162試合のレギュラーシーズンを終え、2021年ポストシーズンがついに開幕しました。
開幕試合は伝統の一戦
今季のポストシーズン最初の試合は、レッドソックス対ヤンキースによる、ア・リーグワイルドカードゲーム。
ワイルドカードゲームは、各リーグ2位以下チームの勝率を基に上位2チームがワイルドカードとして1試合だけ行い、勝者がディビジョンシリーズに進むことができるというものです。
野球は甲子園やWBCといったトーナメント制の大会を除けば、基本的に3,4勝した方が次のシリーズへ進むというように、プロでは複数試合を行うことで優劣をつけます。
ところがワイルドカードゲームだけは性質が異なり、ポストシーズンとは言っても負けた方はたった1試合だけで終わってしまいます。
そのため、相対的にワイルドカードよりも地区優勝の価値がより高くなっています。
元々が地区優勝とワイルドカードの差別化を図るためのシステムとして作られたものですが、今季のヤンキースとレッドソックスのように162試合目でようやく勝ち取ったワイルドカードの権利が、たった1試合の勝敗で水泡に帰すというのも非情なものです。
レッドソックスが完勝
試合内容
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヤンキース | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 | 6 | 0 |
レッドソックス | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | × | 6 | 7 | 0 |
試合はフェンウェイパークで行われ、ヤンキース先発はゲリット・コール、レッドソックス先発はネイサン・イオバルディでした。
初回にレッドソックスのザンダー・ボガーツがいきなり先制2ラン本塁打を放ち、3回にも今季途中加入のカイル・シュワーバーがソロ本塁打で加点しました。
やむを得ずヤンキースはコールを3回途中で下ろし継投に入りましたが、その後もコンスタントに失点。
ヤンキースはアンソニー・リゾーとジャンカルロ・スタントンがそれぞれソロ本塁打を放ったものの追いつくまでには至りませんでした。
敗因はフェンウェイパーク?
個人的に感じたヤンキースの敗因は二つあります。
一つ目は、ヤンキースの持ち味である四球での出塁が全くできなかったこと。
今季のヤンキースは打率リーグ13位と非常に低水準に終わっていますが、本塁打数リーグ3位、四球数リーグ1位という、長打と四球で勝ち上がったチームです。
この二つのファクターは、セイバーメトリクスの発展とともに近年最も重要視されてきたものではありますが、この試合でのヤンキースは四球0と、ランナーをためるということが全くできていませんでした。
レッドソックス投手陣が四球を出さない投球をしたことで、ヤンキースが放ったせっかくの2本塁打も大きな効果が得られませんでした。
二つ目は、フェンウェイパークが敵に回ったことです。
敵地で、しかもヤンキースとレッドソックスというファンが最も喜ぶカードである以上、当然ながらフェンウェイパークの観客からはヤンキースに向けて多大なプレッシャーが向けられます。
しかし、それ以上にヤンキースに立ちはだかったのはフェンウェイパークのグリーンモンスターでした。
この日本塁打を含む3安打と大活躍だったヤンキースの主砲スタントンですが、9回の本塁打以外に、初回にグリーンモンスター直撃のシングルヒット、6回にもグリーンモンスター直撃の二塁打を放っています。
しかもこの2打席の打球はともにグリーンモンスター上部付近にあたっており、普通の球場であれば間違いなく本塁打という当たりでした。
最終打席こそうまくライトポール際に放り込みましたが、今日のスタントンはグリーンモンスターさえなければ3本塁打していてもおかしくありませんでした。
「仮に」という話は全く意味がないのですが、それでもスタントンの2打席の打球がスタンドインであれば試合の展開は全く違ったものになった可能性もあります。
そういう意味で、今回のヤンキースの最大の敵はフェンウェイパークだったように思います。
レッドソックスはレイズと対戦
この試合結果をうけて、ディビジョンシリーズでレッドソックスはア・リーグ最高勝率を記録した同地区のレイズと対戦することになりました。
今季のレッドソックスの対レイズ対戦成績は8勝11敗と負け越しています。
レッドソックスが下剋上を成し遂げることができるのか注目です。