昨日「劇的逆転勝利のマリナーズはまさかのプレーオフ進出なるか」という記事を投稿したばかりですが、早速マリナーズに大きな動きがありました。
ケンドール・グレイブマン(30)
試合 | 勝 | 敗 | セーブ | 防御率 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
124 | 28 | 32 | 10 | 4.20 | 335 | 1.33 |
今季マリナーズの守護神として定着したグレイブマンですが、30歳にしてキャリアベストシーズンを送っています。
2018年までは主に先発投手として投げていましたが、2019年はほぼ全休しマリナーズ移籍した2020年からは主にリリーバーとなっていました。
今季はキャリアで初めてクローザーを任せられていますが、その仕事ぶりはほぼ完ぺきに近いもの。
下記成績の通り、とにかくランナーを出さないため防御率は驚異の0点台。
マリナーズが得失点差のわりに勝てているのは彼のおかげと言って差し支えないでしょう。
試合 | 勝 | 敗 | セーブ | 防御率 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
30 | 4 | 0 | 10 | 0.82 | 34 | 0.70 |
トレードの内容
アストロズが獲得した選手:ケンドール・グレイブマン、ラファエル・モンテロ
マリナーズが獲得した選手:エイブラハム・トロ、ジョー・スミス
今回は2対2のトレードですが、メインとなっているのはグレイブマンとトロで、他の2人はおまけです。
エイブラハム・トロは24歳の両打内野手で、今季は主に三塁手としてプレーしています。
2016年に5巡目でドラフトされ、それほどとびぬけた存在でもありませんでしたが2019年開幕前にはチーム6位のプロスペクトと評価され、その年のマイナーでは高打率を残す大活躍でメジャーデビューを果たしました。
今季はメジャーで35試合に出場し打率.211と苦しんでいるものの、109試合で6本塁打という長打力は魅力です。
アストロズの思惑
ア・リーグ西地区において頭一つ抜けた強さを示しているアストロズですが、リーグ最高峰の得点力を誇りながら、リリーフ防御率はリーグ8位の4.15と弱点になっていました。
昨日のマリナーズによる大逆転も、アストロズのリリーフ陣の弱さを露呈したものと言えるでしょう。
リーグ最高クラスの活躍を見せているグレイブマンの獲得は、アストロズにとってはまさに鬼に金棒。
より隙のないチームに仕上がっていくでしょう。
マリナーズの思惑
今季ここまで勝てるとは思っていなかったマリナーズ。
勢いは今MLBで一番と言ってもいいくらいの調子の良さですが、今オフに契約が切れるグレイブマンを当初の予定通り放出してきました。
プレーオフの可能性がある現状でもブレることなく主力を放出したのは、若手有望株を多数抱えるマリナーズにとっては勝負所がここではないからでしょう。
しかし、これは今季を完全にあきらめたトレードというわけではありません。
守護神を同地区首位のチームに明け渡すというのは白旗を上げたように見えますが、今季のマリナーズにとってリリーフはそれほど弱点ではなく、トロの獲得によってOPSリーグ14位という貧弱な打線を強化するものとなっています。
今季メジャーで長打力において光るものを見せているトロですが、マリナーズに最も足りない打撃の確実性という意味では助けになりません。
それでも現在24歳と若い彼が成長すれば、今季はもちろんのこと、将来的にはマリナーズ一筋のベテラン三塁手カイル・シーガーの後釜に据えることもできます。
チームの勢いに浮かれて安易に若手を放出して即戦力を取りにいかなかったというのは評価できるポイントです。
マリナーズのプロスペクトは外野と投手に偏っていたので、内野手のトロ獲得はしっかりと将来を見据えていますね。
グレイブマンを失ったマリナーズは、ドリュー・ステッケンライダー、ポール・シーウォルド、JT・シャギワ、エリック・スワンソン、ケイシー・サドラーら複数の30歳前後の投手が結果を残しているので、守護神候補には困らなさそうです。