面が重視される傾向にあります。
ア・リーグのサイ・ヤング賞候補
ランス・リン(CWS)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
21 | 10 | 3 | 2.26 | 119.2 | 137 | 1.05 |
これまで7度二けた勝利をあげているベテラン右腕のリンは、34歳にしてサイ・ヤング賞の最有力候補となっています。
近年最も重視される傾向にある防御率でリーグ1位なのに加え、勝利数、奪三振、WHIPも好成績を出しています。
やや気になるのは投球回で、200回到達は難しそうです。
仕事量ではライバルに劣りそうなので、投球内容をこのまま維持することが求められます。
ロビー・レイ(TOR)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
23 | 9 | 5 | 2.88 | 137.1 | 167 | 1.06 |
昨季は防御率6.62とキャリアワーストの出来だったレイですが、ブルージェイズでの初のフルシーズンとなる今季はキャリアハイと言っていい活躍ぶり。
毎年高い奪三振率は高水準のまま、弱点だった四球率を大幅に改善させました。
成績が上り調子なのも好印象で、6月からどんどん数字がよくなってきています。
奪三振は後述のコールに次いでリーグ2位ですから、タイトル獲得の可能性もあります。
ゲリット・コール(NYY)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
21 | 10 | 6 | 3.11 | 130.1 | 176 | 0.99 |
超巨額契約でヤンキースのエースとして迎えられ二年目を迎えたコールですが、今季序盤はサイ・ヤング賞間違いなしという活躍を見せていました。
5月までは防御率1点台だったのですが、6月に入って被本塁打が急激に増えてきて、数字がかなり悪化してしまいました。
7月も奪三振率は上がってきていますが、大炎上することがあるので防御率は悪化傾向にあります。
現時点で奪三振数は1位ですが、新型コロナウイルス感染のためIL入りしており、まだ復帰できていません。
これがどれくらい長引くかによってはサイ・ヤング賞レースから離脱してしまう可能性もあります。
カルロス・ロドン(CWS)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
19 | 9 | 5 | 2.38 | 109.2 | 160 | 0.96 |
2014年のドラフト全体3位指名選手で、当時大きく期待されていたのですが成績は年々悪化していく一方でした。
ところが今季突如その才能が開花。
奪三振率、四球率ともに大幅に向上し、28歳にしてホワイトソックスの左のエースへと成長しました。
4月14日にはノーヒットノーランも達成し、成績的には言うこと無しなのですが、規定投球回数未到達なのがネックです。
本来『フィールド・オブ・ドリームス』ゲームで先発登板する予定でしたが、左肩の故障で回避&IL入りしました。
内容的にはリーグ最高ですが、もう少し投球回数を増やして規定到達と最優秀防御率のタイトルをとらないとサイ・ヤング賞は難しいかもしれません。
クリス・バシット(OAK)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
24 | 12 | 3 | 3.06 | 150.0 | 153 | 1.03 |
派手さはないもの堅実な投球で現在最多勝&最多投球回です。
とにかく仕事量の多さはトップクラスで、安定して6回以上を投げ切ってくれます。
最多勝に加えて防御率も2点台に食い込めば、彼も十分可能性があります。
ナ・リーグのサイ・ヤング賞候補
ウォーカー・ビューラー(LAD)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
24 | 12 | 2 | 2.09 | 154.2 | 162 | 0.94 |
デグロームが故障離脱したことで混戦となったナ・リーグのサイ・ヤング賞争いですが、その中でも現在1歩リードしているのがビューラーです。
奪三振は厳しいですが、防御率と勝利数の二冠をとる可能性もあります。
全てのスタッツが高水準ですが、一度でも炎上してしまうと脱落してしまう可能性があるのが今季のナ・リーグということで、まだ絶対的というわけではありません。
ザック・ウィーラー(NYM)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
24 | 10 | 7 | 2.56 | 162.0 | 187 | 0.99 |
投球回数と奪三振でリーグ1位ですが、ウィーラーの凄いところは今季完投3回(うち完封2回)を記録しているところ。
多少悪くても6,7回を投げてくれるので、投球回数と奪三振に関しては彼が最終的に1位の座を死守している可能性は高そうです。
ただ、最重要視される防御率でライバル多数なのが痛いところ。
防御率2点台前半にはもっていきたいところです。
ケビン・ゴースマン(SF)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
23 | 11 | 5 | 2.29 | 137.1 | 162 | 0.97 |
急成長してジャイアンツのエースとなったゴースマン。
オールスターまで防御率1点台を維持していたのですが、オールスター明けから炎上して数字が悪化してしまいました。
ア・リーグなら文句なしでサイ・ヤング賞と言いたいところですが、ナ・リーグは優秀なライバルが多すぎて、突出したスタッツがないのがネックになっています。
ブランドン・ウッドラフ(MIL)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
23 | 7 | 6 | 2.18 | 140.1 | 163 | 0.90 |
ブルワーズの誇る最強の三本柱の一角ウッドラフは、現在防御率でビューラーに次いで2位につけています。
ブルワーズ投手陣の中では投球回数も最も多いのですが、味方の援護には中々恵まれておらず、なんと7月に入ってから1勝もできていません。
デグロームを彷彿とさせる勝ち運のなさですが、近年の傾向では負け越しせずに二桁勝利を達成すれば十分サイ・ヤング賞の可能性はあるため、まずは防御率で1位になりたいところです。
コルビン・バーンズ(MIL)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
20 | 7 | 4 | 2.23 | 121.0 | 172 | 0.93 |
バーンズも最強投手陣の一角で、今特に調子を上げています。
上述のウッドラフと同じ7勝ですが、ウッドラフが7月から勝ちに見放されているのに対してバーンズは6月に入ってから負けが1度もついていません。
かといって援護点をたくさんもらえているわけではありませんが、相変わらず四球を出さずに奪三振はかなり多いので、このまま勢いに乗れば奪三振と防御率でタイトル獲得の可能性もあります。
フレディ・ペラルタ(MIL)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
22 | 9 | 3 | 2.26 | 119.1 | 162 | 0.91 |
ペラルタはブルワーズ三本柱の中では最も若い25歳ですが、今季の被打率の低さは実はデグロームと匹敵するレベルにあります。
デグロームのように100mphの剛速球を投げるわけではありませんが、打者はなぜか打てずに三振の山を築いています。
今季4失点以上したのは一度だけで、抜群の安定感がありますが、球数が多いスタイルのせいかあまり投球回が多くならず、今季最も投げた試合でも7.1回なのがネックになっています。
マックス・シャーザー(LAD)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
22 | 10 | 4 | 2.69 | 127.1 | 170 | 0.90 |
今回紹介する中ではシャーザーが唯一の移籍組になります。
トレードデッドラインでナショナルズからドジャースへと大型トレードで加わりました。
サイ・ヤング賞を3度も受賞してきた大ベテランですが、今季もエース級の投球で、ドジャース移籍後も変わらず好投しています。
移籍後3登板で2勝、勝てなかった試合は雨による中断で途中降板でしたから、今後は順調に勝利数を伸ばしていきそうです。
上述のライバル達と比べると経験豊富さは段違いなので、ここからぐっと数字を上げて4度目の受賞という可能性もまだあります。