2022年シーズンをNLCS敗退で終えたパドレス、来季こそはワールドシリーズ制覇を狙う上でこのオフどんな補強が必要なのか。
現有戦力とFA市場を見ながらパドレスの補強ポイントを考えます。
主な現有戦力
Player | GS | W-L | ERA | IP | SO | BB | HR | WHIP |
ダルビッシュ | 30 | 16-8 | 3.10 | 194.2 | 197 | 37 | 22 | 0.95 |
マスグローブ | 30 | 10-7 | 2.93 | 181.0 | 184 | 42 | 22 | 1.08 |
スネル | 24 | 8-10 | 3.38 | 128.0 | 171 | 51 | 11 | 1.20 |
Player | G | SV | ERA | IP | SO | BB | HR | WHIP |
ヘイダー | 56 | 36 | 5.22 | 50.0 | 81 | 21 | 8 | 1.28 |
クリスマット | 50 | 0 | 2.94 | 67.1 | 65 | 22 | 5 | 1.17 |
ガルシア | 64 | 3 | 3.39 | 61.0 | 68 | 17 | 3 | 1.21 |
ヒル | 55 | 0 | 3.56 | 48.0 | 25 | 14 | 1 | 1.23 |
ウィルソン | 50 | 1 | 3.06 | 53.0 | 53 | 20 | 7 | 1.17 |
モレホン | 26 | 0 | 4.24 | 34.0 | 28 | 9 | 4 | 1.18 |
アダムス | 2 | 0 | 0.00 | 2.1 | 2 | 3 | 0 | 1.29 |
ポメランツ | – | – | – | – | – | – | – | – |
Player | Pos | G | AVG | HR | RBI | OBP | OPS | SB |
マチャド | 3B | 150 | .298 | 32 | 102 | .366 | .897 | 9 |
ソト | RF/LF | 153 | .242 | 27 | 62 | .401 | .853 | 6 |
クロネンワース | 2B | 158 | .239 | 17 | 88 | .332 | .722 | 3 |
キム | SS | 150 | .251 | 11 | 59 | .325 | .708 | 12 |
グリシャム | CF | 152 | .184 | 17 | 53 | .284 | .625 | 7 |
アルファロ | C | 82 | .246 | 7 | 40 | .285 | .668 | 1 |
ノラ | C | 110 | .251 | 4 | 40 | .321 | .650 | 2 |
アゾカー | OF | 98 | .257 | 0 | 10 | .298 | .630 | 5 |
タティスJr. | SS/OF | – | – | – | – | – | – | – |
今季プレーした主力の中では、クレビンジャー、マナイア、ジョンソン、スタメン、ドルーリー、ベルらがFAになります。
オプション組では、マイヤーズが球団オプションです。しかし2000万ドルと高額のためパドレスがこのオプション行使することはまずあり得ません。そのため、マイヤーズもFAになるのはほぼ確定的。
選手オプションを持っているのがプロファー、マルティネス、スアレスの3選手。
プロファー 833万ドル
マルティネス 700万ドル
スアレス 500万ドル
どの選手もオプション破棄してFA市場に出ていく可能性があり、とりあえずFAになると考えたほうが無難でしょう。
補強ポイントと有力ターゲット
①SP
2022年シーズン開幕時には先発投手候補が大量にいたものの、最終的にはダルビッシュ、スネル、マスグローブ、クレビンジャー、マナイアの先発ローテーションに。しかし信頼できるのは最初の3人だけで、クレビンジャー、マナイアは後半戦大いに苦しみました。この2投手は今季で契約終了するため、4、5番手を揃える必要が出てきました。
今季所属した選手でローテーションを揃えるとしたら、三本柱に加えてマルティネス、モレホンに4,5番手を任せる方法があります。マルティネスがオプション破棄した場合は残留交渉する必要がありますが、おそらくパドレスは基本的にマルティネス残留の方向で動くはずですので、これは一番簡単です。しかし、元々先発投手として獲得したマルティネスはともかく、モレホンは今季全てリリーフ登板で先発としてどの程度できるのかは不透明。先発ローテーションの誰かが故障で長期離脱した場合のバックアッププランもなくなるので、今季と比較して戦力的に劣る可能性があります。
このポストシーズン信頼できる4番手投手不在という状況に泣いたパドレスとしては、4番手までは実績ある投手で揃えたいはずです。そのため、FAまたはトレードを駆使して最低でも一人は先発投手を獲得すると考えていいでしょう。
今オフのFA市場に出てくる可能性が高い投手の中でトップクラスなのは、ロドン(オプトアウト)、カーショウ、デグローム(オプトアウト)、バーランダー(選手オプション)あたりです。
来季30歳と最も若いロドンはどのチームもエースとして欲しい投手ですが、昨オフのレイ、ゴーズマンらの契約を参考にすると、獲得には最低でも5年1億1000万ドルは必要になってくるはずです。若い先発投手が少ない今回のFA市場を見ると、あるいはもっと高騰するかもしれません。ロドンは最優先ターゲットではありますが、マネーゲームになればパドレスは撤退せざるを得ないでしょう。
カーショウ、デグローム、バーランダーの3投手はいずれも投げればサイ・ヤング賞級ですが、故障が怖いのと年齢的な衰えで手は出しづらいところ。
ティア1に相当する上記4投手の獲得が難しいとなれば、2,3番手クラスのティア2の投手を一人は獲得したいところ。
今季良好なパフォーマンスだった中では35歳未満のバシット(相互オプション)、イオバルディ、アンダーソン、ペレス、タイオン、ワカ、ストリップリングらが狙い所です。
②1B
開幕時はホズマー、トレードデッドライン後ではドルーリー、ベル、マイヤーズらで回していましたがいずれもFAに。
ベル、ドルーリーのどちらかと残留交渉というのが無難なところではありますが、いずれもパドレス移籍後に大きく成績を落としており、特にベルはあまり印象が良くありません。その分安く契約できる可能性はありますが、1BかDHでの起用に限られるベルに比べるとユーティリティ性と長打力に勝るドルーリーの方がチームの助けになる可能性はあります。
FA市場に出てきそうな有力1Bはアブレイユ、リゾー(選手オプション)くらいで、豊作とは言えません。人格的にも評価が高く、今季も打率3割の好成績を残したアブレイユは素晴らしい選手ですが、如何せん来季36歳という年齢がネックになります。それに対してリゾーは長打力には非常に魅力があり、今季は低BABIPの影響もあって打率が低かったのですが、来季はある程度の揺り戻しにも期待できます。NLCSでフィリーズの一発攻勢に泣かされたパドレスにとっては、彼のような一発がある選手が必要でしょう。加えてリゾーはメジャーデビューがパドレスだったこともあって、契約条件さえ合えばいい最上のオプションだと思われます。
③OF
OFは2つの未確定要素に左右されます。
一つはプロファーの去就。選手オプションを持つ彼がFAになればLFが空席になります。
そしてもう一つはタティスのポジション。今季全休となったタティスの出場停止試合数は、ポストシーズンで勝ち進んだ甲斐あり残り20試合になりました。来季は4月20日に復帰することが可能なタティスには、SS、RF、CFの3ポジションの可能性があります。
SSは今季素晴らしい活躍を見せたキムがおり、RFにはソト、CFにはグリシャムがいます。まず第一にSSに戻るかどうかですが、守備力を考えればタティスよりはキムの方がいいでしょうから、OFに回る可能性は高いと思われます。今季の陣容のままであれば不振だったグリシャムを追いやってCFに入るでしょうが、プロファーが出ていくのであればソトがLFに、タティスがRFというコンバートが考えられます。そうなるとCFはグリシャムのままになりますが、ここはFA、トレードで補強するしかありません。
CFで有力なFA選手はニモ、トレードならレイノルズが選択肢に上がります。
ニモは本塁打こそあまり多くありませんがOPS.800前後が期待できる上、守備も特に心配はありません。レイノルズはこれまでもトレードの噂が多く上がっており、パドレス以外にも興味を示しているチーム多数あります。CFとしてはトップクラスの長打力の持ち主であり、今季DRS-14と守備貢献度が低かったことは気になりますが、来季28歳という若さとFAまで3年保有できる点が非常に魅力的です。トレードとなるとパドレスの枯渇したトッププロスペクトで獲得できるかどうかが問題になりますが。
半端な補強では勝てない
今季はタティス抜きでNLCSまで進出したとはいえ、確実にポストシーズンに進出しワールドシリーズを目指すにはまだ戦力が足りないと感じます。
ポストシーズンを勝ち抜く上で最も大きな弱点だと感じたのが4番手投手で、ダルビッシュの年齢や怪我がちなスネルのことを考えるなら、多少無理をしてでも安定感ある先発投手を獲得することは必要です。欲を言うならやはりロドンを手に入れたいところですね。