前回のア・リーグ中地区に引き続き、今回はア・リーグ西地区の優勝争いの展望について解説していきます。
参考記事:優勝争いの展望〈ア・リーグ中地区〉
ア・リーグ西地区のこれまで
ア・リーグ西地区は序盤混戦模様でした。
その中から抜け出して5月頃から首位争いを演じているのがアストロズとアスレチックスの2チームです。
アストロズはリーグ最高クラスの得点力と、スーパースターはいなくても粒揃いの投手陣を軸に、安定した戦いで6月からは首位をキープし続けています。
一方のアスレチックスは、6月まではアストロズと対等の首位争いを続けていましたが、7月以降はアストロズに一定の距離をあけられ、二番手に甘んじています。
また、今季の西地区において一番のサプライズチームと言えそうなのがマリナーズです。
戦力的には乏しく、むしろ若手有望株を多数抱えているため将来性に期待というチームなのですが、何故か勝ちを拾っています。
同地区のアストロズからトレードで獲得したトロが、マリナーズに来てから突然打ちまくっているのも面白い点です。
劇的な逆転勝ちなどもあり、まだワイルドカードでプレーオフ進出の可能性も残されています。
6月頃から完全な4強1弱に分かれた西地区ですが、その4強の中で最弱なのがエンジェルスです。
シーズンMVP最有力候補の大谷翔平の活躍ぶりは誰もが知るところですが、投手陣の崩壊や、トラウトやレンドンといったスター選手が怪我で長期離脱したことが響き、最近では勝率5割付近を行ったり来たりという感じです。
そして、圧倒的な1弱として早々に優勝の可能性がなくなったのがレンジャーズです。
投打共に酷い出来ですが、その中でも奮闘していた主力選手をトレードデッドラインで放出したことで、完全な再建期に入りました。
特に、ギャロやギブソンといった来季まで契約が残っていた選手を放出したことは、来季以降もしばらく再建期が続くという意思表示でもあります。
参考記事:2021年シーズンMVP候補10選
現時点での順位
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 勝率 | ゲーム差 | 直近10試合 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | アストロズ | 80 | 57 | .584 | – | 5-5 |
2 | マリナーズ | 75 | 63 | .543 | 5.5 | 6-4 |
3 | アスレチックス | 74 | 63 | .540 | 6.0 | 4-6 |
4 | エンジェルス | 68 | 70 | .493 | 12.5 | 5-5 |
5 | レンジャーズ | 49 | 88 | .358 | 31.0 | 5-5 |
2位とは5.5ゲーム差ですが、アストロズは首位独走とまでは言えません。
首位アストロズに加えて、プレーオフを狙うマリナーズ、アスレチックスのグループ、再建期に入ったエンジェルスとレンジャーズのグループというふうに分かれそうです。
また、アスレチックスが調子を落としていることもあって、ようやくマリナーズがアスレチックスを抜いて2位につけました。
マリナーズはこの地区におけるダークホースになっています。
優勝争いの展望
優勝の最有力候補はやはりアストロズです。
長期間首位キープしている点もそうですが、9月の日程が楽であるという点が大きく影響しそうです。
9月のアストロズは、レンジャーズやダイヤモンドバックス、そしてエンジェルスといった再建期のチームと多くあたります。
プレーオフを狙うチームとの対戦はマリナーズ、アスレチックス、レイズくらいです。
また、アストロズにはどの先発投手も一定の安定感があるという大きな強みがあります。
打線は水物ですが、アストロズが首位を維持できているのは投手陣の安定感のおかげです。
熾烈な2位争いを繰り広げているマリナーズとアスレチックスは、9月に直接対決が7試合用意されています。
どちらもワイルドカードでのプレーオフ進出を狙っていますが、もしどちらかが一方的に連勝するようであれば、アストロズを脅かすということもあり得るかもしれません。
どちらのチームも、アストロズと3試合ずつ対戦しますが、先に3連戦に入ったマリナーズは初戦でアストロズに敗北しました。
このアストロズとの対戦の結果も、今後の順位に大きく響いてきそうです。