2017年のワールドシリーズ。
ドジャースとアストロズによるこの対決は、第7戦までもつれた末にアストロズが球団史上初のワールドシリーズ制覇を成し遂げて幕を閉じました。
しかし2019年に、この結果に思わぬ形でケチがつきます。
この年、2017年のアストロズはサイン盗みを行っていたという暴露がされたのです。
ポストシーズンでも行われていたという証言もあり、結果的にワールドシリーズ制覇の称号がはく奪されることはなかったものの、アストロズと対戦したチームのファンはもちろん、ワールドシリーズで戦ったドジャースのファンの怒りは凄まじいものだったでしょう。
この騒動後の2020年シーズンは、短縮シーズンの上に無観客。
そのため、今季の5月25日からの2連戦は、騒動以来初めてのドジャース対アストロズの試合でした。
アストロズの本拠地ミニッツメイドパークで試合が行われ、1勝1敗だったもののファン同士の乱闘に発展するなどしました。
そうしてついに迎えたのが昨日から行われたドジャースタジアムでの2連戦。
このカードは始まる前から大変な注目ぶりでした。
ドジャースファンで埋め尽くされたスタジアムは、アストロズの選手に対してかつてないブーイングの嵐になることが想像に難くなかったからです。
第1戦 ドジャース 0 – 3 アストロズ
第1戦は、今季11勝をあげているウォーカー・ビューラーと、今季8勝のランス・マッカラーズJr.のエース級投手対決となりました。
スタジアムがブーイングで埋め尽くされる中、2017年のワールドシリーズ第7戦でも先発したマッカラーズは強力ドジャース打線をねじ伏せる投球で7回途中無失点。
ドジャースもビューラーは6回1失点と好投したのですが、打線が全く点を取れずに敗北を喫してしまいました。
そしてなによりドジャースファンに耐えがたかったのは、ホゼ・アルトゥーベの活躍でしょう。
得点には絡まなかったものの、2安打1四球と悠々とプレーしていました。
アルトゥーベはサイン盗み問題の代表的な選手として知られており、今やMLB全体のヒールとなっています。
第2戦 ドジャース 7 – 5 アストロズ
1戦目を落として後がないドジャースは、トレードデッドラインの大型トレードで獲得したマックス・シャーザーを先発登板させます。
この試合の彼の活躍には、全ドジャースファンが歓喜の声をあげたでしょう。
シャーザーは初回にいきなりマイケル・ブラントリーからソロ本塁打を浴びる不安定な立ち上がりでしたが、ドジャースはその裏にベッツの本塁打などで4点を奪ってすぐさま逆転すると、シャーザーはその後1失点はしたものの好投し、7回2失点10奪三振で勝ち投手になりました。
シャーザーの活躍が素晴らしかったのは7回2失点と好投したからだけではありません。
前日活躍されてしまったアルトゥーベを3打席連続で三振に切って取ったのです。
これにはファンも大喜びで、アルトゥーベは第四打席でも三振を喫するなどいいとこなしで、彼が一人の投手から3三振したのは今回がキャリア三度目となりました。
この試合結果により今季のこの2チームの対決は2勝2敗のドローとなりました。
しかし、この2チームはそれぞれ地区優勝を争っているため、ポストシーズン進出はほぼ決定的。
もしもワールドシリーズで2017年の再現ということになれば史上最高に盛り上がるのではないでしょうか。
ドジャースはサイ・ヤング賞投手3人に
トレード前はその健康状態が一時危ぶまれたシャーザーですが、この活躍でその不安は完全に払しょくされました。
シャーザーが移籍したことにより、ドジャースはシャーザー、クレイトン・カーショウ、トレバー・バウアーと3人のサイ・ヤング賞投手を抱えることになりました。
シャーザーが3度、カーショウも3度、そしてバウアーが1度の通算7度のサイ・ヤング賞ローテーションです。
しかし残念なことに現在カーショウは怪我でIL入り、バウアーは暴行疑惑で休職中と、この豪華ローテーションが今季完成するのは難しそうです。
それでもカーショウが復帰すれば、2010年代最高の右腕と左腕がそろい踏みとなりますから、あまりの豪華さにクラクラしてきます。
ちなみにドジャースはアルバート・プホルスも今季獲得しているため、将来の殿堂入りをほぼ確実視される3人のベテラン選手が所属していることになります。
ビッグネームがここまで揃っているのは、2000年代のヤンキース以来じゃないでしょうか。