拙稿「大谷翔平は6月の月間MVPをとれるか?」で紹介した通り、大谷は月間MVPの最有力候補となっていました。
そんな彼の6月の成績を紐解き、確定版の成績を比較して日本人初の月間MVPの栄誉に輝くことができるのかを分析します。
月間MVPは確実なのか?
6月の投打成績
投手成績
5試合 2勝0敗 防御率4.94 23.2回 33奪三振 WHIP1.31
打撃成績
25試合 打率.309(18位) 13本塁打(1位) 23打点(5位) 出塁率.423(10位) OPS1.312(1位) 4盗塁(9位)
カッコ内はア・リーグにおける順位を示しています。
投手成績の方では、二刀流ながら月間5登板を達成するなどかなり調子よくきていたのですが、最後のヤンキース戦で1回途中7失点という大炎上を演じたことで防御率が大幅に悪化してしまいました。
それでもチームの奇跡的な大逆転勝利のおかげで、大谷には負けがつかずにすんでいます。
打撃成績は圧巻の一言。
本塁打数は2位に3本差をつけてのダントツ。OPSも唯一の1.3台を記録しています。
打率は2割台では見栄えが悪いところでしたが、なんとか3割にはのせました。
ブラディミール・ゲレーロ Jr.の打撃成績
26試合 打率.371(4位) 10本塁打(2位) 24打点(3位) 出塁率.465(1位) OPS1.217(2位) 1盗塁(42位)
全ての数字がリーグトップ4位に入るという非常に優秀な打撃成績です。
打率や安打数でも大谷に大きく差をつけています。
一方で、出塁率以外にリーグ1位のスタッツはありません。
バランスよく高水準ではあるものの、飛びぬけた部分がないというのが弱点になりそうです。
大谷有利か?
確実とまでは言い難いものの、個人的には大谷が受賞する可能性は高いのではないかと思います。
投手成績が考慮されるか、考慮された場合月末の大炎上をどう捉えるかはわかりませんが、打撃成績だけでも十分に大谷を上回っているように思います。
何より、今季の4月と5月の月間MVP受賞者バイロン・バクストン、マーカス・セミエン、ロナルド・アクーニャJr.、フェルナンド・タティスJr.は全員OPSがリーグ1位でした(バクストンのみ規定未到達)。
大谷が受賞するとなると、日本人野手としてはイチロー、松井に続く3人目となります。
数日以内に発表される予定ですが、大谷が受賞した場合は投手成績も加味されたのか気になるところです。
大谷の6月開始時点と終了時点の成績比較
6/1
打率.263 15本塁打 40打点 出塁率.330 OPS.927 7盗塁
6/30
打率.277 28本塁打 63打点 出塁率.360 OPS1.045 11盗塁
6月の前半(~6/14)と後半(6/15~)の成績比較
6/1~14
打率.290 2本塁打 5打点 出塁率.450 OPS1.063 2盗塁
6/15~30
打率.320 11本塁打 18打点 出塁率.404 OPS1.464 2盗塁
6月前半も本塁打数は物足りないものの、主軸として十分といえる活躍でした。
ところが6/15以降わずか14試合で11本塁打を量産し、OPSは驚異的な数字を記録しました。
ちなみに、なにより恐ろしいのがこの6月後半14試合でのBABIPが.217とかなり低くなっていることです。
BABIPは運を表す指標で、一般的にBABIP.300より高ければ運が良い状態、低ければ運が悪い状態と考えて構いません(内野安打の多い選手など、一部それが当てはまらないタイプの選手もいます)。
BABIP.217というのは、本来安打になるはずが運悪くアウトになった割合が多かったということです。
これは守備の関与しない本塁打、四球、三振には関係ないのですが、大谷の打率はもっと良くなる可能性もあったということを示しています。
何かつかんだかのようにボールをハードヒットし続ける今の大谷は、今後さらに伸びしろがあるのかもしれません。