今回は私の応援するパドレスの周辺状況を探るため、NL西地区の各チームの戦力状況を簡単に紹介していきます。
Los Angeles Dodgers(昨季111-51)
主な新戦力
ノア・シンダーガード
シェルビー・ミラー
アレックス・レイエス
JD・マルティネス
デビッド・ペラルタ
ミゲル・ロハス
ジェイソン・ヘイワード
主な退団選手
トレバー・バウアー
タイラー・アンダーソン
アンドリュー・ヒーニー
クレイグ・キンブレル
クリス・マーティン
トミー・ケインリー
トレイ・ターナー
ジャスティン・ターナー
コディ・ベリンジャー
ジョーイ・ギャロ
今季の陣容
昨季は球団新記録の111勝を記録するなど充実したレギュラーシーズンを過ごしながらもポストシーズンではNLDSで敗退してしまったドジャース。
今季はWSを制覇するためにどんな補強をしてくるかと注目されていましたが、蓋を開けてみると意外なほど静かなオフシーズンとなりました。
スター選手T・ターナーを引き止めなかったことに加え、J・ターナーを球団オプション破棄、ベリンジャーをノンテンダーとしたことでSS、CF、3Bの3つのポジションに空きができましたが、結局最後まで大型補強で埋めることはせず、野手で獲得したのはマルティネス、ペラルタ、そしてトレードでロハスのみでした。
最も大きな注目ポイントだったSSは昨季まで2Bだったラックスをコンバートさせ、バックアップとしてロハスを用意することで乗り切ろうとしていましたが、なんとスプリングトレーニング中にラックスが前十字靭帯断裂の重傷を負ってしまい今季全休になったことでプランが崩壊してしまいました。
それでもロハスを獲得していたことでなんとか大きな穴はできずに済むわけですが、想定外のSSの層の薄さが今季のドジャースの最大の弱点になり得るかもしれません。
ただ、悪いことばかりではありません。
そもそもドジャースがこのオフに大型補強を敢行しなかったのは、豊富なプロスペクトに出番を与えたいからというのが大きな理由でしょう。
期待の若手ラックスこそ失ってしまいましたが、2B/3Bのバルガス、外野のアウトマンなど、今季一気に台頭してくる可能性のある新人がいます。
そしてそれは投手陣も同じ。
アンダーソン、ヒーニーという2人の左腕を放出した先発ローテーションはシンダーガードを補強しただけですが、ペピオ、ストーンらメジャーですぐ登板できるレベルの期待のプロスペクトが複数います。
今季はメイが本格的な復帰のシーズンとなることもあって、投手も若手に多く出番が与えられるシーズンになる予感がします。
将来のオールスターになりそうな若手が複数デビューする予定とはいえ、WSを狙うドジャースとしては総合戦力的に心もとないことは事実。
111勝した昨季と比べると戦力ダウンはしており、若手が思うような結果を出せない場合は後述のパドレスの後塵を拝する可能性も十分ありそうです。
San Diego Padres(昨季89-73)
主な新戦力
マイケル・ワカ
セス・ルーゴ
ブレント・ハニーウェル
ザンダー・ボガーツ
マット・カーペンター
ネルソン・クルーズ
アダム・エンゲル
フリオ・テヘラン
主な退団選手
マイク・クレビンジャー
ショーン・マナイア
ピアース・ジョンソン
ジョシュ・ベル
ブランドン・ドルーリー
ホルヘ・アルファロ
ウィル・マイヤーズ
ジュリクソン・プロファー
今季の陣容
パドレスは今オフの主役と言っていいほどの積極的な動きを見せ、地区優勝、WS制覇に向けて準備は万端。
例年ならばアッと驚くトレードでファンを魅了するプレラーGMですが、意外なことにこのオフはまだトレードはゼロ(開幕までに敢行する可能性はありますが)。
その代わり大型契約延長とFA補強で存在感を示しています。
弱点と思われていた外野の補強は守備型のエンゲルにとどまり、何故か主力が固まっていたSSにボガーツを獲得。それにより玉突きでキムとクロネンワースがコンバートすることになりましたが、もう一つの補強ポイントであった1Bはクロネンワースで埋まりました。
また、カーペンターとクルーズの大ベテランも獲得し打線を強化。
4/20に出場停止中のタティスが復帰すれば打線だけはリーグ最高クラスと言ってもいいでしょう。
最も不安視されていた先発ローテーションは、昨季は主にブルペンだったマルティネスとルーゴを先発起用することに加え、FAでワカを獲得したことで頭数だけは揃いました。
ただ、先発候補は30代のベテランばかり。怪我や衰えが気になります。
グルームとモレホンの台頭に期待したいところですが、彼らの出番がないくらいベテラン勢がローテーションを守り切るのが理想的な展開です。
ベテラン陣の衰えと主力の怪我が心配ではありますが、戦力充実度とその実績だけなら西地区でも最高峰。
贔屓目なしで今季の地区優勝最有力候補と言っていいでしょう。
San Francisco Giants(昨季81-81)
主な新戦力
ミッチ・ハニガー
マイケル・コンフォルト
ロス・ストリップリング
ショーン・マナイア
テイラー・ロジャース
ルーク・ジャクソン
ロベルト・ペレス
主な退団選手
カルロス・ロドン
ブランドン・ベルト
エバン・ロンゴリア
トミー・ラステラ
今季の陣容
ジャイアンツは今オフ最も悲運だった球団。
FAで地元育ちのジャッジ獲得に資金を投じることを宣言し、一時はジャイアンツに決まったかのような報道まで出たものの最終的にヤンキース残留。それならばと資金の使い道をコレアに変更し、こちらは13年$350Mという巨額契約で合意にこぎつけたもののフィジカル検査を経て破談に至りました。
コレアとの破談の際には既に市場から大物が消え去っていたこともあり、$300M規模の資金を投入する先も無くなってしまいました。
結局今オフ獲得した選手は30歳前後の中堅どころばかりで、戦力的には昨季同様勝率5割前後を狙うレベル。同地区にドジャースとパドレスというバリバリのコンテンダーが存在することもあり、ポストシーズンを狙うのは少し厳しいかもしれません。
基本的にはある程度キャリアのある選手で構成されているジャイアンツですが、期待の若手もいないわけではありません。投手ではハリソン、野手ではシュミットというプロスペクトがおり、彼らがシーズン途中に昇格してくれば顔ぶれも多少フレッシュになるでしょう。
コンフォルト、ハニガーら強力な新戦力を獲得した外野と違い、内野は既存の戦力ばかりかつ破壊力のある選手に欠けるため、ゴールドグラブ級の守備と打撃にも定評があるシュミットには大いに期待したいところ。
スター不在で前評判の高くないジャイアンツですが、決して侮ってはいけません。
同じくドジャースとパドレスの2強と予想されていた2021年はパドレスが思わぬ不振に陥る中ドジャースとのデッドヒートを演じ、最終的には球団記録の107勝で地区優勝を勝ち取りました。
今回も獲得した選手がことごとくハマればもしかすると…
Arizona Diamondbacks(昨季74-88)
主な新戦力
ガブリエル・モレノ
ルルデス・グリエル
エバン・ロンゴリア
アンドリュー・チェイフィン
カイル・ルイス
ミゲル・カストロ
スコット・マクガフ
主な退団選手
ドールトン・バーショウ
ジョーダン・ルプロウ
クーパー・ハメル
カレブ・スミス
イアン・ケネディ
今季の陣容
リーグ屈指のプロスペクト層を誇るダイヤモンドバックスは今オフはまだ大きなFA補強には手を出さず、その代わりいくつかのインパクトあるトレードを成立させました。
中でも大きかったのはトップクラスの若手捕手モレノの獲得。見返りとして昨季27HRのバーショウを出すことになりましたが、パッケージにグリエルが含まれていたことと、別のトレードでルイスを獲得したことで外野の充実度は相変わらず高いまま。
反面ややインパクトの欠ける内野は特に三遊間が弱点。ロンゴリアを獲得したことで急場はしのげそうですが、ここはトッププロスペクトのSSロウラーの昇格する1,2年後まで辛抱が必要なところです。
投手陣はギャレン、ケリーの1,2番手はコンテンダーに劣らないものの、3番手以降のタレントが不在。
しかしこちらの問題も昨季デビューのネルソン、ジェイムソンに加え今季デビューが予想されるファートが加わることで2, 3年以内には解消されそうです。
また、最大の弱点と思われるブルペンはチェイフィンらを獲得したものの盤石とは言えず。こちらはコンテンドする際に一新する必要があるでしょうが、今季は中堅どころの選手で穴を埋めている状況。
ダイヤモンドバックスは投打ともにプロスペクトを多数抱えているため今後数年で一気に台頭してきそうな戦力ですが、現時点ではまだポストシーズンを狙うには弱点が多い印象。今季はあくまで若手のデビュー、成長を見守るシーズンになるとは思いますが、勝率5割は現実的に狙える戦力が揃ってきています。
Colorad Rockies(昨季68-94)
主な新戦力
ジュリクソン・プロファー
ピアース・ジョンソン
マイク・ムースタカス
ブラッド・ハンド
ブレント・スーター
ハロルド・カストロ
ノーラン・ジョーンズ
主な退団選手
ホセ・イグレシアス
チャド・クール
コナー・ジョー
サム・ヒリアード
ギャレット・ハンプソン
アレックス・コロメ
今季の陣容
昨年のオフにFAでブライアントを獲得するなど思いがけない補強を見せたロッキーズ。今オフはどんなサプライズ補強が飛び出すのかと私も注目していましたが大きな補強はほとんどなく、最大の補強はWBC終了後プロファーを獲得したこと。
昨年94敗した戦力から大きな上積みはなく今季も最下位が予想されます。
大きな見どころとしては今季こそ健康な一年を過ごしたいブライアントがフルシーズンでどんな成績を残すかという点と、プロスペクトのトバーが実質的な一年目でどこまで成長できるか。
この2人の活躍は今後のロッキーズの編成計画に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。
投手陣は野手陣に比べて例年通り厳しい印象ですが、個人的に気になっているのが守護神バードの状態。
WBCでアルトゥーベを骨折させる死球を与え、その後制球が定まらず降板。イップスから復活した選手だけに精神面でのダメージが心配されましたが、WBC終了後既に1試合に登板したため投げられないことはなさそうです。
昨季防御率1点台を記録した今のロッキーズ投手陣で最高の選手ですから、シーズン中盤でのトレード放出を選択肢にいれるためにも彼の活躍は今季も不可欠です。
順位予想
開幕前のこの手の予想はだいたい当たらないものですが、私の考えている予想を紹介しておきます。
1位 パドレス 96-66
2位 ドジャース 94-68
3位 ダイヤモンドバックス 86-76
4位 ジャイアンツ 81-81
5位 ロッキーズ 66-96
パドレスの地区優勝の可能性は低くないと考えていますが、若手の大ブレイクというのがほとんど期待できないパドレスに対して、ドジャースやダイヤモンドバックスは今季がルーキーイヤーになる若手がそれぞれ複数おり、彼らが昨季のフリオ、ラッチマンのような存在感のある活躍をみせればこの予想順位は容易に入れ替わりそうです。
この地区で今季最も注目なのはダイヤモンドバックスで、昨季のオリオールズのような存在になるではないかと考えています。それでもまだポストシーズンを狙うには特にブルペンの層に問題があると思いますが、ワイルドカード争いに加わることは十分あり得ます。
パドレスファンの私としては前評判の高さとは裏腹に中盤以降どんどん勝率を落としていった2021年の再来になることを最も恐れています。
他のチームのファンには申し訳ないですが、今季こそは地区優勝させてください…
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