MLBスタープロファイル vol.3〈クレイトン・カーショウ〉

クレイトン・カーショウ MLB
引用:https://twitter.com/MLB/status/1002384361054928896

MLBスタープロファイルvol.3は、現役最高の左腕 クレイトン・カーショウです。

クレイトン・カーショウ

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経歴

2006年MLBドラフトにおいて、高卒選手として1巡目全体7位指名でドジャースへ入団。
2007年にはフューチャーゲーム(マイナーリーグのオールスター)に選出されるなどすぐに頭角を現し、ドジャースのトッププロスペクトとして名を馳せました。
2008年5月25日のカージナルス戦でメジャーデビューを果たし、6回2失点と好投を見せました。
この年は22試合に登板し5勝5敗 防御率4.26とまずまずの成績に加え、初のポストシーズンでの登板も経験するなどしデビューシーズンを終えました。

2年目となる2009年には二けた勝利にこそ届かなかったものの、K/9が9.7を記録するなど奪三振力が大きく向上し、初の規定投球回にも到達しました。
当時のカーショウは荒れ球の本格派左腕であり、制球力さえ向上すれば一気に飛躍するとみられていましたが、翌2010年には前年4.8だったBB/9が3.6まで向上するなど制球面で大きな成長を見せ、より長いイニングを投げられるようになった結果、初の二けた勝利&防御率2点台&200回達成で一流投手の仲間入りを果たしました。

わずか23歳にして名門ドジャースのエースへとなりあがったカーショウは、2011年に投手三冠を達成し初のサイ・ヤング賞、2012年にはサイ・ヤング賞投票2位、2013年及び2014年にも二年連続サイ・ヤング賞を獲得するなど、20代半ばにして一気にリーグ最高の投手となりました。
また、2014年には投手は獲得が困難なMVPにも輝いています。

これらの活躍により早くも将来の殿堂入り候補と目されていたカーショウですが、2016年からは腰の故障に悩まされるようになり、投げれば超一流ではあるものの、毎年のように故障離脱するため規定投球回前後という状態が現在まで続いています。

投手として全ての栄誉を勝ち得た彼がまだ手にしていなかったのがチャンピオンリング。
レギュラーシーズンでは圧倒的ながら、ポストシーズンでは炎上することが多く、初のワールドシリーズ進出となった2018年にも、ワールドシリーズで2敗を喫して戦犯の一人になってしまいます。
しかし、短縮シーズンながらワールドシリーズにまで勝ち進んだ2020年には、2勝を挙げるなど活躍を見せてようやくチャンピオンリングを手にしました。

2021年は2009年以来ワーストとなる防御率3.55を記録し、長期離脱も経験するなど、健康面でも投球内容でもターニングポイントを迎えています。

獲得タイトル・記録

MVP 1回(2014)
サイ・ヤング賞 3回(2011, 2013-14)
オールスター 8回(2011-2017, 2019)
最多勝 3回(2011, 2014, 2017)
最優秀防御率 5回(2011-14, 2017)
最多奪三振 3回(2011, 2013, 2015)
ゴールドグラブ賞 1回(2011)
ロベルト・クレメンテ賞 1回(2012)
ワールドチャンピオン 1回(2020)
ノーヒットノーラン 1回(2014)

通算成績
投球

全盛期は4シームを主体に、スライダー、カーブ、稀にチェンジアップを投じるスタイルでした。
当時の4シームは平均球速94mph(約151km)前後を記録するほどの速球派でしたが、加齢とともに変化球主体の投球へと変化。
2021年には4シームの投球割合が30%台に低下し、スライダーを50%近く投じています。
全盛期から一貫して変わらないのは、2シーム系の速球をあまり使わないことと、カーブの割合が15%前後であることです。
彼のカーブは大きく縦に割れる遅い球で、割合こそ高くないものの、リーグ最高のウィニングショットの一つとして右打者には非常に効果的です。

全盛期には4シームもリーグ最高峰でしたが、現在は平均球速90mph(145km)程度にまで低下してしまった影響で、質も悪化してしまっています。
それでも、投球の軸であるスライダーと、前述のカーブはいまだにトップクラスの威力を発揮しています。

初のサイ・ヤング賞を獲得した2011年にBB/9が2.1を記録するなど奪三振力だけでなく制球面でもトップクラスであり、規定未到達ながら2016年には149.0回でわずか11四球でした。
球速などに衰えはみえるものの、K/BBはいまだに全盛期に近い数字を記録するなど、投球術はリーグ最高峰です。

契約

2度目のサイ・ヤング賞を獲得した2013年シーズンのオフに、2014年から2020年までの7年総額2億1500万ドルという巨額契約を結び、前年にジャスティン・バーランダーが結んだ7年1億8000万ドルを抜いて、当時投手として史上最高額となりました。

また、オプトアウトの権利を有していた2018年シーズン終了後には、新たに3年9300万ドルの契約を結びなおしたことで、契約期間を2021年まで延長しました。

本稿執筆時点(2022/01/10)では、MLBロックアウトによりカーショウはFAのままです。

今後の展望

これまで年平均3000万ドルを超える巨額契約でプレーしてきましたが、4シームの球速低下や故障の多さから衰えは明らかです。
健康を維持できれば、その投球術で未だにリーグ有数の左腕として数字を残すことができそうですが、2022年シーズンは34歳であることを考えると、市場価値は下落しています。
ドジャースは今オフ、カーショウに対してクオリファイング・オファーを提示しませんでした。
「彼には、期限付きではなく、じっくり時間をかけて考えてほしい」と編成部門責任者であるフリードマンは述べており、ドジャースとしてはカーショウに戻ってほしいという反面、今のカーショウに対して高額な契約を出すつもりはないようです。
もし移籍する場合は、ロックアウト前に精力的な補強を行っていたレンジャーズ(カーショウの出身地であるダラス近郊)が有力視されています。


ドジャースのレジェンドであり、殿堂入りもほとんど確実視されていますが、ロックアウト明けにドジャースがどういう判断を下すのかに注目が集まります。

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