2021年の全日程が終了し、選手の去就が気になる時期になりました。
そこで今回は、現在最も注目されているFA選手10人をランキング形式で紹介していきます。
今冬のFAはとにかく遊撃手が豊作です。
FA選手トップ10
1.カルロス・コレア(27)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
148 | .279 | 26 | 92 | .366 | .850 | 0 |
FA市場において何より重要なファクターは年齢です。
若ければ若いほど価値が高く、長期契約の成功率は上がります。
コレアは高卒から全体1位指名でアストロズ入団し、2015年にメジャーデビューして以来常にリーグ有数の遊撃手としてプレーしてきました。
タイトルをとるような派手な活躍はないものの、遊撃手としての打撃力がリーグ最高クラスなのは言うまでもありません。
また、DRS(守備指標)においてはデビュー以来常にプラス値を記録しており、今季は両リーグトップの+21をたたき出しました。
最高クラスの守備力を持つ遊撃手がリーグ有数の打撃力を有しているということで、rWARは大谷翔平を除けばリーグトップとなる7.3を記録しています。
若い上に、リーグ最高の総合力を持つ遊撃手であるため、今冬のFAでは最も高額なオファーが必要になると思われます。
先日アストロズから5年1億6000万ドルのオファーを受けたものの、コレア自身はフランシスコ・リンドーアやフェルナンド・タティスJr.らが獲得した総額3億ドルクラスの大型契約を希望していると言われており、彼を獲得できるチームは限られてきそうです。
アストロズのサイン盗み騒動がコレアの契約にどれほど影響を及ぼすかも気になるところです。
アストロズは、コレアにクオリファイング・オファーを出しています。
2.コーリー・シーガー(27)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
95 | .306 | 16 | 57 | .394 | .915 | 1 |
今冬のFA市場で右のコレアと双璧をなしているのが、左のシーガーです。
コレアと同じく高卒の2012年ドラフト組なので、年齢は同じ27歳。
コレアと違い守備力は可もなく不可もなくといった感じですが、打撃力に関してはコレアと同等以上の実力の持ち主です。
2020年にはポストシーズン18試合で8本塁打 OPS1.171の大暴れでシリーズMVPを獲得し、ドジャースのワールドシリーズ制覇の立役者となりました。
ただ、シーガーには故障がちという弱点があり、その故障歴から超大型契約に踏み切るには少し勇気がいる選手です。
ドジャースはフランチャイズプレイヤーとしてシーガーとの契約延長を望んでいるはずですが、今季途中にトレードで獲得したトレイ・ターナーが素晴らしい活躍をしたため、シーガーよりターナーを優先させる可能性もあります。
ドジャースは、シーガーにクオリファイング・オファーを出しています。
3.マックス・シャーザー(37)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
30 | 15 | 4 | 2.46 | 179.1 | 236 | 0.86 |
37歳の選手は本来落ち目で、FA市場の目玉にはなり得ないのですが、シャーザーは違います。
今季ドジャース移籍後は無傷の7勝をあげており、ナ・リーグのサイ・ヤング賞候補の1人となる活躍を見せました。
年齢的に5年以上の長期契約は流石に厳しいところですが、単年あたりはゲリット・コールの3600万ドルを超えるかもしれません。
シーズン途中に移籍しているため、クオリファイング・オファーは出ていません。
関連記事:トレードデッドライン移籍組の一ヶ月評価
4.ロビー・レイ(30)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
32 | 13 | 7 | 2.84 | 193.1 | 248 | 1.04 |
今冬のFA市場では一番の左腕がレイです。
安定感に欠けるものの奪三振力が高いことに定評がありましたが、今季は突如制球力が改善されるなど非常に高いパフォーマンスを見せ、ア・リーグのサイ・ヤング賞最有力候補になっています。
5年契約前後が基本線になるでしょうか。
ブルージェイズは、レイにクオリファイング・オファーを出しています。
5.マーカス・セミエン(31)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
162 | .265 | 45 | 102 | .334 | .873 | 15 |
今季は主に二塁手としてプレーし、二塁手史上最多となる45本塁打を記録しました。
DRSは+11と守備力も非常に優秀でしたが、本来のポジションは遊撃手。
遊撃手または二塁手の打力不足にあえいでいるチームにとっては、セミエンは最有力候補になりそうです。
今季のブルージェイズはシーズン途中まで本拠地を使えず、本塁打の出やすい球場を本拠地代わりにしていましたが、セミエンはアウェイでもホームと同等以上の数字を残しており、どのチームに移籍してもその打力を発揮できると思われます。
また、今季162試合に出場した頑丈さも非常に魅力的です。
年齢的に、コレアやシーガーらが得られるような超大型契約は望めないでしょうが、彼らに次ぐレベルのオファーが必要になりそうです。
ブルージェイズは、セミエンにクオリファイング・オファーを出しています。
6.クリス・ブライアント(30)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
144 | .265 | 25 | 73 | .353 | .835 | 10 |
まだまだ衰えるような年齢ではありませんが、今季は思うような活躍ができませんでした。
25本塁打を記録したことは及第点と言えそうですが、2016年にMVPを獲得した彼の実績から考えると物足りません。
シカゴの顔として活躍してきましたが、カブスの大解体に伴ってジャイアンツにトレードされました。
ジャイアンツ移籍後あまり好成績を残せなかったのが評価に響きそうです。
しかし、あらゆるポジションを守れるユーティリティ性と、その実績や人気から、獲得に手を挙げるチームは少なくはないでしょう。
代理人はあのスコット・ボラスなので、安売りはしないでしょうが。
シーズン途中に移籍しているため、クオリファイング・オファーは出ていません。
7.フレディ・フリーマン(32)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
159 | .300 | 31 | 83 | .393 | .896 | 8 |
昨季は短縮シーズンながらMVPを獲得し、今季はブレーブスの26年ぶりワールドシリーズ制覇の立役者となりました。
打撃の安定感はリーグ最高峰で、FA市場でも人気になりそうですが、これほど長期に渡ってチームに貢献してきたフランチャイズプレイヤーをブレーブスが簡単に手放すはずもありません。
チームとしては、フリーマンには”Mr. Brave”になってもらいたいはずで、彼には引退までの長期的なオファーを出すのではないでしょうか。
本人もブレーブスを気に入っているようですし、もしブレーブスとの間で契約延長がまとまらなければ驚きです。
ブレーブスは、フリーマンにクオリファイング・オファーを出しています。
関連記事:現役フランチャイズスター10選
8.ケビン・ゴーズマン(30)
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
33 | 14 | 6 | 2.81 | 192.0 | 227 | 1.04 |
ゴースマンがこれほどの活躍を見せると予想できた人はいないのではないでしょうか。
元トッププロスペクトでしたが、ここ数年はそこそこのローテーションピッチャーに落ち着いており、エース格ではありませんでした。
昨オフにはジャイアンツから提示されたクオリファイング・オファーを受諾して1年契約。
勝負の年となった今季は見事エース級投手へと成長しました。
前述のレイと同様に今季大きく飛躍した投手の1人で、FA市場でも大きく評価されるのではないでしょうか。
過去に一度オファーを受けているため、クオリファイング・オファーは出ていません。
9.カイル・シュワーバー(28)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
113 | .266 | 32 | 71 | .374 | .928 | 1 |
元々長打力に定評があり、2019年には38本塁打も記録しましたが、今季は6月に歴代10位となる月間16本塁打を達成するなど、歴史に残る大活躍を見せました。
しかし翌7月にハムストリングの怪我で故障者リスト入りし、故障したままレッドソックスへとトレードされました。
移籍後も順調に活躍し、レッドソックスのポストシーズン進出に貢献しました。
長打力に関しては華々しい実績があり、さらに今季わずか113試合で32本塁打した選手を欲しくないチームはありません。
しかし守備力は低く、左翼、一塁か、DH専任とすることになるため、やや扱いづらさはあります。
打撃のみの選手なので総合的な価値は上述の選手らに比べると高くありませんが、チームの得点力を大きく向上させる打撃は魅力的です。
シーズン途中に移籍しているため、クオリファイング・オファーは出ていません。
10.トレバー・ストーリー(29)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
142 | .251 | 24 | 75 | .329 | .801 | 20 |
走攻守全てで高い貢献度を誇る遊撃手で、2018-19年には2年連続35本塁打以上を記録しています。
ノーラン・アレナドとは強力な三遊間を築いていましたが、昨オフにアレナドがカージナルスへ移籍し、ストーリーだけが残される形になりました。
しかし今季のストーリーは打撃面で不調で、その輝かしいキャリアに見合う数字を残すことができませんでした。
トレードデッドラインではたびたび噂に上がりながらも、再建期のロッキーズは結局彼をトレードせず。
ストーリーを軸にチームを作り直すのか、それとも主力を出し切って完全な再建期に入るのかという決断が非常にあいまいなままここまで来ました。
今季は不調とはいえこれだけの打撃力を持つ遊撃手は非常に貴重ではありますが、ストーリーには典型的なクアーズヒッターであるという問題点があります。
キャリア通算でホームOPS.972に対し、アウェイOPS.752でしかありません。
そのため、他チームからすればややリスキーな選手ではあるわけです。
ロッキーズは、ストーリーにクオリファイング・オファーを出しています。
クオリファイング・オファーとは
上述のランキングで言及しているクオリファイング・オファー(以下QO)について説明します。
FAになる選手にチームはQOを提示することができます。
QOはMLB全体の上位125選手の平均年俸と同額の1年契約であり、これを提示された選手は受諾するか拒否するか選ぶことができます。
拒否した選手はFAとなりFA元を含めた全球団と交渉可能になりますが、その選手を獲得したチームはドラフト指名権を喪失し、FA元チームはドラフト指名権を新たに得ます。
なお、シーズン途中に移籍した選手や、過去にQOの提示を受けた選手に対してはQOを提示することはできません。
これは本来ならば補償制度としての側面が強く、ほとんどの選手が予定調和的にQOを拒否して大型契約を目指すのですが、FA市場でQO以下の条件しかオファーされないということも起こりうるため、毎年若干名がQOを受諾しています。
上述のゴーズマンはその数少ない受諾例です。