2021年シーズン開始前に、最も話題を呼んだのはパドレスの連続的な大型トレードでした。
12月29日にレイズから4対1のトレードでブレイク・スネルを獲得。
その直後には5対2のトレードでカブスからダルビッシュ有とビクター・カラティニを獲得しました。
スネルは2018年のサイ・ヤング賞投手、ダルビッシュは2020年のサイ・ヤング賞投票2位の投手ということで、パドレスは非常に贅沢な左右のダブルエースを擁することになったのです。
その後ジョー・マスグローブをパイレーツから獲得したことで、ダルビッシュ、スネル、ディネルソン・ラメット、マスグローブ、クリス・パダックで構成される先発ローテーションは、ドジャースに匹敵する最高のものと評されていました。
しかし、実際にはこのローテーションは前評判通りには機能しませんでした。
まずラメットが故障で開幕時におらず、ダルビッシュ、マスグローブはシーズン序盤から好投を続けたものの、スネルとパダックは不振に陥りました。
幸いにもルーキーのライアン・ウェザーズが好投してくれていましたが、彼は5回を投げ切らずに降板させることが多かったためリリーフの負担も増えました。
そのため、実際に前評判通り機能していたのはダルビッシュとマスグローブだけだったのです。
しかし7月に入るとダルビッシュにも暗雲が。
一気に別人のような不調で、7月の防御率は7.36と苦しい月になりました。
そうなるともはや最強ローテーションの影も形もなく、マスグローブ以外の全投手が期待を裏切る形になりました。
中でもパドレスにとって痛かったのは、確実な活躍を見込んでいたダルビッシュとスネルというサイ・ヤング賞級デュオがうまくいっていなかったことです。
しかし今回、ようやくそこが機能しました。
8月7日のダイヤモンドバックス戦、ダルビッシュは8月最初の登板に挑みました。
結果は7回2失点12奪三振の好投。
惜しくも勝ち星こそつきませんでしたが、クオリティスタートを記録したのは実に6試合ぶりでした。
そして続く8月8日は、こちらもダイヤモンドバックス相手にスネルが登板しました。
前回登板で5回1失点と復調の気配を見せていた彼は、7回無失点13奪三振という今季最高の投球で勝ち投手になりました。
パドレス移籍後にダルビッシュとスネルが連続して7回を投げたのはこれが今季初めてで、なおかつ先発投手が2試合連続で12奪三振以上したのはパドレスの球団史上初めての出来事でした。
これこそがパドレスが彼らに期待していたパフォーマンスであり、この二人が今季初めて実績通りの活躍を見せた瞬間と言えます。
トレードデッドラインで崩壊気味の先発投手を補強することができず、今後が不安視されていたパドレスですが、この2投手がもし復活するのであれば、その不安を払拭しもう一度プレーオフ争いの台風の目になることもできそうです。
最弱ダイヤモンドバックス相手だったからできたことと言われないよう、まずは今回の活躍がまぐれでないことを次の登板で証明してほしい。