レギュラーシーズン終了に伴い、各選手の今季成績が確定しました。
以前シーズン途中にも紹介しましたが、今季確定版での候補選手を両リーグともに紹介します。
ア・リーグの有力候補は2名、ナ・リーグはやや混戦で5名です。
ア・リーグのサイ・ヤング賞候補
ロビー・レイ(TOR)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
32 | 13 | 7 | 2.84 | 193.1 | 248 | 1.04 |
防御率、奪三振の投手二冠に加えて、投球回、WHIPでもリーグ1位。
勝利数こそやや伸び悩みましたが、それでもリーグ5位タイの13勝をあげていますう。
ライバルのゲリット・コールより劣っている主要スタッツは勝利数のみであるため、高確率でレイがサイ・ヤング賞を獲得するでしょう。
13勝での受賞となると、ア・リーグでは2010年のフェリックス・ヘルナンデス以来の少なさです。
ゲリット・コール(NYY)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
30 | 16 | 8 | 3.23 | 181.1 | 243 | 1.06 |
序盤はヤンキースのエースに相応しい圧倒的なパフォーマンスでしたが、6月頃からやや調子を落とす時期もありました。
新型コロナウイルスに感染するなど不運も重なり、今季はサイ・ヤング賞を十分狙えただけに惜しいシーズンとなりました。
最多勝のタイトルに加え、防御率3位、奪三振2位、投球回数5位、WHIP2位を記録しており、非常に優秀な数字ではあるのですが、レイとの奪三振のタイトル争いに敗れたことが響きそうです。
ナ・リーグのサイ・ヤング賞候補
ウォーカー・ビューラー(LAD)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
33 | 16 | 4 | 2.47 | 207.2 | 212 | 0.97 |
ドジャースのエース級に成長したビューラーは勝利数3位、防御率3位、 奪三振数7位 、投球回2位と全てのスタッツが高水準。
一方で、タイトルは何もとれていないという点が唯一の欠点になっています。
成績のバランスを考慮するのであれば彼がサイ・ヤング賞にふさわしいと思いますが、飛びぬけたスタッツがないことで票がばらけるかもしれません。
マックス・シャーザー(LAD)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
30 | 15 | 4 | 2.46 | 179.1 | 236 | 0.86 |
シーズン途中に移籍し、ドジャースでは登板試合全てで無敗と大ベテランになってまた一段階進化しました。
勝利数4位、防御率2位、奪三振2位、WHIP1位を記録しており、ここだけ見れば最有力候補と言ってもいいのですが、ネックになるのがタイトルをとれていないことと、投球回14位という仕事量の少なさです。
2020年を除く過去10年間でサイ・ヤング賞を獲得した投手のうち、最も投球回数が少なかったのが2018年ブレイク・スネルの180.2回ですが、この時のスネルは最多勝と最優秀防御率の二冠でした。
そう考えると、シャーザーの179.1回という数字は、受賞の大きな障害になりそうな気がします。
コルビン・バーンズ(MIL)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
28 | 11 | 5 | 2.43 | 167.0 | 234 | 0.94 |
バーンズの成績は、シャーザーと同様の問題があります。
彼は僅差ではあるものの最優秀防御率のタイトルを獲得し、FIP1.63という歴史的にも非常にずば抜けたセイバーメトリクスの数字も記録しています。
リーグ有数の制球力に、MLB1位の奪三振力、被本塁打も極めて少ないという投手の理想像のような成績を残していますが、投球回は辛うじて規定投球回に到達する167.0回でしかありません。
投球内容はあらゆる点でずば抜けていますが、絶対的な仕事量の不足が、シャーザー以上の欠点になっています。
ザック・ウィーラー(NYM)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
32 | 14 | 10 | 2.78 | 213.1 | 247 | 1.01 |
8月に苦しんだウィーラーですが、それでも投球回と奪三振で1位となりました。
勝利数5位、防御率5位と、他のスタッツも高水準のものです。
FIPはバーンズに次ぐ2位の2.59を記録しており、投球内容と仕事量を見事に両立していることがわかります。
ただ、近年最も重視される傾向にある防御率で他の投手の後塵を拝していることで、決定打にかける感はあります。
フリオ・ウリアス(LAD)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
32 | 20 | 3 | 2.96 | 185.2 | 195 | 1.02 |
今回ドジャースから紹介するのは3人目となりますが、ウリアスは初の二けた勝利が20勝で最多勝となりました。
20勝で防御率2.96というのは十分サイ・ヤング賞に値するものなのですが、丁度これと同じ数字で受賞したのが2016年のマックス・シャーザーでした。
最優秀防御率がカイル・ヘンドリックスの2.13で、防御率に大きな差がある中でシャーザーが受賞できたのは、最多勝と最多奪三振の二冠を獲得していたことでした。
また、同年のア・リーグでは22勝をあげたリック・ポーセロがタイトルは最多勝のみで受賞しました。
ただしこの時のポーセロは他のスタッツでも上位だったため、今回のウリアスとはやや状況が違うかもしれません。