2023年パドレス前半戦レビュー

MLB

2023年シーズン前半戦の全日程が終了したので、この前半のパドレスについて私の思うところをデータも交えながら述べていきたいなと思います。

失望のシーズン

前半戦の戦いぶりを一言で表すなら「失望」の二文字になるでしょう。
オフシーズンに大金を投じて補強し、宿敵ドジャースを倒して地区優勝すらあり得るのではないかと言われながらふたを開けてみれば勝率5割にも到達することができず折り返し。
年俸総額ダントツのメッツと合わせて、今季最も失望されているチームの一つなのは間違いありません。

何が問題でここまで負けているのか。
いくつかの特徴があるので紹介していきます。

接戦に弱い

1点差 5勝15敗

延長戦 0勝8敗

この2つのデータはともにリーグワースト。
ポストシーズンに進出できた昨季は1点差で30勝17敗、延長戦で12勝5敗とリーグ屈指の勝負強さを誇っていましたが、今季はその反動であるかのようにあと一歩のところで負けています。
負けるときは接戦が多く、勝ち試合では大勝することもあるので得失点差は+39(全体7位)と悪い数値ではありません。
ちなみに得失点差+30以上で負け越しているのはパドレスだけ。

一時期の打撃不振

今はほぼ解消されつつありますが、一時期のパドレスは投手陣が奮闘しながらも打線が打てない、点が入らないせいで負けるという展開が続いていました。
下の当時記事を読んでいただければわかるのですが、打線はリーグワーストクラスにまで落ち込み、四球は選ぶけれど安打が出ない得点も入らないという状況に落ち込みました。
5月のチーム打率は.212(全体29位)で、これはおそらくBABIP.255(全体30位)という運の悪さだけでなく、ボガーツら主力打者の極端な打撃不振によるものも影響していました。
6月以降はこれがある程度改善され、現在はシーズンwRC+が102と平均以上まで回復しています。

最近のブルペン不振

前述の打撃不振で苦しんでいた時期、チームをなんとか支えていたのが投手陣、特にブルペンでした。
5月のブルペン防御率2.06はMLB全体でも飛びぬけたハイパフォーマンスで、ウィルソン、コスグローブ、ガルシアの3投手にいたっては自責点0の活躍でした。

ところが、最近その優秀なブルペンがバテつつあります。
元々好成績を残していた5月も奪三振率は低く、多少運に恵まれながら抑えていた感がありました。
支配的な投球ができるリリーバーがヘイダーとウィルソンくらいしかおらず、ウィルソンがIL入りしてしまったことも影響して前半戦終了までにブルペンが13試合連続失点しています。
ブルペンが耐え切れず落としてしまった試合もあり、このオールスターブレイクでリフレッシュしていることと早い段階でスアレスが復帰してくれることを祈るばかり。

連勝できない

今季は3連勝が最多で、スイープも7月にはいって一回しただけ。
昨季も最多は5連勝でしたし、連勝が全てではありませんが、今季は「お、今日はいい勝ち方できたな」と喜んだ次の試合でまた接戦を落とすというパターンを何度も見ました。
初スイープのLAA3連戦の直後に延長負けを喫したのですからこの上げて落とすスタイルは筋金入りです。
そろそろ大型連勝できそうな気配も感じてはいるんですが…

下位チーム相手に取りこぼす

下位相手に取りこぼさないのが強いチームですよね。
上位に負けてもしっかり下位を叩くことができればおのずと勝率も上がっていきます。
ところが今季のパドレスは上位とそこそこいい勝負をするくせに下位には負け越したりするわけです。
例えば5月当時勝率3割に満たなかったロイヤルズにホームで負け越したり、特にひどかったのは6月終盤のナショナルズ、パイレーツの6連戦で5連敗したことです。
ここで反対に5連勝するくらいじゃないとコンテンダーとは言えないですよね。

ポジティブな要素

さて、ネガティブな話はこれくらいにしておきましょう。
今季のパドレスはなにもかもダメかというともちろんそういうわけではなく、しっかりと希望もありますので、ネガティブな話の倍くらいポジティブな話もして後半戦に備えたいと思います。

おかえりタティス

昨季は怪我と出場停止でメジャーでのプレーが見られなかったタティスが、今季ついに帰ってきました。
メジャー復帰後エンジンがかかるまで少し時間がかかりましたが、6/1以降の打撃はOPS1.001、wRC+172と2021年の輝きを取り戻しています。
まだまだHR連発が見たいところですが、今季は本格転向した外野でリーグ最高峰の守備力を披露しており、最初の20試合に出場していないにもかかわらずrWAR(3.9)はMLB8位を記録しています。
これまで守備だけが欠点だったタティスが一気に最高の守備力を持った選手へと変貌したことで、真の5ツールプレイヤーとしての躍動が今後も見られそうです。

チーム最高の総合力キム

KBOからパドレス入りした際は打撃の評価の方が高かったはずですが、ルーキーイヤーの2021年から打撃よりむしろ守備での活躍が目立っていたキム。
打撃も攻守の内野手としては決して悪くはないレベルではあったのですが、年々内容が向上し今季は前半戦だけで10HRに到達し、盗塁数もすでにキャリアハイの16を記録しています。
しかし、なによりすごいのはその守備。

このスーパープレーに代表されるように美技を披露しまくり、dWAR(2.1)はMLBトップ、rWAR(4.1)はMLB5位と総合力ではリーグ最高峰の域に到達しています。
打撃はあくまで平均よりやや上程度なので、如何に守備力が高いかということが伺えます。
ちなみにパドレスが今季サヨナラ勝ちしたのはたった1試合。
その試合でサヨナラHRを放ったのがキムです。
アジア人史上最高の内野手ではないかという声があるのも頷ける活躍ぶりですね。

就活スネルが絶好調

今オフFAになるスネル。
2018年にサイ・ヤング賞も獲得した名投手ではありますが、2019年以降は毎年後半に入ってからエンジンがかかるスロースターターでした。
今季も例年通り期待できるのは夏頃からかなと思われていましたが、5/25からの直近9登板は驚異的なパフォーマンスで、まさに就活モードとなっています。

5/25~前半戦終了時
9試合
5勝1敗
防御率0.68
53.0回
84K
22四球
WHIP0.94

スネルの代理人はあの大物スコット・ボラスで、この好調を維持してシーズンを終えれば今オフ最大の目玉投手として巨額契約を得るかもしれません。

ワカとルーゴがローテ3番級以上の力を発揮

昨オフ先発投手の補強が中々進まない中、終盤になったチームに加入したのがルーゴとワカでした。
ルーゴはリリーフからの転向、ワカは最後消去法的に獲得した感があり、どちらも4,5番手としてなんとかローテを守ってくれればという期待度でした。
ところが両名とも思っていた以上の活躍ぶりを見せてくれており、ルーゴは63.2回で防御率3.39、ワカは85.2回で防御率2.84。
特にワカは5月の月間最優秀投手に選出されるなどローテを守るどころかエース級でした。
懸念していた通り怪我による離脱はあるものの、今後もこの調子で最低でも3番手級の投球を見せてくれればパドレスの先発ローテはリーグ屈指のものになれそうです。

マチャド復活!?

今季の打線不振の大きな原因となっていたマチャドですが、6月に骨折から復帰してからは徐々にパフォーマンスが向上。
7月に入ってからは絶好調でオールスター前最後の週間MVPも獲得しました。

6/2の怪我から復帰以降
34試合
打率.295
10HR
30打点
出塁率.336
OPS.890
wRC+141

安定感あるマスグローブ

開幕前トレーニング中にケトルベルを落として足の指を骨折し開幕に間に合わないという残念な状況でシーズンをスタートさせたマスグローブ。
メキシコシティで大炎上するなど序盤は苦しい投球もみられましたが、5月最後の登板から前半戦終了までは9試合中8試合でQSを達成。
昨季開幕から12試合連続QSを記録したミスターQSとも言うべき男が本領発揮しています。

コスグローブの思わぬ活躍

正直コスグローブのことは名前くらいしか知りませんでした。
マスグローブと絡めてネタのように認知していた選手ですが、まさかのデビューから13試合連続無失点という球団記録を樹立してしまいました。
左の変則投手ですが、速球左腕のヘイダー並みに被安打が少なく、四球もあまり出さないのでブルペンの頼れるセットアップになっています。

絶対的守護神ヘイダー

ブルペンがいい時と悪い時で波がある中、一貫して素晴らしいパフォーマンスを見せてくれているのがヘイダー。
昨季は7月に崩れ始めたのですが、今季は今のところ大崩しそうな気配はありません。
3連投を避けてきていたのですが、エンジェルスとのスイープがかかった連戦でついに3連投を解禁。
四球率がキャリアワーストペースなのは少し気になりますけどね。
もしパドレスが売り手になるならヘイダーは引く手数多になるはず。

守備はめちゃくちゃ堅い

打線や投手陣には浮き沈みがあるものの、今季のパドレスが一貫してリーグ最高峰のパフォーマンスを発揮しているのが守備です。
OAA(平均的な野手よりだれだけ多くのアウトをとれたかの守備指標)はチーム全体で24を記録しており、これは2位の15に大差をつけています。
誰か一人だけでなく全体的に守備が堅いのが特長で、特にMLBでもトップの数字を叩き出しているのがキムとタティスJr.です。
キムはOAAは11(2Bが10, SSが0, 3Bが1)、DRSは18(2Bが11, SSが4, 3Bが2)を記録し、タティスはOAAは7、DRSは15を記録しています。
投手陣の好成績がこの守備陣に支えられていることは間違いないでしょう。

マイナーのプロスペクトは再整備されている

昨年のデッドラインでソトを獲得するなどプロスペクトを大放出しました。
その影響もあって一時期パドレスのファームシステムのレベルはかなり低下しました。
しかし国際FAやドラフトを駆使してまたしてもトッププロスペクトは充実し始めています。
現在の公式プロスペクトランキングトップ100にはジャクソン・メリル(10位)、イーサン・サラス(49位)、ディラン・レスコ(66位)、ロビー・スネリング(84位)の4人がランクイン。
個人的に特に注目しているのがここに球団内ランキング5位のサミュエル・ザバラと6位のアダム・メイザーを加えた上位6プロスペクトたち。
メイザー以外は20歳以下と若い選手たちばかりなのでメジャー昇格まではまだまだ時間がかかりますが、彼らは単にランクが高いだけではなくそれぞれのカテゴリでしっかり結果を残している点が期待を持たせてくれます。

サンディエゴのファンは諦めていない

今季のパドレスは残念な成績ながらファン人気は凄まじいものがあります。
2022年も上位の人気があるチームで、平均観客動員数は37,268人(4位)でした。
今季はタティス、ソト、マチャド、ボガーツのビッグ4の人気もあってかここまでの平均観客動員数は40,379人(3位)。
残念な戦いぶりをみせている5月以降もその人気は衰えることなく、直近15試合連続で4万人以上の動員数を記録しています。
サンディエゴのファンはまだパドレスに期待している証拠でしょう。

トレードデッドラインどうする?

例年オールスター明けから話題をさらうのがトレードデッドライン。
今年は現地時間8月1日に設定されており、ここから二週間以上に渡りメディアやファンの間ではトレードに関する情報が飛び交うことになります。
2021年はシャーザーとターナーがドジャースへ移籍、2022年はソトがパドレスに移籍するなどスーパースターとトッププロスペクトの絡むブロックバスターが話題になりますが、超大物を獲得しなくてもここで的確な補強を進めたことが功を奏してリングまでたどり着くというパターンもあります。

近年の代表的な例としては、2021年のブレーブスは7月に好調のアクーニャJr.がプレー中に前十字靭帯を断裂する重症でシーズン全休が決定。
当時勝率5割付近だったブレーブスにとってはあまりにも痛い主力の離脱でしたが、デッドラインで3人の外野手(デュバル、ロサリオ、ソレア)を立て続けに獲得し、デッドライン時点で勝率.486の地区3位だったチームが地区優勝、さらにはソレアがワールドシリーズMVPに輝く活躍でリングを手にすることができました。

現時点で43勝47敗、勝率.478のパドレスもここから2021年ブレーブスのようになることを目指したいところですが、そもそもパドレスは買い手になるのか売り手になるのかという問題があります。
最近は各チームある程度の方針が決まってきて、今季ポストシーズンを狙いながらも不本意な前半戦で終わったホワイトソックス、カージナルスらは既に売り手に回ることが決まっています。
この2チームは主力を片っ端からプロスペクトにかえる完全解体で再建期に移行するわけではなく、ある程度主力を残し来季以降も戦える戦力を維持しながらも今オフか来オフあたりでFAになる選手をトレードに出すはずです。

パドレスは現在地区4位であることを考えれば同じように今オフにFAとなるヘイダーやスネルらを放出して来季に備える選択肢をとってもおかしくありません。
今季売り手に回ったとしても、ソトさえ出さなければ来季また仕切り直しすることができるはずです。
ですが、私の予想としては今後二週間ほどで勝率.480~500くらいまでいけば買い手になると考えています。
今以上に勝率を落とすようでは厳しいですが、7月に入ってから6勝2敗といい形でオールスターブレイクに入ったことで、チームとしても編成としてもここから上げいこうというモチベーションを持っている気がします。
そのためデッドライン付近でまだ負け越して地区4位だったとしても、主力は売らずにブルペンや強打者の補強に走るのではないでしょうか。
あるいは後半戦最初の数試合の出来次第では、デッドラインを待たずに欲しい選手の獲得に動くかもしれませんね。

もし買い手に回る場合、必ず補強したいのがブルペンになります。
ブルペンが最近崩壊気味なのは前述の通りですが、特に欲しいのが奪三振力の高いパワーピッチャー。
ポメランツの復帰はあまり期待できませんし、近いうちに復帰するかもしれないスアレスもすぐに昨季ほどのパフォーマンスを披露できるかわかりません。
今季は左の剛腕チャプマンが一番人気のリリーバーでしたが、早々にレンジャーズが獲得に成功しました。
トレードがほぼ確定的な投手の中で私が推しているのはホワイトソックスのミドルトンなのですが、ブルペン補強を狙うチームは他にもたくさんあるので、彼は結構な人気銘柄になりそうです。

こういうことを言うと身もふたもないのですが、正直プレラーGMの考えることはわかりません。
ここから怒涛の連勝でワイルドカード圏内に入って買い手に回るのが最も理想的な展開なのですが、流石にそこまでうまくいかないかな…

コメント

タイトルとURLをコピーしました