スプリングトレーニングが始まってしばらくたつMLBですが、大方の大物選手の契約が決まった中でまだ移籍先が未定の選手がいます。
メッツからFAとなった外野手マイケル・コンフォートは、このオフにクオリファイング・オファーを受けて拒否した選手の中では唯一未契約となっています。
コンフォートが売れ残った理由
このオフの移籍市場は、外野手ではクリス・ブライアント、ニック・カステヤノス、カイル・シュワーバーらが注目されていました。
しかし、ロックアウトで交渉中断期間が長引き、彼ら有力外野手の移籍先が決まるのも遅かったため、コンフォートはそのあおりを受けました。
通常は有力選手から決まっていき、その有力選手を獲得できなかったチームが次善策としてランクを落とした選手を狙う傾向があります。
コンフォートは毎年30本塁打前後を記録する強打の外野手として高く評価されていましたが、昨季の不振のせいで大幅に評価が下落してしまっていました。
そのため、シュワーバーやカステヤノスらと比較してもランクの低い選手とみなされ、交渉が後回しにされた感があります。
とはいえ、彼の実績を考えるならば、ある程度契約内容を妥協すれば移籍先が決まらないはずがありません。
ここまで長引いている最大の要因は、コンフォートがクオリファイング・オファーを拒否したことにあります。
コンフォートの読み違い
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クオリファイング・オファーについては上記記事で説明していますので、詳細はご参照ください。
このオフのクオリファイング・オファーは1840万ドルに設定されていました。
メッツはコンフォートに対してクオリファイング・オファーを提示し、彼はそのオファーを拒否しFAとなりました。
オファーを拒否するということは、単年1840万ドルを超えるオファーを得られる可能性が高いとコンフォート側が判断したということです。
しかし、これがコンフォートにとって大きな読み違いになってしまいました。
クオリファイング・オファーを拒否した彼を獲得すれば、獲得チームはドラフト指名権を失うことになります。
今のコンフォートに対してドラフト指名権喪失のリスクを負ってまで彼を獲得したいというチームは、これまでのところ現れていません。
ドラフト後まで待つ手もある
実はこのような事態に陥ったのはコンフォートが最初ではありません。
ドラフト指名権喪失が大きなネックになるこのパターンでは、過去にダラス・カイケル、ケンドリス・モラレス、ステファン・ドリューらが同じ状況で開幕を迎えました。
カイケル、モラレスはドラフト指名権喪失の問題がなくなるドラフト後に他チームと契約、ドリューは開幕後に元々所属のチームと契約。
いずれも、クオリファイング・オファーより低い金額での単年契約を余儀なくされました。
今回のコンフォートも、ドラフト指名権喪失の問題を解決するため、ドラフト終了まで待って契約という方法があります。
しかし、上述の選手らがその手法をとった当時はドラフトが6月でしたが、今季のドラフトは7月になっています。
コンフォートとしてはここから3ヶ月以上も試合に出られずに待機しなければならず、これは彼にとってあまり現実的ではないでしょう。
今後のキャリアを重視するなら、契約内容は度外視で今すぐ契約をまとめる必要がありそうです。
最有力はレンジャーズか
コンフォート獲得を考えていると噂のあったチームはいくつかあります。
その中でも有力候補だったのがこのオフ補強に勤しんでいるブルージェイズ。
ブルージェイズはすでに強力な外野陣を形成していますが、主力野手がみな右打者ということから左右のバランスをとるためにコンフォートをターゲットとしているということでした。
しかし、つい先日ブルージェイズは、右の外野手ランドール・グリチャックをトレードに出し、ロッキーズから左の外野手ライメル・タピアを獲得しました。
タピアはブルージェイズに少ないスピードタイプの選手で、チームが求めていた左の外野手が手に入ったことになります。
このトレードにより、ブルージェイズのコンフォート獲得の可能性は限りなく低くなりました。
また、そもそも外野手が不足しているガーディアンズもコンフォートがフィットするチームとしてよく引き合いに出されてきました。
しかし、GMが「ベテランを獲得して若手選手の出場機会を奪わことがないようにしないといけない」という趣旨の発言をしていたことから、ガーディアンズがコンフォートを獲得する可能性も低そうです。
そうなってくると、多少の出費を覚悟してでも今季がむしゃらに補強したいチーム。
そう、レンジャーズの出番です。
レンジャーズはこのオフ、既にマーカス・セミエンとコリー・シーガーを獲得したことでドラフト指名権を失っています。
コンフォートを獲得すればまた一つ指名権を失うことになりますが、今のレンジャーズならやりかねません。
少なくともコンフォートの市場価値は下落しており、ある意味相場より買い叩けるチャンスでもあります。
単年契約ではうまみがほとんどないため、少なくとも複数年契約にコンフォートが合意する必要がありますが、果たして彼はこの状況をどう考えているのでしょうか。
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