ついに162試合のレギュラーシーズンが終了しました。
早々に消化試合となった地区もあれば、最終戦までもつれこんだ地区もあり、ファンを楽しませてくれました。
今回は各地区の結果を紹介しながら、簡単な寸評をしていこうと思います。
ア・リーグ東地区
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 勝率 | ゲーム差 | ポストシーズン |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | レイズ | 100 | 62 | .617 | – | 地区優勝 |
2 | レッドソックス | 92 | 70 | .568 | 8.0 | ワイルドカード |
3 | ヤンキース | 92 | 70 | .568 | 8.0 | ワイルドカード |
4 | ブルージェイズ | 91 | 71 | .562 | 9.0 | – |
5 | オリオールズ | 52 | 110 | .321 | 48.0 | – |
ア・リーグ東地区は、なんと1~4位までが勝率.560以上という史上まれにみるハイレベルな地区でした。
今季最激戦区だったと言っていいでしょう。
地区優勝こそレイズが差をつけてとりましたが、最も注目されたのはワイルドカード争い。
レッドソックス、ヤンキース、ブルージェイズに加えてア・リーグ西地区のマリナーズの4チームによる壮絶なワイルドカード争いは最終戦までもつれ込み、タイブレークゲームにはならずレッドソックスとヤンキースが勝利でワイルドカードの座をつかみました。
特にヤンキースは首位レイズに連敗している中、最終戦で9回サヨナラ勝ちという劇的な展開を生み出しました。
もしも負けていればブルージェイズとのタイブレークゲームに挑まなければなりませんでした。
また、惜しくもプレーオフを逃したものの、ブルージェイズの追い上げも見逃せません。
トレードデッドラインで買い手にまわりながらも一時差をつけられていましたが、本塁打王に輝いたMVP候補ブラディミール・ゲレーロJr.の活躍もあって、見事な終盤の追い上げでシーズンを面白くしてくれました。
一方で、110敗を喫したオリオールズにとっては残念なシーズンとなりました。
勝率.321はダイヤモンドバックスと並んで今季ワーストで、非常に苦しい19連敗も経験しました。
セドリック・マリンズの台頭など明るい話題もありましたが、なにより今季は上位4チームが強すぎました。
ア・リーグ中地区
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 勝率 | ゲーム差 | ポストシーズン |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ホワイトソックス | 93 | 69 | .674 | – | 地区優勝 |
2 | インディアンズ | 80 | 82 | .494 | 13.0 | – |
3 | タイガース | 77 | 85 | .475 | 16.0 | – |
4 | ロイヤルズ | 74 | 88 | .457 | 19.0 | – |
5 | ツインズ | 73 | 89 | .451 | 20.0 | – |
ア・リーグ中地区は、東地区とは対照的に今季最弱地区と言ってもいいかもしれません。
地区優勝を果たしたホワイトソックスは独走状態で、他の4チームは軒並み勝率.500未満でフィニッシュしました。
とはいえ、首位と最下位のゲーム差20.0というのは、今季の全地区で最も小さい数字。
ワイルドカード争いをするようなチームもなかった反面、勝率.450以下の極端に弱いチームもありませんでした。
ドラマらしいドラマがなかったこの地区ですが、ロイヤルズからはサルバドール・ペレスが捕手として史上最多の48本塁打を記録し、前述のゲレーロとともに本塁打王に輝きました。
捕手が本塁打王を獲得したのは、ジョニー・ベンチ以来二人目で、ア・リーグでは史上初の出来事です。
また、ペレスは121打点で打点王にも輝いており、これまでキャリア最多が27本塁打だった彼がこれほどの活躍をしたということは、今季最大のサプライズの一つと言えそうです。
参考記事:ペレスが46号本塁打で捕手として歴代最多
ア・リーグ西地区
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 勝率 | ゲーム差 | ポストシーズン |
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1 | アストロズ | 95 | 67 | .586 | – | 地区優勝 |
2 | マリナーズ | 90 | 72 | .556 | 5.0 | – |
3 | アスレチックス | 86 | 76 | .531 | 9.0 | – |
4 | エンジェルス | 77 | 85 | .475 | 18.0 | – |
5 | レンジャーズ | 60 | 102 | .370 | 35.0 | – |
本格的な二刀流を成功させた、MVP候補の大谷翔平が話題になったエンジェルスですが、チームは主力の故障などがあり4位に沈みました。
そういった絶対的なスター不在にもかかわらず、チーム力で最後までファンを楽しませたのがマリナーズです。
首位アストロズやア・リーグ東地区の強豪とはチーム力にも大きな差がある中で、マリナーズは”Believe”を標語に掲げ、9月以降は19勝10敗と驚異的な追い上げ。
今季終盤にワイルドカード争いを演じたチームの中では唯一のマイナス値となる-51、チームOPSリーグ14位、チーム防御率8位というデータからも、マリナーズのこれほどの活躍がどれほど奇跡的なものだったかわかります。
ミラクルマリナーズが目立ったこの地区ですが、地区優勝したアストロズは攻守に盤石で隙のない強さを見せつけました。
初の首位打者を獲得したユリ・グリエルや若手の大砲ヨーダノ・アルバレス、カイル・タッカーらを筆頭に、中堅のカルロス・コレア、ホゼ・アルトゥーベらも活躍し、非常にバランスいい打線。
投手陣も先発、リリーフともに粒ぞろいで、MVP級選手は不在でもワールドシリーズ制覇を狙える戦力がそろっています。
ナ・リーグ東地区
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 勝率 | ゲーム差 | ポストシーズン |
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1 | ブレーブス | 88 | 73 | .547 | – | 地区優勝 |
2 | フィリーズ | 82 | 80 | .506 | 6.5 | – |
3 | メッツ | 77 | 85 | .475 | 11.5 | – |
4 | マーリンズ | 67 | 95 | .414 | 21.5 | – |
5 | ナショナルズ | 65 | 97 | .401 | 23.5 | – |
地区優勝を果たしたブレーブスの勝率.547というのは、今季の全地区の中で最低水準。
優勝チームで勝率.550を下回っているのはブレーブスのみです。
しかし、これは序盤に勝率5割前後で低迷していたのが原因で、終盤には調子を上げていきました。
チーム最高のスター選手ロナルド・アクーニャJr.を今季絶望の怪我が欠きながら、トレードデッドラインで大きな補強を行って穴を埋めたことで、地区優勝までこぎつけました。
チーム戦略が成功したと言えそうです。
一方でブレーブスに逆転を許したフィリーズとメッツ、特にメッツにとっては残念なシーズンとなりました。
メッツは8月に入ってから右肩下がりの低迷。
絶対的エースのジャイコブ・デグロームが結局復帰することもできず、長らく守っていた首位から陥落してからは調子を取り戻すことはありませんでした。
また、下位チームではずっと低迷していたマーリンズをさらに下回ってしまったナショナルズは、今季最大の解体を行ったチームの一つです。
MVP候補でもある若手スターのフアン・ソトを除く、ほとんどのスター選手をトレードデッドラインで放出。
若返りには成功したものの、6月には一時2位の座についていたところから3か月の間に再開にまで転落しました。
参考記事:地区首位だったメッツ 三日で3位に転落
ナ・リーグ中地区
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 勝率 | ゲーム差 | ポストシーズン |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ブルワーズ | 95 | 67 | .586 | – | 地区優勝 |
2 | カージナルス | 90 | 72 | .556 | 5.0 | ワイルドカード |
3 | レッズ | 83 | 79 | .512 | 12.0 | – |
4 | カブス | 71 | 91 | .438 | 24.0 | – |
5 | パイレーツ | 61 | 101 | .377 | 34.0 | – |
地区優勝は、絶対的先発ローテーションを築き上げたブルワーズが勝ち取りましたが、この地区で最も注目の出来事はやはりカージナルスの終盤の驚異的連勝。
9月7日時点ではプレーオフ進出確率わずか2.8%という状況から、フランチャイズレコードを更新する17連勝でワイルドカードの座を勝ち取りました。
そのカージナルスに逆転された形になったレッズは、西地区のパドレスと同様にワイルドカードを狙える位置から終盤に低迷しました。
また、カブスはシーズン中盤に一時首位に立ちながらも11連敗で一気に4位転落。
その結果として前述のナショナルズと同様にチームの大解体を決断しました。
今季は大型連敗や大型連勝が印象に残るシーズンとなりましたが、ナ・リーグ中地区ではカージナルスの連勝とカブスの連敗によってチーム順位に決定的な変動が起こりました。
参考記事:カージナルス17連勝でプレーオフ進出決定
ナ・リーグ西地区
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 勝率 | ゲーム差 | ポストシーズン |
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1 | ジャイアンツ | 107 | 55 | .560 | – | 地区優勝 |
2 | ドジャース | 106 | 56 | .654 | 1.0 | ワイルドカード |
3 | パドレス | 79 | 83 | .488 | 28.0 | – |
4 | ロッキーズ | 74 | 87 | .460 | 32.5 | – |
5 | ダイヤモンドバックス | 52 | 110 | .321 | 55.0 | – |
ドジャースの2位は、今季最も不条理な出来事と言っていいでしょう。
シーズン開幕前はMLB全体でもトップの戦力と思われたパドレスとドジャース。
この2強のどちらが地区優勝を勝ち取るのかというのが最も注目のポイントだったはずが、開幕してすぐにジャイアンツが思わぬ台頭。
しばらくの間はドジャース、パドレス、ジャイアンツの三つ巴の首位争いとなりました。
結局戦力的には劣ると思われていたジャイアンツですが、シーズン中盤に首位に立つと、そこからも全く衰える気配がなく、むしろこのあたりからパドレスが調子を落としていきます。
なんとかついていったドジャースとジャイアンツの争いは終盤にはその勢いがさらに激化。
その優勝争いは全地区で唯一最終戦までもつれ込みましたが、最終的にはジャイアンツが地区優勝、ドジャースがワイルドカードとなりました。
ジャイアンツの勝率.660はもちろんのこと、2位ドジャースの勝率.654も他のどの地区の優勝チームよりも高く、この2チームによるデッドヒートが如何にハイレベルなものだったかがわかります。
しかし、これほどのライバルが同地区に存在したせいで、下馬評通りの強さを見せたにもかかわらずドジャースはワイルドカードゲームに挑まなくてはならなくなりました。
途中で優勝争いから遅れをとったパドレスは、今季最もファンを失望させたチームと言っても過言ではありません。
地区優勝争いに加われなかっただけでなく、優位に立っていたワイルドカード争いでも沈み、なんと最終的には勝率.500を下回りました。
また、前述のオリオールズと同様に今季最低勝率を記録してしまったダイヤモンドバックスは、首位ジャイアンツがMLB最高勝率を記録したことも相まって、首位とのゲーム差が55.0というとんでもない数字をたたき出してしまいました。
シーズン途中にはアウェイ24連敗という史上ワースト記録まで作ってしまい、非常に苦々しいシーズンとなってしまいました。