現在ナ・リーグ西地区3位のパドレスは、現地7/8ナショナルズとの4連戦の最終戦に挑みました。
7月に入ってからの戦績は2勝5敗と苦しんでいるパドレス。
ナショナルズとの連戦でもここまで1勝3敗で、前日には15失点しての大敗を喫していました。
この日の先発投手はダルビッシュ有とマックス・シャーザー。お互いエースのぶつけ合いとなりました。
ダルビッシュが大炎上
防御率2点台のエース同士の対決ということで、試合は投手戦になるかと思われました。
しかし予想外にダルビッシュが大炎上し、試合は一方的な展開になります。
初回にいきなり2番のトレイ・ターナーに本塁打で先制を許すと、その後も連打を浴びこの回結局3失点。ナショナルズ打線は前日の勢いそのままで、特にターナー、ソトが好調です。
2回は三者凡退で片づけ立ち直ったかに思われましたが、3回の上位打線にまたしてもつかまります。
連打や犠牲フライなどでさらに失点を重ね3失点。
なんとか3回は投げ切ったものの、相手先発シャーザーが好投を続ける中でダルビッシュは3回6失点で降板します。
点差は最大8点差に
代わった左腕カマレナは6/19にメジャーデビューしたばかりの28歳遅咲きルーキー。
前日に続いての序盤からの大量失点で、カマレナの仕事はできるだけ長いイニングを投げて中継ぎ投手を休ませることでした。この時は誰も、このカマレナがこの試合のヒーローになるとは思っていませんでした。
4回から登板のカマレナは、好調のターナーにこの日2本目となる2ラン本塁打を許し、点差は8点差にまで広がります。
リリーフ投手の満塁本塁打
0対8となって誰もがあきらめかけたこの試合、口火を切ったのはやはりこの男でした。
4回裏の先頭打者として打席に入ったフェルナンド・タティスJr.がソロ本塁打で反撃の狼煙を上げます。
彼が打つと不思議と勢いづくパドレス。
その後1アウト満塁の大チャンスを作ります。
この回やや乱れ気味のシャーザーはこの場面でウィル・マイヤーズに押し出し四球を与え2対8。
しかし次打者カラティニが空振り三振を喫し、9番のカマレナにまわります。
本来なら2アウト満塁の場面で投手の打席になれば、代打が定石です。
しかしこの試合を勝ちに行くよりもできるだけ投手を使わずに終わらせたいパドレスは、投手のカマレナをそのまま打席にたたせます。この時、球場にいるファンは誰もが奇跡を願いながらもきっと凡退するんだろうなと思ったでしょう。少なくとも私は三振すると思っていました。
その予想通りあっと言う間に2ストライクに追い込まれたカマレナ。
4球目に投じられたシャーザーの96.5マイル4シームを、なんと右翼席にスタンドインさせます。
リリーフ投手がシャーザーから満塁本塁打です。しかも内角低めのボール球でした。メジャー2試合目の28歳投手です。
試合は1点差に
カマレナの衝撃的な満塁弾によって6対8と射程圏内にとらえたパドレスは、続くファムが二塁打を放ちついにシャーザーをマウンドから引きずり下ろします。
ベンチに戻ったシャーザーは起きたことが信じられないという感じで完全に落ち着きをなくしていました。
2アウト2塁の大事な場面で、この回2度目の打席となるタティスJr.にまわりました。
誰もがこの回2本目の本塁打で同点という想像をしたところですが、彼の打球はライト線にふらふらっと上がります。これを追いかけた一塁手ベルがとることができず、ランナーが帰りついに1点差になります。
その後タティスが盗塁を決めたもののクロネンワースは凡退し、この回は終了。
パドレスは4回裏だけで7点を奪いました。
ついに同点へ
劇的満塁弾のカマレナは勢いがついたのか投手としても躍動し、点を取ったあとの大事な5回を3者凡退に抑えます。
4回裏の7点で完全に予定が変わったパドレスは、本来ならカマレナにあと2回ほど投げてもらいたかったところを、6回からは勝ちを狙う継投に切り替えます。
代わったスタメンが6回表をしっかりおさえたその裏、マイヤーズとファムの二塁打によってついに同点に追いつきます。
これでダルビッシュの負けは消えました。
サヨナラ勝利
完全に勝ちに行くモードに入ったパドレスは、盤石の継投で7,8回をきっちり0に抑えます。
なんとかこの勢いを止めたいナショナルズもパドレス打線を抑え込みますが、9回にドラマはフィナーレを迎えます。
9回表に登板した守護神マランソンが2アウトからソトを歩かせてしまいます。
ソトは本当に選球眼がよく、打ち取るのが非常に難しい打者です。
次打者ベルが鋭いライナーを放ちピンチ拡大かと思われましたが、ここで二塁手クロネンワースがスーパーキャッチ。
8点差を追いつき9回に守備のスーパープレーまで出たとあっては今季のパドレスはとどまるところを知りません。
9回裏、2アウト2,3塁の場面でグリシャムが一二塁間を抜いてのサヨナラヒット。
パドレスは球団史上1位タイとなる8点差を覆しての劇的サヨナラ勝利となりました。
もちろんこの試合のヒーローはカマレナでした。
タティスがオールスター前に最も本塁打を放った22歳以下の選手に
タティスはこの試合28号本塁打と20個目の盗塁を決めました。
これによって彼はパドレス史上初のオールスター前に20本塁打20盗塁を記録した選手になりました。
また、22歳以下の選手がオールスター前に放った本塁打数としては、これまでジョニー・ベンチと今季のブラディミール・ゲレーロJr.の28本塁打が1位でした。
しかし、この試合での1本によってタティスもここに並び1位タイとなりました。
また、これは遊撃手としては単独1位の記録です。
MLB史上最も長打力のある若手遊撃手と言っていいでしょう。