カブスはついにフランチャイズプレイヤーであるクリス・ブライアントを手放しました。トレード先はジャイアンツです。
クリス・ブライアント(29)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
833 | .279 | 160 | 465 | .378 | .886 | 38 |
ブライアントは2013年のドラフト全体2位でカブスに入団しました。
すぐに頭角を現すと2015年にメジャーデビューを果たし新人王を受賞すると、翌2016年には39本塁打&OPS.939という大活躍でシーズンMVPを受賞し、チームの悲願のワールドシリーズ制覇に貢献しました。
また、アメリカで大人気のドラマシカゴ・ファイアに本人役としてゲスト出演するなど、まさしく”シカゴの顔”のスーパースターでした。
しかし2020年には短縮シーズンの影響か急激に成績が悪化。
復活がまたれた今季は序盤絶好調だったものの6月に不振に陥り、チームがプレーオフ圏から転落する一因となりました。
彼の魅力は打撃だけでなくユーティリティ性にもあります。
本職は三塁手ですが、今季は三塁に加えて一塁、遊撃、レフト、センター、ライトを守っています。
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
93 | .267 | 18 | 51 | .358 | .861 | 4 |
トレードの内容
レッドソックスが獲得した選手:クリス・ブライアント
ナショナルズが獲得した選手:アレキサンダー・カナリオ、カレブ・キリアン
カナリオはジャイアンツのプロスペクトランキングで9位の21歳の外野手。
キリアンは同30位の24歳右投手です。
ランク的にはカナリオの方が上ですが、キリアンは今季AAで非常に好成績を残しており、来季にもデビューできそうです。
ジャイアンツの思惑
ドジャース、ジャイアンツ、パドレスの三つ巴となっているナ・リーグ西地区で、このトレードデッドラインでの補強というのは今後の戦力図を大きく塗り替える可能性があります。
パドレスはややちぐはぐながらもオールスター級選手を補強し、ドジャースは大型トレードでスーパースターを獲得しました。
首位争いを繰り広げているジャイアンツとしては、ライバルの補強を指をくわえてみているわけにはいきません。
今季のジャイアンツがここまでリーグ最高のチームとして戦ってこれたのは、思いがけず機能した打線のおかげでした。
チームOPSがリーグ1位という強力打線にリーグ最高峰の投手陣がかみ合ってパワーランキング1位にまで上り詰めたわけです。
しかし、怪我がちな選手やベテランがほとんどの野手陣は、フルシーズン戦うには心もとないことも事実で、実際に今季のジャイアンツで規定打席に到達しているのはマイク・ヤストレムスキただ一人です。
ブライアントはまだ若く、なおかつ外野も内野もできるユーティリティ性でここに完璧にフィットする選手です。
ジャイアンツは今季ワールドシリーズ制覇を狙えるチームですから、この補強で一段上に行くのではないでしょうか。
また、ジャイアンツはこれに加えてエンジェルスからトニー・ワトソンも獲得しました。
今季リリーフが倒壊しているエンジェルスにあってワトソンも好成績とは言えない成績でしたが、彼は2018年から3年間をジャイアンツで過ごした選手です。
またジャイアンツに復帰することで、彼も成績を向上させてチームに貢献するかもしれません。
カブスの思惑
ファイアーセールは、ついにチームの顔であったクリス・ブライアントにまで及びました。
新人王、MVP、ワールドシリーズ制覇とチームに貢献し続けた彼を惜しむファンは多いはずです。
しかしそこはMLB。やはり割り切って動いてきました。
これはすなわち長期的な再建期に入ることを意味します。
優勝争いに復帰するにはおそらく数年はかかるでしょうが、それも覚悟の上のトレードです。