ポジションごとのトップ10選手をランキング形式で紹介します。
今回は、遊撃手編です。
順位をつけるにあたって、基本的には現在の実力を重視していますが、直近2年程度までの実績は考慮しています。
遊撃手は他のポジションと比較しても、若いスター揃いの群雄割拠です。
遊撃手ランキング
10位 ティム・アンダーソン(CWS)
ホワイトソックス生え抜きのアスリート系スター。
2019年にブレイクを果たし、それまで打率.250前後といったところだったのが突然首位打者を獲得するまでに成長しました。
翌2020年にも短縮シーズンながら高打率を残し、直近3年は毎年打率3割&OPS.800以上を記録するなど、打撃力に関しては遊撃手でリーグ屈指の実力を持っています。
ややオールドスクールなタイプで、積極的にスイングしていくため四球をあまり選びません。
守備も荒く、エラーなどミスは少なくありません。
総合的には現代の基準ではそれほどハイレベルではないかもしれませんが、昨年の”フィールド・オブ・ドリームス”の試合ではサヨナラ本塁打を放つなどスター性は抜群です。
また、今のMLBには数少ない黒人スター選手ということで、MLBの作るCMなどの登場頻度も多めです。
9位 フランシスコ・リンドーア(NYM)
プエルトリコ人選手であり、2011年ドラフトでは全体8位指名という高評価でインディアンス(現在のガーディアンズ)に入団しました。
当時からとにかく同世代最高級の守備力を評価されていたのですが、2015年に21歳の若さでデビューすると、いきなり打率3割超えを記録するなど打撃でも高いパフォーマンスを見せて新人王投票では2位に入りました。
また、驚くべきことに当初はそれほど期待されていなかった長打力が開花していき、2017年から3年連続30本塁打以上を記録するなど、リーグ最高の守備力と高い打撃力を兼ね備えた理想的な遊撃手へと成長しました。
2020年に打撃成績を大きく落としながらも、2021年シーズン開幕前にメッツへとトレードされ、その後10年3億4100万ドルという超巨額契約を結びました。
しかし、2021年は打撃パフォーマンスを復活させることができず、苦しいシーズンとなってしまいました。
陽気で笑顔がトレードマークで、髪の色は現役選手屈指の派手さです。
8位 トレバー・ストーリー(BOS)
2016年にわずか97試合で27本塁打を放つ活躍でデビューし、新人王投票4位に入りました。
とにかく最大の魅力は長打力で、2018年には37本塁打も記録しました。
その豪快な打撃に目が行きがちですが、実は守備走塁の貢献度が非常に高い選手で、総合力の高さは現役屈指でしょう。
一見弱点がないように思えますが、実は典型的なクアーズ・ヒッターであるという問題を抱えています。
ロッキーズ時代はホームで打率3割を記録していたのに対し、アウェイでは打率が.240程度にまで低下するなど、OPSにしておよそ.200という差がありました。
打者有利なロッキーズを離れたことで、今季以降は打撃成績が大幅に悪化する可能性があります。
また、移籍先のレッドソックスには後述のボガーツがいるため、今季からは二塁手へと転向しています。
7位 ザンダー・ボガーツ(BOS)
オランダ領アルバ出身という珍しい出自を持つ選手。
20歳の若さで2013年にメジャーデビューし、翌年にはメジャーに定着。
2015年には打率.320を記録するなど打撃面では完全にメジャーに適応し、そこからは毎年好成績を残し続けています。
直近4年間連続でOPS.850以上の数字を出すなど、打撃の安定感はリーグ屈指。
ただし守備面が足を引っ張っており、昨季共にオールスターに選出されたラファエル・デバースと組むレッドソックス三遊間は、守備面で非常に不安定です。
レッドソックスはオフに守備力の非常に高いストーリーを獲得しましたが、ストーリーをコンバートする形になったためボガーツは今のポジションに残ることになりました。
ボガーツの契約は2025年まで(オプションが行使されれば2026年まで)残っていますが、彼は今季終了後にオプトアウトする権利をもっており、今季も好成績を残すことができればオフにFAになる可能性があります。
6位 ボー・ビシェット(TOR)
Jr.ではありませんが、90年代に活躍した名選手ダンテ・ビシェットの息子で、いわゆる二世選手です。
本格的なフルシーズンデビューは昨季が初めてでしたが、初のオールスターにも選出されるなど特に打撃面で目覚ましい活躍をみせました。
攻守ともに荒削りな部分がありますが、打撃力に関しては後述のタティスJr.に次ぐ存在になりそうです。
昨季は最多安打を記録するなど、その積極的な打撃スタイルも相まって今後積み上げる通算安打数にも期待が集まります。
5位 ブランドン・クロフォード(SF)
今回紹介する中では唯一30代のベテラン選手です。
長年ジャイアンツ一筋でプレーしている生え抜きで、元々は3年連続ゴールドグラブ賞を獲得するなど守備力の高さがウリでした。
打撃は遊撃手としては平均以上のものがありましたが、昨季34歳にして打撃が大ブレイク。
打率、本塁打、打点、OPS、盗塁とあらゆる数字でキャリアハイを叩き出し、おまけに再びゴールドグラブ賞にも返り咲きました。
昨季MLB全体で最多勝利数をあげたジャイアンツの主力という部分も評価され、MVP投票4位にもランクインしました。
4位 コリー・シーガー(TEX)
健康であれば、リーグ最高の遊撃手。
ドジャース最高のプロスペクトとしてメジャーデビューすると、2016年にはMVP投票3位に入る活躍で新人王を獲得。
その後は打撃の質は向上しているにも関わらず、毎年のように故障するため未だに2016年がキャリアハイという状態です。
しかし健康で出場している時はリーグ最高峰の遊撃手と言える活躍ぶりで、2020年にはワールドシリーズMVPにも輝きました。
昨オフにFAとなり、レンジャーズと10年3億2500万ドルという超巨額契約を結びました。
選手としてのクオリティに問題はないものの、”故障しなければ”という注釈がつきます。
関連記事:FA市場でレンジャーズが大暴れ
3位 フェルナンド・タティスJr.(SD)
今MLB最高のスターは誰かと聞かれたら、大谷翔平の他にタティスJr.と答えるファンも多いのではないでしょうか。
2019年に20歳でデビューすると、わずか84試合の出場ながら22本塁打&OPS.969という新人離れした成績で新人王投票3位にランクイン。
翌2020年にはMVP投票4位に入ると、昨季は初の本塁打王のタイトルに加えて、MVP投票でも3位に入りました。
その成績の凄さもさることながら、とにかく華がある選手で走攻守全てにおいてプレーでファンを魅了します。
しかし、これぞメジャーリーグと言わんばかりのダイナミックさを見せてくれる一方で、雑なミスなども多く、特に守備面では昨季守備率.940を記録するなど遊撃手としておくには危険なレベルの低いパフォーマンスでした。
また、積極的なプレーが多い弊害が怪我も多く、14年3億4000万ドルという規格外の長期契約を結んでいるためその将来が危ぶまれます。
昨季は故障明けに一時的に外野手へとコンバートされましたが、守備貢献度が低いことや故障の多さ故に、将来的に外野手へと本格転向する可能性もあります。
また、オフにバイク事故で手首を故障したり、プレー以外の部分でも気になる点が見られます。
しかし、健康であれば毎年本塁打王争いやMVP争いに顔を出す可能性がある選手です。
2位 カルロス・コレア(MIN)
2012年に、プエルトリコ人として初めてドラフト全体1位指名を受けアストロズへ入団。
順調に成長し2015年に20歳でメジャーデビューを果たすと、いきなり22本塁打&OPS.857の好成績で新人王に輝きました。
故障も多く打撃に関しては常に最高峰というわけではありませんが、総合力に関してはリーグ最高です。
堅実さと守備範囲の広さを兼ね備えた遊撃守備で昨季は初のゴールドグラブ賞を獲得し、総合力を示すWARは昨季7.2の高水準を叩き出しています。
そのパフォーマンスの高さから、昨オフにFAとなったコレアは10年3億ドル規模の契約を求めていましたが、ロックアウトの影響もあってツインズとの3年契約に落ち着きました。
しかしこの契約にはオプトアウトの権利が含まれており、好成績を残せばすぐにオプトアウトして再び10年契約を狙うと思われます。
1位 トレイ・ターナー(LAD)
遊撃手最高の攻撃力を持つのは上述のタティスJr.ですが、ターナーはそれに次ぐ攻撃力の持ち主です。
元々ターナーの最大の魅力はその走力にあり、リーグトップクラスのスピードを活かして短縮シーズンの2020年を除けば、毎年30盗塁以上を記録しています。
2016年にはわずか73試合の出場で33盗塁を記録するなど、盗塁に関しては現役最高峰と言えます。
反面打撃に関しては平均よりやや上程度でしたが、2019年にOPS.850を記録すると、2020年には打率.335&OPS.982の驚異の打撃力を披露。
シーズン途中にトレードされた昨季は初の首位打者に加えて盗塁王にも輝き、二冠を達成しました。
20本塁打を超えたことがなかった本塁打が昨季は28本を記録し、長打力が向上して隙がなくなりつつあります。
今季はトリプルスリーも狙えるかもしれません。
守備力に関しては平均的です。