前回のア・リーグ西地区に引き続き、今回はナ・リーグ東地区の優勝争いの展望について解説していきます。
参考記事:優勝争いの展望〈ア・リーグ西地区〉
ナ・リーグ東地区のこれまで
言い方は悪いのですが、今季のナ・リーグ東地区は、最もレベルの低い地区となりました。
5月頃に首位に定着し、そこから7月までその座を守り続けたメッツは、首位とは言っても勝率.550前後。
他地区の首位チームは勝率.600前後を維持していたのに対して、大きな差がありました。
そのメッツは今季最も大きな挫折を味わったチームと言っていいかもしれません。
前述の通り、7月まで首位をキープしていたメッツは、ハイレベルとは言えないながらも独走状態でした。
それは、一時期メッツ以外の4チーム全てが勝率5割未満になるなど他のチームが軒並み低空飛行していたからです。
しかし、その状態はトレードデッドラインを機にガラっと変わりました。
首位メッツは当然のように補強をし、また2,3位だったフィリーズやブレーブスも買い手にまわりました。
ところが、補強後のメッツはどんどん負けが続き、逆にフィリーズやブレーブスが調子を上げ逆転されました。
ここからは三つ巴になるかと思われましたが、メッツの負けは止まらず、ついに勝率5割を割る事態になりました。
地区首位でトレードデッドラインを迎えたチームが一ヶ月足らずで勝率5割以下になるというのは異例の出来事でしょう。
それに対して前半戦低調ながら虎視眈々と首位を狙い続けたのがフィリーズとブレーブスでした。
フィリーズはウィーラーやハーパーのようなスターは何人かいるものの全体的なレベルは高くなく、デッドラインでギブソンを補強したことが功を奏しました。
ブレーブスは、7月に今季のMVP候補だったアクーニャJr.を今季絶望の怪我で失いました。
本来ならこれであきらめムードが漂うところですが、デッドラインで野手を乱獲するなど穴埋めに走りました。
元々アクーニャ以外にもフリーマンやライリーといった強力なタレントを複数擁し、投手陣にも若く爆発力のある選手が何人かいたため、この作戦がうまくいき8月一気に首位にまで上り詰めました。
メッツを抜いたあとは、元々いたタレントのクオリティでブレーブスがフィリーズに差をつけました。
また、これらの上位争いとは無縁のところで低調だったのがマーリンズです。
マーリンズの抱える若手先発投手陣の将来性は一級品で、数年後にはリーグ最高の先発ローテーションが出来上がっていてもおかしくはないのですが、リーグワーストクラスの得点力に足を引っ張られて浮上の機会を失いました。
ナショナルズは6月頃には一時2位に立つなど善戦していました。
この頃はシュワーバーが歴史に残る大活躍を見せるなどチームが活性化していました。
ところが、シュワーバーが怪我で離脱するとチーム状況はみるみる悪化。
その結果、トレードデッドラインを4位で迎え、チームの主力のほとんどを放出するという苦渋の決断を迫られました。
このチーム大解体によって、若手スターのソト以外の主力は片っ端からいなくなった反面、チームのプロスペクト事情はずいぶん改善されました。
参考記事:地区首位だったメッツ 三日で3位に転落
現時点での順位
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 勝率 | ゲーム差 | 直近10試合 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ブレーブス | 73 | 64 | .533 | – | 4-6 |
2 | フィリーズ | 71 | 67 | .514 | 2.5 | 7-3 |
3 | メッツ | 70 | 69 | .504 | 4.0 | 8-2 |
4 | マーリンズ | 57 | 81 | .413 | 16.5 | 5-5 |
5 | ナショナルズ | 57 | 81 | .413 | 16.5 | 2-8 |
首位ブレーブスの勝率が.533というのは、かなりの低水準です。
ですがそのおかげで、4ゲーム差以内でフィリーズとメッツが追いかけてきており、地区優勝争いの行方自体は最も読めない地区となっています。
優勝できなかったチームはワイルドカードでの選出も現実的ではないため、この地区からプレーオフ進出できるのは1チームのみになりそうです。
優勝争いの展望
優勝の可能性があるのはブレーブス、フィリーズ、メッツの3チームです。
一時はブレーブスが独走態勢に入るかと思いきや、ここにきてブレーブスは停滞し、反面フィリーズとメッツは調子を上げています。
そうなってくると、やはりカギになるのはそれぞれの日程になりそうです。
まず3位のメッツですが、直近10試合で8勝2敗と好調な理由は、ナショナルズ、マーリンズとの連戦が続いたからです。
しかし、この連戦が終わると次にヤンキース、レッドソックス、ブルワーズら上位チームとの対戦があります。
フィリーズは最も日程に恵まれています。
現在のブルワーズとの連戦終了後には、ロッキーズやオリオールズ、パイレーツなど下位チームと多く対戦することになります。
日程上はかなり有利です。
そして現在首位のブルワーズですが、こちらも日程は比較的楽です。
現在のナショナルズとの連戦の後は、マーリンズ、ロッキーズらと対戦しますし、ダイヤモンドバックスとの4連戦もあります。
ジャイアンツやパドレスらとのカードもありますが、ブレーブスは対等以上に戦える可能性もあります。
上記の日程を踏まえると、やはりメッツが優勝争いに復帰するのは少し難しそうで、フィリーズとブレーブスの一騎打ちになる可能性が高いと思われます。
しかも、なんとこの2チームは9月最後の連戦で直接対決が組まれています。
僅差でその直接対決を迎えれば、最後まで結果はわからないでしょう。
他の地区と違い、ぎりぎりまで優勝争いを楽しめそうです。