前回のア・リーグ東地区に引き続き、今回はア・リーグ中地区の優勝争いの展望について解説していきます。
参考記事:優勝争いの展望〈ア・リーグ東地区〉
ア・リーグ中地区のこれまで

ア・リーグ中地区で開幕前に下馬評が高かったのは、やはり昨季地区優勝を果たしているツインズでした。
しかしふたを開けてみると、開幕からわずか一ヶ月でその評価は覆ることになりました。
実際にツインズは開幕直後はスタートダッシュを決めたのですが、すぐに急落し最下位争いをするポジションに収まりました。
一方で、序盤存在感を見せたのは今季優勝争いに顔を出すとは思われていなかったロイヤルズでした。
しかし、ロイヤルズの隆盛も4月までしか続かず、5月に入るとこちらも急落していきました。
昨季ツインズと僅差の地区優勝争いを繰り広げたホワイトソックスとインディアンズですが、ホワイトソックスは序盤こそ他チームにリードを許していたものの、右肩上がりに勝率を上げていき5月時点で首位に立つと、そのまま一度も首位をあけわたすことなくここまできています。
一方のインディアンズは6月頃まではホワイトソックスの後ろにつけて首位の座をうかがっていたものの、昨季サイ・ヤング賞のシェーン・ビーバーが怪我で長期離脱するなどのアクシデントもあり、徐々に首位との差はひらき、一時期は勝率5割を切る事態に陥りました。
もはやプレーオフ進出は困難で、2位の座も安泰ではありません。
そして最後にタイガースです。
4月早々に負けがこみ、5月には一時期勝率3割を切るなどリーグ最悪のチーム状況に陥りました。
しかし、同じような状況でずるずる最下位を突っ走った東地区のオリオールズとは異なり、先発投手陣にケイシー・マイズなどの柱となる選手がいたことで、そこからは少しずつ勝率を回復していきました。
一時期は最下位確定かと思われましたが、2位インディアンズに肉薄するなど5月序盤までを考えると信じられないほどのV字回復を見せています。
また、先日はミゲル・カブレラが通算500号本塁打を放つなど、プレーオフ争いはできないまでも若手の躍動やノーヒットノーラン、ベテランの記録達成など別のところで魅せる活躍をしています。
現時点での順位
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 勝率 | ゲーム差 | 直近10試合 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ホワイトソックス | 79 | 57 | .581 | – | 7-3 |
2 | インディアンズ | 67 | 66 | .504 | 10.5 | 6-4 |
3 | タイガース | 64 | 73 | .467 | 15.5 | 3-7 |
4 | ロイヤルズ | 60 | 75 | .444 | 18.5 | 4-6 |
5 | ツインズ | 58 | 77 | .430 | 20.5 | 4-6 |
ホワイトソックスが完全な独走態勢に入っている反面、2位以下にはまだ順位の変動がありそうです。
特に最下位争いをしているロイヤルズとツインズは、タイガースが抜け出してからは何度も最下位の座を入れ替わっていますから、この2チームに関しては最後までどちらが最下位になるかわかりませんし、最近負けが多いタイガースはここから2位インディアンズを脅かすのか、あるいは最下位争いの仲間入りをしてしまうのかという部分も興味深いところです。
優勝争いの展望
上述の通り、この地区に関してはホワイトソックスが首位独走状態。
圧倒的な1強状態なので優勝チームはほとんど決まったようなものです。
中地区はワイルドカード争いでも遅れをとっていますから、ここからプレーオフ進出するのはホワイトソックスのみになる見込みです。
そのため、ここからホワイトソックスが考えるのは、タレント揃いのチームのピークを、どうやってプレーオフにもっていくかということになりそうです。
また、ホワイトソックスにはサイ・ヤング賞争いをしているランス・リンがおり、彼は現在IL入りしているため、彼がすぐに復帰できるのか、そしてサイ・ヤング賞に届くのか、という点が最も注目の的になりそうです。
参考記事:2021年サイ・ヤング賞候補12選