パドレスがオフにトレードで補強したエース級投手、ダルビッシュ有とブレイク・スネル。
二人のうちダルビッシュは期待通りエースとしての働きをみせており、ドジャース3連戦の初戦でもドジャース打線を抑え込み7勝目をあげました。
一方でサイ・ヤング賞投手でもある左腕スネルは、今季期待に応えられてはいません。その彼の今季の成績がこちら。
14試合 2勝3敗 防御率5.72 61.1回 85奪三振 37四球 WHIP1.57
投手有利が叫ばれる昨今のMLBにおいて、左のエースになるべき投手がこんな成績では勝てるものも勝てません。
そんな彼ですが、実はあまりにも異常な傾向を示しているデータがあります。それでは、彼のホームとアウェイの成績を比較してみましょう。
“スネルのホーム成績”
防御率1.65 32.2回 19被安打 50奪三振 13四球 WHIP0.98
“スネルのアウェイ成績”
防御率10.36 28.2回 40被安打 35奪三振 24四球 WHIP2.23
そう、なんと今季の彼はホームでは天使、アウェイでは悪魔へと変貌するのです。
確かにパドレスの本拠地ペトコパークは投手有利の球場として有名です。しかしいくらなんでもここまで極端な数値を残すというのは異常です。
比較のため、同じく移籍組のダルビッシュの成績を見てみましょう。
“ダルビッシュのホーム成績”
防御率2.18 62.0回 42被安打 81奪三振 12四球 WHIP0.87
“ダルビッシュのアウェイ成績”
防御率3.21 28.0回 19被安打 27奪三振 10四球 WHIP1.04
確かにダルビッシュもホームの方が好成績を残していますが、アウェイでも十分好投手と言える数字を出しています。
さらなる比較対象として、同じく移籍組のジョー・マスグローブの成績も見てみます。
“マスグローブのホーム成績”
防御率2.36 42.0回 30被安打 55奪三振 11四球 WHIP0.98
“マスグローブのアウェイ成績”
防御率2.19 37.0回 20被安打 43奪三振 6四球 WHIP0.70
マスグローブは4月にアウェイのテキサスでノーヒッターを達成しているため、そこを考慮する必要はありますが、それでもホームとアウェイで同等かアウェイの方がいい投手と言えそうです。
このように他の投手はそこまで極端な結果になっていないのに、スネルだけがあまりにも極端に天使と悪魔が入れ替わります。
前置きが長くなりました。
現地時間6/22のドジャースとの大一番2戦目。お互いの先発投手はパドレスがスネル、ドジャースがカーショウ。両者ともにサイ・ヤング賞経験のある左腕と、豪華な顔ぶれになりました。しかし、今季の成績には大きな差があります。そこだけ見るならスネルがカーショウに投げ勝つ道理がありません。ところが今日投げるのは”ホームのスネル”です。
試合は初回から動きます。
スネルが2人のランナーを出しながらなんとか無失点で切り抜けると、その裏にパドレスのクロネンワースが値千金の2点本塁打で先制します。クロネンワースは2試合連続の本塁打。ここ4試合で3本目と今最も怖い打者になっています。
2回以降は膠着状態が続きますが、4回にスネルが乱れます。
先頭のターナーにヒットを許すと、その後2アウトをとるものの四球とヒットで塁が埋まります。2アウト満塁のピンチで、今季ホームではすべて2点以下に抑えてきたスネルも年貢の納め時かと思われましたが、ここでスーザを内野ゴロに打ち取り、またしても無失点で切り抜けます。
さらに5回には投手のカーショウにぎりぎりの内野安打を許し、またまた2アウトをとるものの四球でピンチを作ります。球数は95球に達しており、交代も考えられるかという状態でしたがここでプホルスを三振に打ち取り、またまた無失点に抑えました。
99球に達していた彼はその裏に代打を送られ、キム・ハソンが初の代打本塁打を記録するサプライズプレゼントもついてきました。
ちなみに彼がホームでもアウェイでも変わらないのが、球数が多くなるせいで長いイニングは投げられないという点です。無失点で抑えたこの試合でも5回で100球近くついやしてしまうわけですから、リリーフの負担が大きいのが難点です。スタミナもなく、今季100球を超えたのが1試合だけというのも問題です。好投している時くらいは100球で6回くらいを投げ切ってほしいものです。
スネル降板後はリリーフが失点し、9回には守護神マランソンがソロ本塁打を浴びて1点差まで迫られるなどヒヤヒヤの展開でしたが、最後はなんとか抑え込みパドレスがドジャース相手に連勝となりました。この勝利で6/17から続くパドレスの連勝は6にまで伸びました。それにしても、スネルにはペトコパークの神でもついているのでしょうか、あるいはアウェイの悪魔がついているのか。この傾向がいつまで続くのか気になるところですね。