野球選手の選手寿命は、他のコンタクトスポーツに比べると比較的長く、中には40歳を超えてもプレーをつづける選手もいます。
それでも身体能力的な全盛期は20代前半から後半にかけてで、30歳を超えると成績は下降することがほとんど。
今回紹介したいのは、一度終わったかと思われながらも今季不死鳥のごとく復活を遂げたベテラン選手たちです。
条件としているのは、昨季成績が悪く、そこから今季V字回復させたMLBでのキャリアが10年以上ある現在35歳以上の選手です。
ジョーイ・ボットー(37)
レッズ一筋15年目のジョーイ・ボットーは、2010年にシーズンMVPを獲得するなど、全盛期はリーグ最高の一塁手として君臨していました。
特に優秀だったのは出塁能力で、3割を超える高打率もあいまって出塁率は毎年のように4割を超える、まさにセイバーメトリクスの申し子のような打者でした。
2014年からの10年契約にもサインし、そこからも数年間順調に活躍を続けていましたが、2018年に前年1.032を記録したOPSが.837にまで急落。
その原因は36本→12本へと激減した本塁打数でした。
いくら出塁率が高いとはいえ、本塁打が10本代の一塁手というのは魅力が大きく薄れます。
さらに翌2019年には打率.261にまで落ち込み、それまで4年連続4割を超えていた出塁率が.357にまで低下します。
短縮シーズンとなった2020年には54試合で11本塁打と長打力を取り戻したものの、打率はキャリアワーストの.226を記録し、そこに全盛期の面影はありませんでした。
まだ契約が残る中、引退まで完全に不良債権と化すだろうと思われたボットーでしたが、今季は目を見張る大復活を遂げます。
シーズン序盤は昨季とあまり変わらない状態でしたが、6月に入って打率を上げてくると、7月には驚異の7試合連続本塁打でフランチャイズレコードを樹立。
この活躍もあって、37歳にしてキャリア初となる月間MVPを受賞しました。
流石に7月は出来すぎでしたが、これにより強打のレッズ打線にあって本塁打数はチーム1位の22本塁打となっています。
しかも他の主力よりかなり少ない79試合の出場ですから、本塁打だけなら今やチームで1番と言って間違いありません。
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
79 | .273 | 22 | 64 | .367 | .923 | 1 |
チャーリー・モートン(37)
こちらも37歳の大ベテランですが、彼の場合は20代の時に二桁勝利を挙げたのは一度だけ。
キャリアの大半を過ごしたパイレーツ時代は怪我がちなのもあり先発投手としてはやや不安定でしたが、2017年にアストロズへ移籍すると規定未到達ながらキャリアハイとなる14勝&防御率3.62を記録。
さらに翌2018年はさらにキャリアハイを更新する15勝&防御率3.13に加え、自身初となる201奪三振を記録し、34歳にして完全に全盛期を迎えました。
翌2019年にはレイズへ移籍しましたが、その上昇気流はとどまるところを知らずまたまたキャリアハイを更新する16勝&防御率3.05&240奪三振で、勝利数、防御率、奪三振で全てリーグ5位以内に入りました。
超遅咲きと言っていい活躍ぶりで、どこまで数字を積み上げるのか注目される中迎えた2020年は、9試合に先発登板して防御率4.74と、その勢いは止まってしまいました。
しかし今季、自身がドラフト指名されたブレーブスへ復帰すると、怪我人続出の先発ローテーションの中で唯一規定投球回を達成する活躍。
勝利、投球回、奪三振でチーム1位と、ブレーブス投手陣の柱となっています。
特筆すべきは、37歳にして球速が上がっていること。
ブレイクした2017年、2018年頃は平均球速96mphを記録していましたが、そこからの2年は徐々に低下していました。
しかし2020年は平均93.7mphまで低下していた球速は今季95.5mphにまで復活しています。
ほとんどの投手が加齢とともにいわゆる軟投派へとスタイルチェンジしていくものですが、彼は30歳を過ぎてからの方が球速が上昇している不思議な投手です。
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
22 | 10 | 4 | 3.69 | 122.0 | 141 | 1.11 |
ジョニー・クエト(35)
変則的な投球フォームで有名なクエト。
2010年代屈指の好投手として活躍し、2014年には20勝を記録してサイ・ヤング賞投票2位に入ったこともあります。
全盛期にはシーズン200回以上を余裕で投げ抜いていたクエトですが、6年契約でジャイアンツに加入したものの2017年頃から怪我がちになり、投球内容も悪化。
怪我を伴うものだったため、完全に終わった不良債権と思われていましたが、今季は復活。
全盛期並とはいかないものの、ある程度先発ローテーションを守り防御率3点台を記録しており、今季予想を覆して地区首位をキープしているジャイアンツの原動力の一つとなっています。
18勝を記録した2016年以来となる二桁勝利も狙えそうです。
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
18 | 7 | 6 | 3.83 | 98.2 | 89 | 1.29 |