89勝パドレスの2022レギュラーシーズンを振り返る

パドレス MLB

ドジャースに次ぐ戦力を持つ優勝候補として開幕を迎えながら終盤に大失速し、プレーオフ逸どころかシーズン負け越しを喫した2021年シーズン。
その絶望を繰り返さないために再び戦力を整えて臨んだ2022年シーズンは、89勝73敗、ワイルドカード2位でのポストシーズン進出というフルシーズンでは16年ぶりの快挙を達成しました。
これから非常に厳しいポストシーズンが始まりますが、とりあえずは2022年レギュラーシーズンを振り返ることで心の落ち着きを取り戻そうと思います。

主な出来事2022

ロックアウト前の補強

2021年シーズン開幕前にダルビッシュスネルマスグローブらをトレードで相次いで獲得しましたが、2021年オフはロックアウトの影響もあって大補強には至らず、基本的には現有戦力を少しアップグレードする程度の補強が行われました。

ロックアウト前の主な補強としては、ホルヘ・アルファロをマーリンズからトレードで、そしてFAでルイス・ガルシアロベルト・スアレスをそれぞれ獲得しました。

タティスJr.の故障発覚

2021年シーズンに42ホーマーを放ち本塁打王にまで輝いたタティスJr.がオフの間にバイク事故を起こし、手首を骨折していたことが発覚。ロックアウトのためこれが公表されたのは3月のことで、復帰には3ヶ月を要するとされました。
これによりパドレスは開幕から最初の2ヶ月程度は主砲を欠いた状態で戦わなくてはならないことが確定。さらにバイク事故がいつのことかを尋ねた記者に”Which one?”と、バイク事故が複数回あったことを示唆する返答をしてファンを失望させました。

開幕前の駆け込み補強

3月半ばにロックアウトが解除され、FAのニック・マルチネスを獲得。
加えて4月に入ってからショーン・マナイアテイラー・ロジャースをそれぞれトレードで獲得。
特にクローザーを誰にするのか不透明だったところにロジャースを獲得したことで、ようやくリリーフ陣が固まった感がありました。

注目ルーキーのロースター入り

2022年シーズンから新人選手に対する制度に変更があったことで、各チームがこぞってトッププロスペクトを開幕ロースター入りさせましたが、パドレスもNo.1プロスペクトのCJ・エイブラムスがロースター入り。
その後一足遅れて投手のマッケンジー・ゴアもメジャーデビューを果たし、投打のプロスペクトがそろい踏みしました。

開幕から2先発連続ノーヒッター

開幕投手となったダルビッシュが敵地でいきなり6回をノーヒッターの快投を見せると、翌試合にはパドレスデビュー戦となったマナイアが7回ノーヒッター。
開幕から先発投手が2者連続でノーヒットピッチを見せたのはもちろん史上初の出来事でした。

ロジャースが絶対的守護神に

駆け込みトレードで加入したロジャースが4,5月の2ヶ月で防御率1.64、17セーブをあげる活躍で絶対的守護神として定着し、早くも最多セーブの最有力候補の一人に。
まさかここからあんな展開になるとはこの時は思いもしませんでした…

6月の地区首位争い

序盤は前年同様ドジャース、ジャイアンツとの三つ巴の上位争いを繰り広げていましたが、6月頃にはドジャースとの地区首位争いに。
6/16にドジャースを抜いて0.5ゲーム差で一時的に首位に立ったものの、パドレスの天下は三日と続かず6/18にドジャースに奪い返されてしまいます。
その後は一時的にゲーム差なしにまで詰め寄る瞬間はあったものの天下を取り戻すまでには至らず。

Let’s Fucking Go San Diego!

5月の母の日に逆転サヨナラ3ランを放ちヒーローになったアルファロが、6/21に2度目のサヨナラ打。その際にインタビューで“Let’s fucking go San Diego”と放送禁止用語を口走ってしまいましたが、これが後に今季のパドレスを代表する標語に。
“Slam Diego”に代わり“LFGSD”を叫ぶアルファロはその後もサヨナラ機に活躍し続け、シーズン終了時までに5度もサヨナラ勝利を呼び込みカルトヒーローに。
しかし放送禁止用語を叫んでしまうためインタビューが放送されることはなくなりました。

7月の負け越し

6月までドジャースと首位を競り合っていたにも関わらず、7月に入ると急失速。
序盤打ちまくりチームを引っ張っていたマチャドを筆頭に打撃陣が軒並み不振に陥ったのに加えて、投手陣でも新人王最有力候補の活躍を見せていたゴアの不振やロジャースが防御率9.31と絶望的に調子を落とすなど、とにかく投打ともに一気に落ち込みました。
結果的に7月は11勝14敗と負け越し、その間も着々と勝ちを積み上げ続けた首位ドジャースとの差はもはや埋めるのが難しいほどひらいてしまいました。

守護神交代

序盤は圧倒的だったロジャースが急転直下、一時はクローザーをはく奪される状況にまで陥ったことで、パドレスは新しいクローザーを模索することに。
そこで白羽の矢が立ったのが似たような状況になっていたジョシュ・ヘイダーでした。ヘイダーは開幕から18試合連続セーブのメジャー新記録や40試合連続無失点のメジャータイ記録を樹立するなど序盤はロジャース以上に圧倒的な存在でした。しかし、7月に入ってから相次いで失点するようになり、ついには1回持たずに3被本塁打6失点するような試合もあってブルワーズでの状況が悪化していました。
そこでパドレスとブルワーズは共にコンテンダーながらお互いの守護神を交換することになり、トレードデッドライン前日にトレードを成立させ予想していなかったファンを驚かせました。

ちなみにその後ロジャースはパドレスから送り込まれた刺客のごとくブルワーズのプレーオフ逸に貢献してしまうことに…

ブロックバスターでソト獲得

ある程度コンテンダーがどこになるか見えてくるシーズン中盤、フアン・ソトがナショナルズの契約延長オファーを断ったという報道が出て一躍トレードデッドラインの目玉に。
ソトは今季は例年に比べて好成績を残せていないものの、FAまでの期間が長いこともあって数々の有力チームが彼の獲得に躍起になりました。
そうして最終的に有力候補となったのがパドレス、ドジャース、カージナルスでした。パドレスは似たような状況で前年にシャーザーをドジャースに掻っ攫われており、パドレス優位の報道が出る中ファンもやきもきしながらデッドライン当日を迎えました。

彼の獲得に最もご執心だったパドレスはエイブラムスゴアウッドハッセルスサナらトッププロスペクトを軒並み放出する大量出血でソトに加えジョシュ・ベルを手に入れました。
また、当初このトレードにはホズマーの放出が含まれていましたが、彼がトレード拒否権を行使したことで代わりにボイトがナショナルズ送りに。代わりにホズマーはレッドソックスへとトレードされていきました。

さらにこれに加えてパドレスはレッズから内野の強打者ブランドン・ドルーリーもトレードで獲得。彼はパドレスデビュー戦初打席でグランドスラムを放つなど、何気にデッドラインで獲得した野手の中では一番と言っていいほどの活躍を見せます。

ヘイダー大不振

心機一転パドレスへやってきたヘイダーは、移籍後初めてのセーブ機会で3失点の炎上。その後も何度か炎上し、8月の防御率はなんと19.06に。
MLB Networkでは生まれて間もない子供に健康上の問題があったと明かされ不振のヘイダーに同情の声が集まりましたが、後に彼の妻がこれを否定。真相はよくわかりませんが、彼は9月に入ると復調してくれたのでよかった。

タティスJr.に出場停止処分

3月時点では3ヶ月で復帰とされていたもののいつまで経っても戻ってこなかったタティスJr.が8月に入ってようやくマイナーでリハビリ開始。8月中か9月にはメジャー復帰してチームの起爆剤になることを期待されていたものの、8/12に突然PED違反で80試合の出場停止処分を科されました。
アナボリックステロイドであるクロステボルを使用していたことでドーピング検査陽性になり、彼は処分を受け入れました。しかし、この件についての声明で白癬治療のための薬に入っていて気付かなかったなど言い訳じみた内容には批判が集まり、また彼の両親が彼を擁護する様も波紋を広げました。
私の知る範囲では結局真相はよくわからないままでしたが、タティスJr.は後にチーム関係者やチームメイトに直接謝罪。前述のバイク事故の件と併せて、彼の精神的未熟さが露わになった事件でした。
この後すぐに出場停止処分が開始され、来季も開幕から出場停止は続きます。どれくらいの期間になるかは、今季のパドレスがポストシーズンで何試合戦うかによって変動することに。
また、この出場停止期間を利用して彼は近年思わしくなかった肩を手術しました。

主力投手の好調

1勝の重要性がより増した9月は、パドレス、フィリーズ、ブルワーズの3チームでワイルドカード2,3位の2枠を争う状況に。
そういった状況下で、打線は相変わらず微妙だったものの投手陣の鍵となる選手らが復調。
9月の月間最優秀投手に輝いたダルビッシュを筆頭に、スネルマスグローブ、それに前述のヘイダーも好成績を残すようになりました。
マナイアクレビンジャーマルチネスらは苦しい投球があったものの、天敵ドジャースとの対戦が9試合もあった9月をなんとか13勝12敗の勝ち越しで乗り切りました。

ポストシーズン進出

マジック1で迎えた10/2、ブルワーズが敗北したことでパドレスの試合中にポストシーズン進出が確定。これはフルシーズンでは2006年以来16年ぶりの快挙でした(2020年は短縮シーズンでポストシーズンに出ています)。
ポストシーズンが確定した瞬間観客は大いに沸き、その際打席に入ろうとしていたベルは自分がプホルスになったかのように感じたとのこと。そしてベルは三振しました。

シーズン90勝とはいかなかったものの、最終成績89勝73敗の勝率.549で終えることができました。昨季からは10勝を増し、トレードデッドラインで目玉を獲得できたことや終盤に失速しなかったことで昨季とは全く違うチームになったと思います。

ポストシーズン展望

ワイルドカードシリーズでは、ブレーブスとの地区優勝争いに敗れワイルドカード1位になったメッツと敵地ニューヨークで対戦します。
今季からシステム変更されたこのシリーズは2戦先勝の3戦制です。

Game 1 ダルビッシュ vs シャーザー →確定
Game 2 スネル vs デグローム →予想
Game 3 マスグローブ vs バシット →予想

現時点では第一試合の先発投手が確定しています。二戦目の先発は一戦目の結果次第になると思われます。おそらくパドレス側はこの予想通りでしょうが、メッツは一戦目の結果次第でデグローム以外の投手を登板させる可能性もありそうです。
ちなみにパドレスはコロナ疑いのクレビンジャーが帯同しません。

このシリーズを制しNLDSに進出すれば、今季111勝の歴史的シーズンを送ったドジャースと対戦することになるため、どちらのチームもできればエース級投手を温存しておきたいところです。

パドレス主力選手の今季成績

PlayerGSW-LERAIPSOBBHRWHIP
ダルビッシュ3016-83.10194.219737220.95
マスグローブ3010-72.93181.018442221.08
マナイア288-94.96158.015650291.30
スネル248-103.38128.017151111.20
クレビンジャー227-74.33114.19135201.20
PlayerGSVERAIPSOBBHRWHIP
ヘイダー56365.2250.0812181.28
マルチネス4783.47106.19541151.29
クリスマット5002.9467.1652251.17
ガルシア6433.3961.0681731.21
ヒル5503.5648.0251411.23
スアレス4512.2747.2612141.05
ウィルソン5013.0653.0532071.17
モレホン2604.2434.028941.18
ジョンソン1505.0214.121811.53
スタメン3304.4340.2351091.35
PlayerGAVGHRRBIOBPOPSSB
マチャド150.29832102.366.8979
ソト153.2422762.401.8536
ドルーリー138.2632887.320.8122
クロネンワース158.2391788.332.7223
プロファー152.2431558.331.7225
キム150.2511159.325.70812
ベル156.2661771.362.7840
グリシャム152.1841753.284.6257
アルファロ82.246740.285.6681
マイヤーズ77.261741.315.7132
ノラ110.251440.321.6502
アゾカー98.257010.298.6305

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