またしても炎上!ダルビッシュに何が起こっているのか?

炎上したダルビッシュ有 MLB
MLB.comより引用

今季エース格としてパドレスへトレード移籍してきたダルビッシュ有。
序盤こそ好調でしっかりとエース級の活躍をしていたのですが、7月に入って驚くほどの不振に陥っています。

今日の登板試合でも、得意な本拠地で下位のロッキーズ相手に3本塁打を浴びて負けてしまいました。
今回は、一体どういう異変が起こっているのかを分析していきます。

6月成績

試合 防御率 投球回奪三振WHIP
5213.0729.1360.95

4,5月ほどではないものの、6月は5登板中クオリティスタートを3回達成しており、6回を投げ切れなかった6月3日の試合でも2失点に抑えて勝ちがついています。
6月21日から粘着物質の取り締まり強化が始まりましたが、そこからの2登板をともに6回1失点で抑えるなど特に影響を受けていませんでした。

7月成績

試合 防御率 投球回奪三振WHIP
5047.3625.2271.32

7月3日に6回4失点で負けがつくと、7月8日にはシャーザーとの投げ合いで3回6失点の大炎上。
その後もピリッとしない投球が続き、7月はクオリティスタート0で終えました。

7月31日ロッキーズ戦で3被本塁打

比較的得意としている本拠地でのロッキーズ戦で登板したこの試合。
ダルビッシュは6回5失点で負け投手となりました。
しかし、昔のように四球連発したわけでも、6失点したナショナルズ戦のように集中打を浴びたわけでもありません。
それなのにこれだけ失点したのは、3本の本塁打を浴びたからです。

1本目の本塁打

ブレンダン・ロジャースに浴びた1本目の本塁打

3回で0-0の場面、打線に迎えたのはブレンダン・ロジャース
初球に真ん中付近のスライダーでストライクをとると、2球目、3球目は大きく外れ、ここでまたストライクを取りに行ったスライダーが初球同様に甘く入りスタンドイン
これにより先制点を献上しました。

2本目の本塁打

エリアス・ディアズに浴びた2本目の本塁打

3回に先制点を献上したもののその裏に味方が追いつき、同点で迎えた5回でした。
打席に入ったのはエリアス・ディアズで、初球4シームが外れると、ストライクをとりにいった2球目のカッターが真ん中付近に入りこちらもスタンドインされます。

3本目の本塁打

ジェルマン・マーケスに浴びた3本目の本塁打

2本目を浴びて1点ビハインドとなった5回、続くヒラードを三振にとり、打席には投手のジェルマン・マーケス
ここでこの回をしっかり押さえればその後味方の逆転に期待することもできました。
初球4シーム高めに浮き、2球目の高めスライダーでストライクをとります。
投手相手で優位なカウントに持ち込みたいところでしたが、ストライクをとりたい3球目のカッターは低めに逸れます。
4球目のスライダーがストライクゾーンから外れる高めに抜けたところを本塁打されます。

打たれたのは高めに浮いたスライダー・カッター

この3打席全ての共通点が、ボール先行となったところからスライダー、またはカッターをスタンドまで運ばれたということ。
そしてもう一点、全員が右打者だったということです。

得意のスライダー・カッターに問題がある?

ダルビッシュ本人が「1球種だけ選ぶならカッター」と言っているように、彼はカッター系の変化球にかなり自信を持っています。
本来ダルビッシュほどの球威を持つ投手であれば、4シームあるいは2シームが投球の半数以上を占めることがほとんどですが、ダルビッシュの場合はスライダーとカッターで60%以上を占めている変化球主体の投球です。
ストライクをとることも、三振をとることもできるわけですが、この生命線たるカッター系のボールの制球が大幅に悪化していると思われます。

ダルビッシュとデグロームのスライダー比較

2021年ダルビッシュのスライダーのヒートマップ
2021年デグロームのスライダーのヒートマップ

上記のヒートマップは、ダルビッシュと超一流投手ジェイコブ・デグロームのスライダーに関するものです。
これを見ると、デグロームは右打者のアウトローに集中してスライダーを投げ込んでいます。
ところが、ダルビッシュの場合はかなりまばらに荒れていて、高めに浮くことも多いことがわかります。
スライダーの使い方に違いがあれど、高めに浮くシーンはたいてい制球ミスです。
これは2021年全体のデータであるため、6月以前からダルビッシュはスライダーに絶対的な精度があったわけではありません。

今のダルビッシュの問題

上述のデータや、炎上した今日の試合を見る限り、生命線のカッター系球種に制球の問題があることは明らかです。
さらに問題なのは、カウントをとりにいくためにどうしてもこれらの球種に頼ってしまうということです。
その日コントロールしやすい球種を主体に投球すればいいのかもしれませんが、ダルビッシュの場合はカッター系にかなり頼りきっています。

これまで最も多くの三振を奪ってきたスライダーの制球が悪化していることで、右打者から三振を奪うツールを失ってしまっています。
実際今日の試合でダルビッシュが奪った8三振のうち7つは速球、1つはスプリッターによるものでした。

もしもカッター系の制球が悪化してしまったのが6月21日から始まった粘着物質取り締まり強化の影響だとしたら、投球スタイルを変えない限りはこの不振が続くかもしれません。

今季成績

試合 防御率 投球回奪三振WHIP
21763.48121.21421.02
日本時間8月1日時点での今季成績

詳細な成績は≪ダルビッシュ有 2021年最新成績≫でご覧ください

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