今季4月に月間最優秀新人賞も受賞したホワイトソックスの新人一塁手ヤーミン・メルセデスが自身のインスタグラム上で突然の引退宣言を行いました。
メルセデスは28歳のドミニカ人選手ですが、昨季メジャーデビューしたばかりの遅咲きの新人選手です。
昨季の1打席のみで、今季は開幕から2試合で8打数8安打の大活躍をしたことで話題になりました。
その勢いはとまらずに4月は打率.415 5本塁打で月間最優秀新人賞に輝きました。
ところが5月に入ってから急激に成績が低下。
さらに5月17日のツインズ戦で不文律を破る本塁打を放ったことで批判されました。
6月も成績悪化がとまらずに、7月はマイナーのAAAでプレーしていましたが、ここではこれまで15試合でOPS.997と活躍していました。
今季メジャー成績
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
68 | .270 | 7 | 37 | .328 | .732 | 0 |
メルセデスの破った不文律
5月17日のツインズ戦で、ホワイトソックスは9回表に15-4で大量リードしていました。
MLBでは大差がついた終盤で、野手が投手として登板することが時々あります。
例えばイチローも投手として登板したことがあります。
この場面で打席に入ったメルセデスは、登板していた本来は野手のウィリアンズ・アストゥディーヨから本塁打を放ちました。
もちろん相手が野手だからといって打ってはいけないルールはありません。
先日ナショナルズのフアン・ソトも野手から本塁打を放ちましたが、これはなんの批判もされていません。
メルセデスが批判されたのは、3ボール0ストライクだったからです。
実はこれは昨季も物議を醸した問題です。
昨季はパドレスのフェルナンド・タティスJr.が大量点差がついた場面で3ボールから満塁本塁打を放ち、これに相手チーム監督が苦言を呈するなど話題になり、タティス自身も後に反省を口にしました。
今回のメルセデスは相手が本職投手ではなく野手だったことから、自チームの監督であるトニー・ラルーサまで彼を批判することになりました。
個人的にはこういった類の暗黙の了解(unwritten rule)はMLBの非常にくだらない慣習だと考えています。
MLBのファンでもタティスやメルセデスを擁護する声も多く、暗黙の了解を重視したいステレオタイプな人と、そういったものが野球の面白さをなくしているという新しい考えの人とで二分している印象です。
もちろんこれが今回の引退宣言につながったかどうかは定かではなく、そもそもメルセデスの成績の悪化によるモチベーション低下が主な理由だとは思われますが…
インスタグラム上で引退宣言
マイナーで特に問題なくプレーしていたはずのメルセデスですが、突然自身のインスタグラム上で「it’s over(終わり)」という画像を投稿。
そして、その投稿には「謝罪します。そしてしばらく野球から離れたい」と書かれており、事実上の引退宣言であるということになりました。
これに対してホワイトソックスは「彼は未だにホワイトソックスロースターに入っており、彼自身からなんらかの通達を直接受けてはいない」と発表しています。
現時点ではまだ公式なものではなく、MLBでは引退宣言した選手が戻ってくるというケースは時々あります。
今回も、もし感情的な行動であれば、説得を受けて撤回するということもあり得るかもしれません。