今回はMVP候補となる選手を紹介します。
MVPはその年最高のパフォーマンスを残した選手が対象となるため投手が受賞することもありますが、基本的には野手が優位です。
今回はア・リーグ2人、ナ・リーグ3人を紹介していますが、ア・リーグは大谷が確実視されているのに対して、ナ・リーグはやや混戦模様です。
今回のMVP争いで面白い点は、有力候補全員がプレーオフ進出を逃しているという点です。
参考記事:2021年シーズンMVP候補10選
ア・リーグMVP候補
大谷翔平(LAA)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
155 | .257 | 46 | 100 | .372 | .965 | 26 |
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
23 | 9 | 2 | 3.18 | 130.1 | 156 | 1.09 |
結論から言うと、ほぼ確実に大谷がMVPを獲得すると思われます。
タイトルこそ逃したものの、打撃においては本塁打リーグ3位、打点リーグ13位、出塁率リーグ5位、OPSリーグ2位、三塁打リーグ1位、盗塁リーグ5位という堂々たる成績を残しました。
投手のほうは、野手とは逆に後半戦で評価を上げ、こちらも10勝という区切りには到達しませんでしたが、エンジェルスのエースとして活躍しました。
前人未踏と言っていい「45本塁打&100打点&25盗塁&150奪三振」を達成しており、fWAR8.1とrWAR9.0はそれぞれ両リーグトップの数字です。
大谷が今季MVPを獲得した場合、これが前例となって今後大谷が二刀流を成功させ続ける限りMVPを獲得し続けるのではないか?という危惧がファンの間で生まれています。
大谷が今回はノンタイトルに終わったことから、上記のような危惧のため満票でMVPを受賞ということは難しいかもしれません。
しかし、ベースボールアメリカの年間最優秀選手に選出されるなど、MVPはほぼ確実視される状況になっています。
ブラディミール・ゲレーロ Jr.(TOR)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
161 | .311 | 48 | 111 | .401 | 1.002 | 4 |
最後まで三冠王の可能性に挑戦したゲレーロですが、最終的には本塁打王のみの一冠に終わりました。
打撃において今季のゲレーロが最も優れていたことは議論の余地もありませんが、大谷という規格外の障壁が現れたことで今季のMVP獲得は困難なものになっています。
rWARは6.8で大谷には大きく差をつけられています。
また、打撃以外でゲレーロが大谷に大差をつけて優れている点は、チームが高勝率を記録したこと。
プレーオフこそ最後に逃したものの、チーム成績も多少加味されるMVP投票ではこの点は有利に働くでしょう。
これらの点からゲレーロを支持する層も一定数いるため、彼にも票は入ると思われます。
ナ・リーグMVP候補
ブライス・ハーパー(PHI)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
141 | .309 | 35 | 84 | .429 | 1.044 | 13 |
史上最高の才能としてメジャーデビューを果たし、2015年には圧倒的な成績でMVPを勝ち取ったハーパーですが、それ以降は一流ではあるもののやや物足りない成績を続けていました。
フィリーズ移籍後も少し影が薄くなっていましたが、ここにきてついにMVP争いに顔を出してきました。
打率3位、本塁打6位、打点24位、出塁率2位と、打点以外は全て高水準で、なおかつOPSは両リーグトップの数値をたたき出しました。
打点の少なさは気になるものの、ナ・リーグの有力候補の中で唯一チームが勝率5割を超えており、その点もハーパーに有利に働くと思われます。
ただ、ハーパーの今季のrWARは5.9で、これは他の候補よりも劣っています。
フアン・ソト(WSH)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
151 | .313 | 29 | 95 | .465 | .999 | 9 |
昨季は離脱期間がなければMVPを獲得できていたと言っていいくらいの大活躍でしたが、今季もMVP級の活躍となりました。
前半戦は出塁だけはトップクラスという状態で物足りなさがありましたが、ホームランダービー出場後に調子が大きく向上。
オールスター後は打率.348 出塁率.525 OPS1.164というバリー・ボンズ並のパフォーマンスを見せました。
22歳でこの完成度は驚くばかりですが、今季はチームがトレードデッドラインで主力を大放出するなど大解体を行った影響でチームは下位に沈みました。
MVPは多少チーム順位も影響することがあるため、この点はソトに不利かもしれません。
しかし、rWARではナ・リーグの野手トップとなる7.0を記録しています。
参考記事:やはり後半戦の主役はフアン・ソトか
フェルナンド・タティス Jr.(SD)
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
130 | .282 | 42 | 97 | .364 | .975 | 25 |
キャリア三年目にして本塁打王に輝きました。
前半はMVP最有力候補でしたが、後半戦本塁打のペースが大きく落ちてしまいました。
それでもオールスター後にOPS.916を記録するなど一流の活躍には間違いありませんが、終盤にずるずると崩れ落ちていったチームの印象が悪影響を及ぼしそうです。
他の候補とは違い、足の貢献度も非常に高かったのですが、シーズン途中に故障離脱してからは盗塁は激減しました。
また、故障による離脱が多かった影響で試合数が少なく、シーズン中に遊撃手から外野手へとコンバートも経験しています。
rWARは6.6で、ハーパーは上回っており、本塁打王という花形の打撃タイトルを獲得している点が強みです。