パドレスの2023年トレードデッドライン

MLB

今年もMLBの一大イベント、トレードデッドラインを終えました。
大谷がトレードされないことにより全体的に大物不在感があったデッドラインですが、今年は最終日のギリギリまで一部球団が買い手になるのか売り手になるのかわからないという状況で我々ファンを楽しませてくれました。
今回の記事ではパドレスがこのデッドラインにどう動いたのかを紹介していきたいと思います。

パドレスの成立させたトレードは3件

トレード大好きなパドレス(プレラーGM)ですが、昨オフからここまで一度もトレードを行わずにシーズンを過ごしていました。
最初に行ったトレードは7/25のホセ・カスティーヨが金銭を対価としてマーリンズへ移籍したものでしたが、これはカスティーヨが事前にDFAされていたものでノーカンとしておきましょう。
それ以外ではパドレスは最終日の8/1に以下の3件のトレードを成立させています。

PITからヒル、ジマン獲得

SDが獲得:リッチ・ヒル、チェ・ジマン
PITが獲得:ジャクソン・ウルフ、エストゥアー・スエロ、アルフォンソ・リーバス

このトレードでパドレスが獲得したヒルとチェはともに今オフFAになるいわゆるレンタル選手。
両者ともに今季のパフォーマンスはそれほど良かったわけではありませんが、そのおかげで2人セットでも見返りはやや小さめですみます。
ワカがIL入りしている先発ローテーションを補強するレンタル投手ヒル、そして左打の一塁手チェというのは地味ではありますが補強ポイントにしっかり合致しています。
チェは同じ韓国人のキムが活躍しているパドレスには比較的馴染みやすいのではないでしょうか。来季も残留するかどうかはわからないので来季開幕戦の韓国シリーズにいるかどうかはわかりませんが。
左のDHとして獲得したカーペンターが全く期待通りの活躍をしてくれないので、チェにかかる期待は結構大きいです。今季は打率こそ低いのですが、73打数で6HR打っているのでパドレスでも長打力を発揮してくれれば。

放出した中でメインパッケージだったのは球団16位プロスペクトのウルフで、彼は先日メジャーデビューを果たした長身左腕です。
2mの長身からクリス・セールに似た投球フォームで投げ込みますが、速球の平均が89mph程度と遅くメジャーデビュー戦でもほとんど空振りをとれていませんでした。
体格的には球速のポテンシャルもありますが、2024年までにWSを狙いたいパドレスにとっては現状ではそこまで惜しい存在でもないでしょう。

MIAからクーパー、レイノルズ獲得

SDが獲得:ギャレット・クーパー、ショーン・レイノルズ
MIAが獲得:ライアン・ウェザース

このトレードはかなり意外でしたが、パドレスはここまで期待に応えられていない2018年ドラフト全体7位のウェザースを放出して右の一塁手クーパーと剛腕プロスペクトのレイノルズを獲得。

ウェザースに関してはもはや語るまでもありませんね。
左で球速も出ますし素材は確かなものだと思いますがパドレスではうまく開花させることができませんでした。マーリンズでブレイクしてくれたらいいですね。

獲得したクーパーは強打者というよりは好打者という感じの一塁手。
左のチェも獲得しているので、相手先発が右の時はチェ、左の時はクーパーを使うといったプラトーン起用になるでしょうか。
2021年には右翼で起用されていたこともありますので、パドレスではそちらを守る機会もあるかもしれません。
あと個人的にかなり嬉しかったのがレイノルズを獲得してきたことです。
203cmの長身から100mphを投げる25歳リリーフなのですが、プロ入り時点では野手として入団も芽が出なかったので2021年から投手転向した変わり種。
既にAAAで投げており(40manロースター入り)、今季中のメジャーデビューも見込めます。
期待しすぎかもしれませんが将来のクローザー候補と考えてもいいのではないでしょうか。

KCからバーロウ獲得

SDが獲得:スコット・バーロウ
KCが獲得:ヘンリー・ウィリアムス、ヘスス・リオス

課題だったブルペンも実績のあるいい選手を補強することに成功しました。
バーロウはレンタルではなく2024年オフにFAになる投手で、今季の成績はそれほど良くないのですが指標は結構良好と獲得後のバウンスバックが見込めます。

四球の多さや球速の低下(昨年より1mph程低下)など気になる点もないわけではないのですが、オフにヘイダーがFA移籍した際にクローザーやセットアップの候補となれる実績のある投手なのでありがたいですね。

対価となった中でメインパッケージのウィリアムスは2022年ドラフト全体91位の選手で、ドラフト時にトミー・ジョン手術のリハビリ中だったということもあり21歳ながらまだまだ時間がかかりそう。
先発投手のプロスペクト層が厚くなっている今のパドレスではそこまで重要性も高くなかったと思うので、これで1.5シーズン保有できる有力リリーバーを獲得できたのは悪くないトレードでした。

ギリギリまで明確でなかったパドレスの意向

今回のトレードデッドラインで、パドレスは市場を最も混乱させたチームの一つでしょう。
売り手に回った場合はオフにFAになるスネルとヘイダーがトレード候補になることが確実視されていました。
今季サイ・ヤング賞級のパフォーマンスをみせていたスネル、そしてリーグ最高のクローザーであるヘイダーの2人は、市場に出てくれば各コンテンダーが争奪戦を繰り広げること間違いなしでしたが、パドレスは最終日までオファーは聞く姿勢を見せながらも明確なチーム方針を明らかにしませんでした。
本来ならばデッドライン時点で勝率5割を切っているようなチームは売り手に回るわけですが、パドレスは2023年と2024年にオールインしているようなチーム状況であり、最後まで悩みながらも強豪レンジャーズをスイープしたことが決め手になったのではないでしょうか。

例えばエンジェルスが獲得したジオリトにはパドレスも興味を示していたという話もあり、おそらくは売り手と買い手どちらも想定して選手を探していたはずです。
そして最終日、買い手になることを決めたパドレスは目玉のバーランダーやE・ロドリゲスを真剣に狙っているという報道が出るなど、積極的に先発投手補強を探っていたようです。
ブルペン、一塁を守れる強打者が補強ポイントでしたが、ワカの怪我が長引いている状況で先発投手を狙うのは理解できました。
しかし大きな対価が必要になるバーランダーを狙うというのは個人的に納得できず、私は深夜に発狂スペースを開くことになったのでした。

しかしこれは単なる興味ありますムーブだったのか、条件面で破談になったのか、実際は成立することなくパドレスが獲得した先発投手はヒル。
ヒルがコンテンダーでローテの一角を任せられるレベルなのかどうかは疑問がありますが、大物先発投手の獲得に至らなかったのはパドレス側がプロスペクトを出し惜しんだからだと想像できます。
今季にオールインするつもりならともかく、来季はまだソトを保有して勝負できるということで、今プロスペクトを大量放出するわけにはいきません。
おそらくは今オフには何人かを放出して大物選手をトレードで獲得する腹づもりでいるのでしょう。

ちなみにデッドラインが終了した後にマスグローブが肩の炎症で長期離脱することが発表されました。
右のエースとして活躍していた彼が少なくとも9月まで、最悪の場合は今季絶望という形になることでポストシーズン進出への道は暗雲立ち込めています。
こんなことなら大物先発投手をとっておけば…という気持ちもなくないですが、故障はもうどうしようもありません。
個人的には、トッププロスペクトは誰も放出しなかったこと、そしてバーロウやレイノルズといった来季に繋がる投手を獲得してきたこと、この2点において非常に的確なトレード補強だったと思います。
もしこのままポストシーズンに進出できないままシーズンを終えたとしても、私はそんなに不満がありません。
ただ、売り手にならなかったことで今季は贅沢税対象年俸総額が$273Mを超えることは確実となり、来年のドラフトでは最上位指名権10位低下のペナルティを受けることになります。
「結局負けるくらいならスネルとヘイダーを売っておけばいいプロスペクトをとれたのに。ドラフトのペナルティも受けないですんだのに」
ファンからそんな恨み節が飛び出さずに済むようにパドレスには是非メイクミラクルを見せてもらいたいものです。

なお正念場のドジャース4連戦初戦は派手に逆転負けしました。
来季クローザー候補のスアレスと期待のバーロウが燃えてね。
…。

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