8月の月間MVPが発表されました。
圧倒的な数字で受賞した選手もいれば、現在の潮流が垣間見える受賞もあります。
月間MVP(Player of the Month)
ホゼ・アブレイユ(LAA)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
28 | .330 | 10 | 25 | .382 | 1.043 | 0 |
終盤に本塁打連発のサルバドール・ペレスが月間本塁打と打点の二冠だったのですが、ペレスの打率は.268と低かったためアブレイユが獲得。
しかし、アーロン・ジャッジやジャンカルロ・スタントンらヤンキース勢もそん色ない成績だったため、かなり難しい選考となりましたね。
アブレイユは月間本塁打二桁を記録した3人の中で唯一打率3割を超えていた点が評価されたのだろうと思います。
CJ・クロン(COL)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
26 | .387 | 11 | 34 | .463 | 1.291 | 0 |
ア・リーグと違い、ナ・リーグは迷うことなくクロンが受賞しました。
クロンは月間成績で打撃三冠王。
ブライス・ハーパーもかなり肉薄はしたのですが、流石に打撃三冠王であればクロンの受賞に疑いはありません。
典型的なクアーズヒッターであるため、アウェイが続く8月終盤で数字を落とすかとも思いましたが、最後のアウェイ8連戦で4本塁打と見事でした。
月間MVP(Pitcher of the Month)
ロビー・レイ(TOR)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
6 | 1 | 0 | 1.76 | 41.0 | 52 | 0.85 |
今回レイが受賞したことで、投手を評価する上で勝ち星はもはやほとんど重視されないということが明確になったように思います。
レイは8月に登板した全試合で、6回2失点以内に抑える好投を見せていましたが、勝敗がついたのは最後に登板したオリオールズ戦のみ。
投球回、奪三振ともにリーグ1位でしたが、最後の登板がなければあわや0勝というところでした。
防御率だけならゲリット・コールが0.51と驚異的な数字を記録していましたが、わずか3試合にしか登板していないため今回の候補にはなり得ません。
しかし、5勝0敗だったシェーン・マクラナハンや、3勝0敗で防御率1.58のマルコ・ゴンザレスを差し置いての受賞ですから、とにかく最重要視されるのは防御率、投球回、奪三振といった内容面というのが現在の潮流です。
アダム・ウェインライト(STL)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
6 | 5 | 1 | 1.43 | 44.0 | 36 | 0.80 |
ア・リーグとは対照的に、ナ・リーグは月間最多勝利のウェインライトが受賞しました。
ウェインライトは8月30日に誕生日を迎えたため、40歳にして月間MVPを受賞ということになります。
彼にもライバルが多数いましたが、両リーグに共通して言えるのは、投球回数が最多だった投手が受賞したということ。
結果よりも、仕事量やその内容を重視しているということですね。
これはサイ・ヤング賞投手を予想する上で参考になる傾向だと思います。
最優秀リリーバー(Reliever of the Month)
エマニュエル・クラッセ(CLE)
試合 | 勝 | セーブ | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
13 | 0 | 6 | 0.00 | 12.2 | 15 | 0.39 |
これは文句なしということでいいんじゃないでしょうか。
登板した全試合で無失点で、セーブ失敗もありませんでした。
セーブ数こそ、アレックス・コロメの8やライセル・イグレシアスの7を下回りましたが、セーブ機会が少ないのはクローザーの責任ではないですからね。
ちなみに、クラッセは8月わずか1四球でしたから、本当に手も足も出ない守護神ぶりでした。
デビン・ウィリアムズ(MIL)
試合 | 勝 | セーブ | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
14 | 1 | 3 | 0.00 | 14.0 | 22 | 0.86 |
こちらも8月防御率0.00という完璧なピッチングをみせたウェリアムズが受賞しました。
しかしウィリアムズはクローザーではなく、ブルワーズのクローザーはジョシュ・ヘイダーが務めています。
そのヘイダーも8月は防御率0.00でしたが、投球回数が少な目だったのでウィリアムズには及ばなかったようです。
しかし気になるのが、TJ・マクファーランドが同じく防御率0.00を達成しており、なおかつウィリアムズより多い15.2回を投げているという点です。
しかしセーブは一つもありませんし、奪三振はウィリアムズがダブルスコアをつけています。
FIPなどのセイバーメトリクスの指標の普及により、本塁打を打たれず、四球を出さず、奪三振が多い投手こそ優秀であるという認識が一般的になりましたが、確かにそういう観点からみれば奪三振がかなり多かったウィリアムズの受賞はうなづけます。
最優秀新人(Rookie of the Month)
ボビー・ダルベック(BOS)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
24 | .265 | 7 | 21 | .339 | 1.205 | 0 |
昨季デビューし、今季は初のフルシーズンとなる26歳のダルベックですが、7月までの不振から脱し8月は驚異的なペースで打ちまくりました。
OPSだけみれば月間MVPを受賞したアブレイユをも上回っていますが、彼の場合代打や守備固めでの起用が多かったため、試合数の割に打席数がかなり少な目です。
しかしルーキーの中では飛びぬけていますし、わずか62打席で7本塁打を放ったということで今後にも大いに期待できそうです。
フランク・シュウィンデル(CHC)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
26 | .344 | 6 | 18 | .394 | 1.030 | 0 |
ア・リーグのダルベックと同様に、ナ・リーグも一塁手のシュウィンデルが受賞となりました。
最近は先月受賞したエリック・ハースのように、遅咲きのルーキーが多い印象ですが、シュウィンデルも現在29歳の遅咲きです。
今季はアスレチックスでメジャー昇格を果たしましたが、7月にカブスへと移籍。
トレードデッドラインでカブスがチーム解体したことで空いたポジションに収まり、前任者以上の活躍をみせています。