前回のナ・リーグ中地区に引き続き、今回はナ・リーグ西地区の優勝争いの展望について解説していきます。
参考記事:優勝争いの展望〈ナ・リーグ中地区〉
ナ・リーグ西地区のこれまで
今季のワールドシリーズ制覇の最有力候補は?と尋ねると、開幕前には必ずドジャースとパドレスの名前が挙がっていました。
それくらいこの2チームは別格の戦力があり、この地区では必ずワンツーフィニッシュを決めると思われていたのですが、今季最大のサプライズである、ジャイアンツの台頭によってその予想は大きく覆されました。
序盤はパドレス、ドジャース、ジャイアンツがそれぞれ勝率6割以上を記録するなど超ハイレベルな三つ巴の様相を呈していましたが、6月に入ってからパドレスがやや低迷し、1位ジャイアンツ、2位ドジャース、3位パドレスという形で落ち着きました。
ある程度僅差でその状態が保たれていたのですが、ジャイアンツは常に高勝率を維持し続けたのに対して、ドジャースは故障者の多さに苦しめられ追いつけず、パドレスはトレードデッドラインの敗者となったことで優勝争いからは完全に外れ、確実視されていたワイルドカードすら怪しい状況になりました。
一方で、前評判通りの再建モードなのがロッキーズとダイヤモンドバックスです。
ロッキーズは弱いと言っても勝率4割半ば近くを維持するなど、それなりによくやっています。
トレードデッドラインで主力を放出して完全な再建に舵を切るかと思われましたが、結局ストーリーら主力は保持したままです。
一見中途半端にも見えるこの判断が吉と出るか凶と出るかはまだわかりませんが。
ダイヤモンドバックスは球史に名を刻む連敗を喫するなど、苦しいシーズンとなっています。
現時点での順位
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 勝率 | ゲーム差 | 直近10試合 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ジャイアンツ | 92 | 50 | .648 | – | 8-2 |
2 | ドジャース | 90 | 53 | .629 | 2.5 | 6-4 |
3 | パドレス | 74 | 67 | .525 | 17.5 | 5-5 |
4 | ロッキーズ | 65 | 78 | .455 | 27.5 | 4-6 |
5 | ダイヤモンドバックス | 46 | 96 | .324 | 46.0 | 2-8 |
ジャイアンツとドジャースの首位争い2強、ワイルドカード争いのパドレス、再建期のロッキーズ、最弱のダイヤモンドバックスという構図でしばらく固定されています。
ここにきてジャイアンツはまだまだ勝率を伸ばしてきていますから、あまりにも強すぎますね。
ジャイアンツとドジャースの勝率は、MLB全体でも1位と2位ですから、この2チームの優勝争いが如何にハイレベルなのかがわかります。
優勝争いの展望
地区優勝はジャイアンツとドジャースの2チームに完全に絞られました。
ここまで常に首位でドジャースを抑えてきたジャイアンツですが、ドジャースもかなり僅差まで迫ってきていますから、どちらにも同様にチャンスがあります。
そうなってくると気になるのはやはり日程です。
ジャイアンツの日程は、現在のカブス戦が終わると、パドレス、ブレーブス、ロッキーズ、ダイヤモンドバックスと対戦することになります。
そして、なんとパドレスとは10試合も組まれているため、パドレスからどれだけ勝ちをとれるかがカギになるのは間違いありません。
一方のドジャースは、現在のパドレス戦が終われば、ダイヤモンドバックス、レッズ、ロッキーズ、パドレス、ブルワーズと対戦します。
こちらも同地区相手のカードが多く組まれていますが、ドジャースの場合はレッズとブルワーズというプレーオフ進出候補2チーム相手に勝ち星を落とさないということが重要になりそうです。
両チームともに、同地区との対戦が多い中で、直接対決はありません。
そのため、下位チームから勝ちを取りこぼさないことがなによりも重要です。
最弱ダイヤモンドバックスからは全勝が当たり前で、3,4位のパドレス、ロッキーズからも必ず勝ち越す必要があります。
下位チームに連敗した方が優勝争いに敗れると言ってもいいかもしれません。
そういった盤石さに長けているのは、今季ここまでの戦いを見る限りはジャイアンツの方です。
そのため、現時点ではやはりジャイアンツがやや有利かと思われます。
しかし、ここにきてダルビッシュとスネルが安定感を取り戻しつつあるパドレスが息を吹き返すと、対戦の多いジャイアンツは苦しむことになるかもしれません。