フィリーズは、3対3の大型トレードでレンジャーズのエース カイル・ギブソン、守護神イアン・ケネディを獲得しました。
カイル・ギブソン(33)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
224 | 75 | 77 | 4.42 | 1267.1 | 997 | 1.40 |
ギブソンは2009年のドラフト全体22位指名選手で、2013年にツインズでメジャーデビュー。
二桁勝利を5度記録しており、3番手、4番手クラスの投手として先発ローテーションを守ってきました。
打たせて取るタイプで、今季は前半戦はリーグ屈指の成績を残しオールスターにも選出されました。
ところが7月は連続で炎上するなどやや苦しんでいます。
契約期間が来季まで残っており、今回のデッドラインでトレードされるかどうかは五分五分でした。
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
19 | 6 | 3 | 2.87 | 113.0 | 94 | 1.18 |
イアン・ケネディ(36)
試合 | 勝 | 敗 | セーブ | 防御率 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
401 | 97 | 105 | 46 | 4.10 | 1683 | 1.28 |
2006年全体1位指名を受け、2007年に早速メジャーデビュー。
2010年にダイヤモンドバックスへ移籍するとその才能を開花させ、2011年には21勝&防御率2.88という成績でサイ・ヤング賞投票4位の結果を残しました。
それからも毎年30登板以上を続けるワークホースでしたが、2019年に完全にリリーフへと転向し、この年30セーブをあげます。
2020年は15試合で防御率9.00という惨状で、年齢的な問題もあり今季のレンジャーズは当初マイナー契約を結びましたが、ケネディは一昨年の力を取り戻しクローザーとして十分な働きを見せています。
試合 | 勝 | 敗 | セーブ | 防御率 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
32 | 0 | 0 | 16 | 2.51 | 35 | 1.05 |
トレードの内容
フィリーズが獲得した選手:カイル・ギブソン、イアン・ケネディ、ハンス・クロース、金銭
レンジャーズが獲得した選手:スペンサー・ハワード、ケビン・ゴーディ、ジョス・ゲスナー
今回のトレードに登場している6選手全員が右投手です。
最も注目すべき選手はレンジャーズが獲得したハワードで、25歳の彼は元々MLB全体50位以内に入るトッププロスペクトで、昨季メジャーデビュー。
今季もメジャーで登板しています。
まだメジャーではあまり結果を残せていませんが、AAAでは別格だったため、そのうちメジャーに適応すると思われます。
フィリーズの思惑
フィリーズは現時点で勝率5割を切っていますが、地区2位につけています。
この地区全体のレベルが低く、首位メッツでも勝率.529であるため、地区優勝は十分狙える位置にいます。
補強ポイントはいくつもあるフィリーズですが、最大の弱点が投手陣でした。
先発投手では、ザック・ウィーラーが今季サイ・ヤング賞級の活躍をしているものの、エースのアーロン・ノラが思ったほどの成績を出せず、3番手ザック・エフリンもまずまずです。
4番手以降は話にならず、ここの補強が必須でした。
またクローザーのヘクター・ネリスは昨季同様によくなく、ある程度実績のあるリリーバーが必要でした。
レンジャーズから獲得したギブソン、ケネディはその要求に完全にフィットする存在で、若手のハワードは失ったものの、代わりにさらに若いクロースをもらったのでそれほどダメージにはならないでしょう。
ギブソンは来季も契約が残っているので、今季結果を残せるなら来季にも期待できます。
レンジャーズの思惑
ケネディはともかく、もう一年契約が残っているギブソンを放出するかは五分五分でした。
主砲ギャロも放出したことで完全に再建モードに入ったレンジャーズとしては、ギブソンを商品価値の高いうちに売り出す必要があったのでしょう。
ただ少し気になるのは25歳のハワード獲得に、ベテラン投手2人だけでなくさらに若い22歳のハンス・クロースまで差し出してしまったこと。
彼はこのトレード後にフィリーズのプロスペクトランキングで4位にランク付けされました。
3対3とは言え、クロースを出したのはいずれ後悔することになりそうな気がします。