現在地区4位で勝率5割前後をうろうろしているエンジェルス。
補強ポイントとなっていたのは壊滅的なリリーフですが、トレードデッドラインでは先発のアンドリュー・ヒーニーとリリーフ左腕トニー・ワトソンの両ベテラン投手を放出するにとどまりました。
ナショナルズやカブスのような完全なチーム解体を行わなかったのは、大型契約選手が多すぎることと、トレード価値がある選手がほとんどいないことが原因です。
しかし、一部とは言え放出したことで売り手に回ったことは事実。
これによって残り2ヶ月のエンジェルスの方針は決まりました。
大谷お膳立て&トラウトリハビリ&若手育成
今季のエンジェルスの主役はもちろん大谷翔平です。
今季優勝はあきらめた今、ファンが最も望んでいるのは大谷が一矢報いること。
シーズン最後まで二刀流をやり通し、出来る限り本塁打王&シーズンMVPを獲得してもらうことが重要です。
また、キャリアで最も長い離脱となったトラウトが復帰した際には、無理をせずに今季は万全の状態に戻すことに専念してもらう必要があります。
来季は年間通して大谷&トラウトのデュオを核として優勝を狙いに行くはずですから、今季の残り期間はその助走になりそうです。
また、来季も活躍してくれそうな上述2選手だけの力ではもちろん戦い抜くことはできません。
優勝を狙うためには、若手がしっかりと成長することが最重要になります。
近年のエンジェルスは、既に退団したアルバート・プホルスをはじめ、ジャスティン・アップトン、アンソニー・レンドンといった実績ある野手をFAの長期契約で獲得するということが多く、これが今のところ全く功を奏していません。
強いチームはどこも自前の若手を育てて主力としていますから、エンジェルスにもトラウトやウォルシュに続く若手の躍動が必要です。
そこで、トレードデッドライン後にエンジェルスは2人の若手選手をメジャー昇格させました。
リード・デトマーズとジョー・アデルです。
先に昇格していて外野の一角を担っているブランドン・マーシュ含め、この3人の若手有望株がここからどこまで成長できるかが来季のエンジェルス躍進のカギとなりそうです。
リード・デトマーズ(22)
2020年ドラフト全体10位指名の左腕。
MLB公式のプロスペクトランキングではMLB全体56位です。
速球、カーブ、スライダー、チェンジアップの4球種を操る投手で、速球は平凡ですが、70mph台のゆるいカーブが最大の武器です。
このカーブの威力は絶大で、緩急を使ってマイナーでは奪三振の山を築き上げました。
メジャー初登板となったアスレチックス戦では、三振はあまりとれず、被本塁打も2本浴びてしまいました。
今後は制球面が課題になってきますが、今季は実質的なプロ一年目ですから、ここからエース級への成長は大いに期待できます。
試合 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
13 | 3 | 4 | 3.15 | 60.0 | 106 | 1.10 |
ジョー・アデル(22)
2017年ドラフト全体10位指名の外野手。
MLB公式のプロスペクトランキングでは、2019年に全体5位にランクインしていました。
MLB全体でもトップクラスのプロスペクトとして満を持してデビューした2020年は、38試合で打率.161&3本塁打という期待外れな結果に。
今季はAAAでやり直しとなりましたが、73試合で23本塁打とその長打力をみせつけました。
今日の試合で今季初めてメジャーで出場しましたが、ライトで先発し4打数3安打3打点という大活躍を見せました。
昨季苦しんだアデルについて、エンジェルスのミナシアンGMは「次にアデルをメジャー昇格させるのは、もうマイナーには戻さなくていい状態になったときだ」と語っており、今回の昇格もアデルがもうメジャーで通用すると確信してのものでしょう。
エンジェルスで最も期待された彼が、その期待通りの活躍をすれば、エンジェルス打線はリーグ最強クラスになるでしょうね。
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
73 | .289 | 23 | 69 | .342 | .934 | 8 |
ブランドン・マーシュ(23)
2016年ドラフト2巡目全体60位指名の外野手。
MLB公式のプロスペクトランキングでは、MLB全体で37位。
これはエンジェルス傘下では1位で、最も期待されている若手と言えます。
彼に関しては「エンジェルスのNO.1プロスペクト ブランドン・マーシュがメジャーデビュー」で詳しく話していますが、一足先に昇格した彼はメジャーでは今季すでに16試合に出場していますが、打率.173と昨季のアデル同様壁にぶつかっています。
それでも彼を先発出場させ続けるのは、やはり将来のチームのための育成の時だと割り切っているからでしょう。
彼は長い髪と髭で風貌も特徴的ですから、活躍すれば人気も出そうです。
期待の若手が打率1割台となるとファンはがっかりするものですが、実はあのマイク・トラウトですらメジャーデビューした2011年は40試合で打率.220という結果でした。
それが翌年には打率.326&30本塁打&49盗塁で新人王を獲得したわけですから、マーシュやデトマーズは今季いい結果が残せなくても来季以降の糧になるはずです。
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | OPS | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|
28 | .287 | 4 | 15 | .398 | .926 | 2 |