広島カープからポスティング移籍を希望し、先日誤報が出るなどその移籍先が注目されていた鈴木誠也がカブスとの契約に合意しました。
鈴木誠也の契約内容
5年8500万ドル(+広島にポスティングフィー)
単年あたり1700万ドルというのは、メジャーリーグでの実績がない野手としてはかなり高額の契約と言えます。
また、広島に対してのポスティングフィーが推定1500万ドル弱支払われることになり、カブスが支払う総額としてはおよそ1億ドル相当となるはずです。
鈴木は現在27歳ですが、かのイチローがメジャーデビューを果たしたのも27歳の時でした。
当時は現在と年俸の水準も違いますが、イチローの最初の契約は3年1400万ドルでしたから、約20年の時を経て年俸水準も日本人野手の評価も上がったと感じます。
また、近い年齢で移籍した比較的最近の選手を例に挙げるならば、2013年にホワイトソックスと6年6800万ドルで契約したホゼ・アブレイユがいます。
彼も27歳でメジャーデビューを果たし、ルーキーイヤーからいきなり新人王に加えMVP投票4位に入る活躍をみせました。
その後もアブレイユは活躍を続け、2020年は短縮シーズンではありますがシーズンMVPも獲得し、強打の一塁手として極めて高く評価されています。
守備力の高い外野手と、打撃専門の一塁手という守備面での違いはあるものの、同年齢で当時のアブレイユよりも高い契約内容というのは期待度の高さがうかがえます。
カブスの日本人野手としては、福留孝介と4年4800万ドルで契約していたことがありますが、通年の成績ではそこまで悪くなかったものの好不調の波の激しさからファンからの評価はあまり高くありませんでした。
高額契約の鈴木に求められるのは当然福留を遥かに超える成績です。
カブスの外野陣
鈴木加入前のカブスの外野陣は、ライトにジェイソン・ヘイワード、センターにラファエル・オルテガ、レフトにイアン・ハップというもの。
主にライトを主戦場としてきた鈴木はライトのヘイワードと交代で入りたいところではあるものの、ここが少しややこしいところ。
ヘイワードはGG賞5度受賞の名手であるだけでなく、2023年まで残り4400万ドルの契約が残っています。
2016年から8年1億8400万ドルという巨額契約でカブスに加入したものの、打撃においては全く期待に見合う成績を残せていません。
昨季の成績も打率.214 8本塁打という寂しいものであり、完全に不良債権となっています。
カブスの本音としてはヘイワードと鈴木を入れ替えたいものの、2000万ドルを超える年俸の選手を控えにするのもどうかというところで、その扱いに注目が集まります。
チーム解体したカブスの将来性は
カブスといえば、昨季途中で主力を相次いでトレードするチーム解体を行いました。
チームのスター選手であったクリス・ブライアント、ハビアー・バエズ、アンソニー・リゾー、クレイグ・キンブレルらFAの近い選手を次々とトレードし、若手有望株を獲得しました。
通常であれば、そういった解体を行うとしばらく再建期に入るところですが、カブスは鈴木以外にもマーカス・ストローマンを3年7100万ドルで獲得し、レッズからウェイド・マイリーをウェイバー公示で獲得するなど精力的に補強を進めています。
弱点だった先発投手陣が整備されつつあることで、主力は放出してもタレントが何人も残っている野手陣とあわせて、それほど悪くない戦力にはなっています。
地区優勝を狙うには心もとないものではありますが、ナ・リーグ中地区はそれほどレベルが高くないという点を踏まえても、ここから3年のうちに優勝争いをする戦力を整えることは十分に可能だと思われます。